2013年 7月までの新作紹介〜その4 今回はアルファベット順を無視して注目作品ばっかり

すんません、ブックマークつけるの大変なので、ずりずりと下にバーを下げてご覧ください

紹介バンド
STATUS QUO / QUEENSRYCHE / SATAN / DARK MOOR / BADHOVEN / VOLBEAT / EDENBRIDGE / U.D.O. / DEATH SS / LORDI / GALNERYUS / HYPOCRISY / THE WINERY DOGS / KING KOBRA / KROKUS / TOM KEIFER / DUG PINNICK / PHILIP H.ANSERMO & THE ILLIGAL / HELLOWEEN / AMON AMARTH / DROWNING POOL / TANK / OSSIAN / WARLORD
ROD STEWART / THE FABULOUS THUNDERBIRDS / THE QUIREBOYS
BLUE OYSTER CULT


 

 

STATUS QUO
"BULA QUO !"


英国ロックの歴史
http://www.statusquo.co.uk/
you tube
http://www.youtube.com/results?search_query=status+quo+bula

 数曲あっちのサイトで聞いて、やっぱりまだまだ健在や〜と嬉しくなって、それでCDが家に届いて、びっくりした。「サントラ盤」なのである。
 最初に言うけど、どこがサントラ盤か、普段通りの音である。
 ブギの帝王!ブギの神様!と、あっちこっちでブギブギブギブギ言われているこの人たちであるが、それははるか過去の話であり、70年代にそういうスタイルで名を馳せたというだけで、80年代初期の音から、つまりもう30年も前から、ブリブリの音から卒業している。
 以降の音はずっと、今に至るまで、ブギのリフを基本としたポップハードロックスタイル+アルバム中2割はブギと関係なし、というパターン。
 雑誌などであんまり大げさな言い方をされるから、例えばこの新作にしても「ブギではない」「ブギを捨てた」とか、最高にポンチな評価を吐いてしまう人たちがいるわけだ。「濃さ」を期待されても困る。あっさりしていて美味な、極上元気ロックがここにある。私が世界一好きなバンドがこのバンドだから(このサイト内でも100回くらい言ってきた)、私の言うことに間違いはない。ボケ老人でも1つ2つは正しいことを言うものである。
 それはもう、何の変哲もないながら、この人たちにしかできない極上のハードポップが聞ける。2曲目などあり得ないかっこよさ。生きている老人バンドは数多くいるけど、活きているバンドとなると本当に数が限られる。
 90年代終わりごろだったか、カバーアルバムを立て続けに出して、このバンドも「新」を生み出す力を求めてはいけない御年齢なのかなと寂しい気分になったことがあったが、2000年代に入って再び精力は急上昇、2013年の音がこれである。シンプルに信じられない。そして最高に嬉しい。温故知新を全部自分たちでやってしまっている。
 その、映画はバンド設立50周年とかのドキュメンタリーかと思ったら、全然違って、なんとまあ、アクション・コメディー映画。オフィシャルサイト、you tubeでトレーラーを是非見てほしい。ドアの下敷きになったり、皿でどつかれたり、なかなか身体を張っていて、本当に笑ってしまった。
 今現在、ヨーロッパで公開されているそうだが、おそらく日本で公開されることはないだろうなあ。でもいい意味、まったく普通のアクション映画みたいなので、ひょっとしたら、ひょっとするか。DVDくらいは出てほしい。もし出なくても海外のAMAZONか何かで買う。その際は是非英語の字幕つらいはついていてほしい。
 最後にもう1回言うが、サントラという形でありながら、これまでのアルバムと何も一切100%印象が同じの、STATUS QUOの新作アルバムである。
 CDは2枚組で、ボーナスCDと言いながらこの本編より長い。新録音あり、ライブあり(選曲はいつも一緒ながら、今の音がこれというのが恐れ入る)で、おまけとしてはかなり豪華。

 

QUEENSRYCHE
"QUEENSRYCHE"


アメリカ
82年デビュー
13作目
http://queensrycheofficial.com/
you tube
http://www.youtube.com/results?search_query=queensryche+2013
 今年、最も印象に残るであろうアルバム。まっさっか、こっちが名作だとは。
 あんまりメタルのニュースとか見ないもんで、このアルバム"QUEENSRYCHE"が外国のサイトで宣伝されはじめたとき、ベスト盤と思って無視していた。ついにウメボシ殿下ひとりになった"FREQUENCY UNKNOWN"というアルバムがまたつまらなく、直後にベスト盤と言われてもな、と思っていた私はアホで、一体どうなっているのか、ウメボシ殿下以外のメンバーもまたQUEENSRYCHEを名乗り、新しいボーカリストを入れ、そしてこうして、QUEENSRYCHEの名前がつくアルバムとしては1990年"EMPIRE"以来の名作を作ってくれたもんです。
 あんまり呆気なくアルバムが終わってしまうもんでそこだけ驚いたけど(全部で40分ない)、要る音、要らない音をはっきり選別してのこのコンパクト感か、または一発録音に近い形で、短いけどまあいいかという、どっちかよくわからんが、どっちにしても、神懸り的な力が出たと思う。緊張感と躍動感がまさにこのバンドにしかありえない世界。今になってよくぞ実現してくれましたよ。
 こうなるとウメボシ殿下が気の毒で気の毒で。

 

SATAN
"LIFE SENTENCE"




イギリス
83年デビュー
3作目、26年ぶりの新作!
http://www.satanmusic.com/
you tube
http://www.youtube.com/results?search_query=satan+life+sentence
 私は泣いた。メンバーはまだまだ現役で生きてはいるけど、まさかSATANの再結成+新作が実現するなんて。それも誰も死んだり、引退してない。26年ぶりで5人全員、同じメンバーである。なかなかない話である。
 26年ぶり、赤ん坊がおっさんになっているくらいの時を経て今ここに登場してきたこの音であるが、10年ぶりなんてもんじゃない、26年ぶりでこの音ということは、本当に26年ぶりに聴いてくれるリスナーをターゲットに制作されたアルバムである。
 もうホントに、なんだこの音。本当は1988年くらいに作ってお蔵入りになった音を出しただけじゃないのか。と絶対そう思って、調べた。調べた私がアホだった。しかし本当に26年の年月が「ない」かのように、まったくのそのまま、あの音なのだ。中途半端な重量感、長いギターソロ、請ったリフ、かつてはNWOBHM典型と言われた憂いのあるボーカル、全部が全部そのまま。違うのは曲だけである。
 同じ音だというだけで名作印★5つをつけるのはおっさんファンの悪いところだ。
 冷静になってよく、よぉく聞いてみた。求人誌を見ながら営業マン以外おっさんが街中を歩いていない真昼間に安喫茶店で私は何度もこれを聞いた。
 懐かしいだけで終わらない、これは名曲集だ。26年というのはまったく待たせ過ぎではあるが、何年かけて曲作りましたという説得力はある。懐かしいだけに終わらず名曲集だという、この至福感。こうなればあの時代に、名作"CAUGHT IN THE ACT"、名作とは言えないかもしれないが"SUSPENDED SENTENCE"、あの2枚をリアルタイムで聞いていたおっさんファン老人ファンの勝利である。何に対しての勝利かよくわからないが、とにかく勝利である。これを聴いている間はこのバンドが世界一のメタルバンドだ。
 いやぁ〜〜〜〜〜〜ほんと、生きててよかった。このバンドも生きてて良かった、私も生きてて良かった。

 

DARK MOOR
"ARS MUSICA"


スペイン
99年デビュー
9作目
http://www.dark-moor.com/
you tube
http://www.youtube.com/results?search_query=dark+moor+ars+musica
 デビュー時からよく聴いていたバンドだが、2作ほど前のアルバム"AUTUMNAL"オープニング収録の"Swan Lake"、白鳥の湖を聞いて私は頓死してしまい、大本命、世界一好きなバンドのひとつになってしまった。あんな強烈技は10年に一度しか出ないだろうが、高尚で聞きやすいシンフォニックメタルの代表バンドとして、ヨーロッパ大陸代表の存在に今や昇りつめた。ポップな音というのは言葉が軽い。音楽を聞く習慣がない人間にでもこの音が高尚であるのはわかると思う。偉大な作曲家、という言い回しは私らが子供の頃からよく耳にした言葉だが、この音はその言葉のニュアンスそのままに偉大である。このバンドを聴けば耳が広くなる。何度も何枚も聞けば心が広くなる。素晴らしいを超えて、幸せを感じさせる名作。
 女性ボーカル時代にメタルマニアに大いに注目されたが、あの時代の音ももちろん素晴らしいと思うも、現ボーカリストAlfred Romeroが参加して以降のアルバム(2003年"DARK MOOR"以降)のほうがスケールも何も神懸ってきたと思う。そういう音なので、同じ路線が何枚続いてもリスナーが飽きるはずがない。誇張なしに、本当に名作メイカーである。

 

BADHOVEN
"OBSESSION"


オーストリア
96年BLACK ROSEの名前でデビュー、01年BADHOVEN二改名してからバンド通算5作目
http://www.badhoven.com/
you tube
http://www.youtube.com/results?search_query=badhoven+obsession
 数年前から非常に気に入っているバンド。BADHOVENに改名して3作目、日本ではまったく無名のバンドだが、無名という印象が最も似合わないような、世界スケールのハードロックを聞かせてくれる。
 安楽椅子の座り心地を競っているかのような、しょうむないメロディアスハード、AORハードというジャンルの悪い点をびしっと突くと共に、本来の音を示すことによって多くのリスナーの持つジャンルの悪印象を覆すかのような、このジャンルでは薬として最上級、そして毒としても一級品のようなアルバム。要は、軟弱なメロディアスハードに大きな喝を入れる音である。
 アホのJポップみたいな話であるが、メタルでも、今のリスナーはそのときの気分で聞く音楽を選ぶ。いつでもそういう聞き方をしているから、いずれ大人になったとやらで音楽マニアから卒業してしまうのであり、全部、全然違うやろと私は言いたい。名作、傑作はそれが自分の気分を変えてくれるのだ。小さい人間の憂さや悲しみに応えるのは本当の音楽ではなく(それは消耗品という)、本当の音楽は一人の人間の憂さや悲しみを消してくれる。最高の娯楽エンターテイメントだからこそ、音楽だけは今の生活に合わせて早送りで楽しめるようにはなっていない。
 とか、一体どこまで話が飛ぶのだということであるが、はるか太古の昔からある音楽の効用を教えてくれるアルバムこそ、苦しい生活の中から大金を出して買う価値のあるものでございますね。もし、2013年今年、たった3枚しかアルバムが買えないとしたら、私はこのアルバムを必ずその中の1枚に入れる。

 

VOLBEAT
"OUTLAW GENTLEMEN & SHADY LADIES"


デンマーク
05年デビュー
5作目
http://www.volbeat.dk/landingpages/outlaw-gentlemen-shady-ladies/(右下に入り口があります)
you tube
http://www.youtube.com/results?search_query=volbeat+outlaw
 05年のデビューアルバムから素晴らしい、名作メイカーである。やっと日本盤も出て、来日もするらしい。
 メイドインスティールなメタルバンドではなく、かつてはメタルを喰うハードポップバンドという印象だったが、5作目にして最もパワフルなこのアルバムは、2013年トレンドメタルの代表という風格を身につけている。インディー団体出身で、何年後メジャー団体のチャンピオンベルトを取ったレスラーみたいな存在感である。
 迫力、爽快感スピード感よりも、メロディー、雰囲気でリスナーを飲み込む音。単純なメジャーメタルとは空気が違うが、何でもありますコンビニメタルのような猪口才(ちょこざい)な空気はない。何でもよく知っている先生みたいな雰囲気を感じる。キング・ダイヤモンド(!)参加の1曲のみはもんの凄いメタルサウンドだが、こういう、どメタルをも1つの技とする力量が凄い。
 デンマークのトップという存在だが、デンマークというとなぜか周辺国に比べてわしらの耳に届く音が少ないので、もっとたくさんこのバンドに続いてほしい。

 

EDENBRIDGE
"THE BONDING"



オーストリア
00年デビュー
8作目
http://www.edenbridge.org/
you tube
http://www.youtube.com/results?search_query=edenbridge+the+bonding
 オーストリアの生んだ世界一、シンフォニックメタルバンド大御所。オーケストラ参加、ではなく、オーケストラ全体を6人目のメンバーとして扱うゴッドハンドなバンドになった。
 昔からここの女性ボーカリストSabine Edelsbacherは、ゴシックメタルのボーカリストとは格が違う。単純な話、歌唱力と包容力が他と違うのだ。ハリウッド映画のエンディングに流れて誰もが違和感を感じず、感動する女性メタルボーカリストなど世界に何人いるか。
 スタンダードでもうますぎるこの歌に、実際かなり激しく起承転結のある曲と、ROYAL HUNTがターボかけたようなメタル演奏が合わさってくる。ものすごい映画を観たような満足感というか、心地よいお腹一杯感というか、これほど聴き甲斐のあるメタルも他にないだろう。
 もはや何をやってもサマになるバンドである。女性ボーカルに偏見のある人にこそ聞いてほしい。

 

U.D.O.
"STEELHAMMER"



ドイツ
87年始動
14作目
http://www.udo-online.com/
you tube
http://www.youtube.com/results?search_query=u.d.o.+steelhammer
 地蔵みたいな顔である。
 子供の頃、近所の和菓子屋にこんなおっさんがいた。数年前、また実家近くに戻ってきたとき、和菓子屋はまだ健在で、30年余りの時を越え、おっさんはまだ店先にいた。おっさんは健在どころか、もはや地域の守り神のようになっていた。
 というくだらないことを書いてしまったが、どこの町にもそういう人物がいると思う。
 ウドもまたメタル界の守り神である。ずっと同じ声で同じ音。アルバムタイトル、つまり店の看板もずっと同じようなもの。店を隅々まで見れば、新商品の陳列など少しはあったりするが、それでもこの店の出で立ち、雰囲気は何10年ずっと同じ。
 ウドの独りバンドとなったと言う人間は言うが、勝手に言わせておけばいい。バンド名通りのことをこの人はやっているまで。そして、しみじみ思うが、大きな病気をしたこともあるこの人、毎日体調には気を遣いながら、まさに自分の生命の限界をメタルで表現していく人生なんでしょうね。絶対この人は引退しないと思うし、そして死ぬまであと何枚アルバムが続くのかわからないけど、全部こんな音を貫くんでしょうね。
 評価したり、注文をつけたりするのはメタラーとして本当に無粋である。それくらいのグレードを風格を持っている人であり、音なのだ。
 まあ、ちょっとだけ言わせてもらいますと、スペイン語の歌が面白かった!

 

DEATH SS
"RESSURECTION"


イタリア
88年デビュー
8作目
http://www.deathss.com/
you tube
http://www.youtube.com/results?search_query=death+ss+resurrection
 復活!(アルバムタイトル)というほど復活なアルバムでもなく、2006年以来の新作である。その間にもいっぱいコンピレーション、シングルの類いを出していた。
 しかしこのジャケットを見れば、確かに復活だろう。とてもとても、ベテランバンドのアルバムのジャケットとは思えない。もともと、というか今でもゾンビメイクをしているバンドで、しかし「塗り」程度でフィンランドのLORDIほど本格的なものではない。つまり、非常に安っぽかった。それが80年代後半、デビュー時あたりのこのバンドの姿だった。そんな、70年代イタリアンホラーをモチーフにした作品を出していた時期に戻った音ではある。
 どこのマイナースラッシュやねん、という音であれば本当に復活だと笑ったところであるが、そんなことはなく、これは復活のリニューアル、路線はあの時代に戻りつつも、音はトレンドな艶と完成度に彩られ、「メジャーメタルを出すに当たって社会通念上カットしなければならない」とされているところをすべて無視した、真性メタルマニア狂喜のサウンドになっている。
 イタリアといえばラプソディーではない。デスSSである。手を出すなら97年"DO WHAT THOU WILT"以降のアルバムを。クサレメタラーはもちろんファーストから揃えよう。

 

LORDI
"TO BEAST OR NOT TO BEAST"



フィンランド
02年デビュー
6作目
http://www.lordi.org/
you tube
http://www.youtube.com/results?search_query=lordi+to+beast+or+not+to+beast
 このバンドも6作目。アルバム出すたびに、御姿がますます人間離れして行ってるのは目の錯覚ではない(特に女性メンバーが・・・)。
 今回はbeastという単語を勝手に動詞にしてしまっている。フィンランドのアリス・クーパーみたいな音楽性はまったく変わっていないが、何の注文もない。音楽性が変わる理由がない。
 フィンランドでも、かつてアリス・クーパーやKISSがそうだったように、親が子供に最も聞かせたくない音楽、として選ばれているとしたら楽しい。家のパソコンで、このバンドのオフィシャルPVを全開にし、小さい子供を本気で泣かすくらいの豪快さが父親には欲しいところである。子供は絶対、強く真っ直ぐな子に育つだろう。フィンランドも日本もアメリカもない。絶対そうに決まっている。
 何の話だ。
 しかしこのバンドの音楽性を真面目に紹介するとしたら、CDのオビに書いてあるようなあほらしい言葉が最も正しいんじゃないか。難しく言うことはないのである。難しく言う必要のない音楽だからである。こういう音を聞いて、あんまり長い文章を書けない私の文章力の乏しさでもある。

 

GALNERYUS
"THE IRONHEARTED FLAG vol.1 : REGENERATION SIDE"


日本
88年デビュー
9作目
http://galneryusyumacher.com/
you tube
http://www.youtube.com/results?search_query=galneryus+the+ironhearted+flag
 ようアルバム出すやっちゃなぁと思ったら、これは前任ボーカリストによる曲を今のボーカリストで再録音したセルフカバーアルバム。バイト先にいた、大学生に借りた。申し訳ない。でもちょっとやそっとじゃ買えない。ボーナスDVD込みの値段で、4280円もする。
 内容はもちろん素晴らしく、世界に誇る日本一のメタルサウンドであることは近年のアルバムの印象通り。このバンドの素晴らしい点は、メタル歴半年のリスナーとメタル歴半世紀の人間が言う言葉が同じというところ。曲が名曲そろいで、そしてバカテクというよりも、とにかく上手い。何をやってもぶれない。私は、ジャパメタってそれ何?と正直思う。例えばSONATA ARCTICAの名作と、このバンドのアルバムと一体何がどう違うのだろう。
 ボーナスDVDは流し見するつもりで見て、しっかり最後まで観てしまった。「絆」はやっぱり猛感動である。
 あんまり売れすぎたら、かつてのX-JAPANみたいに歌謡曲になったりして。しかしそうなってもこのメタルサウンドは少しも色褪せない。
 まったく余談であるが、このCD持ってる大学生が他にもいろいろ貸してくれて、日本のメタルの現トレンドがよくわかった。
 秋葉原系ロリコンアニメのジャケット。そんなメタルが流行のようである。内容は普通。
 そして一番びびったのが、ベービーメタルという、中学生女3人組のメタル歌。演奏はしておらず、歌だけ。開いた口を開けたまま数分が過ぎ、黙ってCDをトレイから出した。
 日本製メタルもなんかおかしな方向へ進んでいるみたいだが、メタルを食い物にしている、という怒りよりも、私は脱力して怒りパワーも吸われてしまった。
 でも、私の近くではその、ベービーメタルか、それを買った人間がGALNERYUSに4280円も出しているわけでもあるし、今の日本製メタルにはまっている若い連中が、少なくない割合で必ず外国産、日本産の本物まじメタルにこの先没頭することになるのだから、別にかまへんのとちゃうの、と思う。若い奴らに限って。
 私の従兄弟で40過ぎて、ももくろに目覚め、毎月数万円散財しているアホがいるが(叔母が嘆いていた)、あれ同様、日本産カワイーメタルに目覚めたおっさんメタラーは、いらん。知り合いになりたくない。

 

HYPOCRISY
"END OF DISCLOSURE"


スウェーデン
92年デビュー
13作目
http://www.hypocrisy.cc/(工事中)
you tube
http://www.youtube.com/results?search_query=hypocrisy+end+of+disclosure
 北の極悪帝王4年ぶりの新作。ジャケットがまた・・・笑いましたわ。まあ気色の悪い。
 ジャケットがこんなんだから音も初期に立ち返り、必要以上に極悪になったのかと思ったら、もう、全然そんなことはなく、変わりようもないいつもの音だった。極上である。個人的にこのバンドの走る音がめちゃくちゃ素晴らしいと思う。走る北欧デスサウンドのベストである。ボーカルを除けて、音はもう何年も前から、例えば再編ACCEPTのように強健でがちっとしたものである。激しいメタルサウンドのスタンダードといってもいい。スラッシュメタルのベストのメジャースタイル。
 私もまだ一般人の部分が残っていた2000年ごろ、何かのライブの帰りに、知らん奴も入れてメタルばっかり10人くらい寄って居酒屋へ行ったことがあって、HYPOCRISYの話になった。このバンドだけは別、と言ってる奴が何人かいた。あれから10年経ったが、今でもおっさんメタラーにはこのバンドはそういう印象だろう。存在感は異端の帝王のくせして、メジャーメタルの完成度、疾走感がある。アルバムはここ10年以上ずっと同じような空気、雰囲気だと私は思うが、何年に一度届けられるこの音に大満足、この定番感覚があるバンドがジャンル関係なしに本物のメタルバンドである。

 

KING KOBRA
"II"


アメリカ
85年デビュー
6作目
http://www.carmineappice.com/(カーマイン・アピスのサイト)
you tube
http://www.youtube.com/results?search_query=king+kobra+ii
 セカンドアルバムではない。オリジナルメンバー4人にボーカルがポール・ショーティノという新布陣になってから2作目という意味。
 まずジャケットで絶対当たり!というのがわかる。HOLLYWOOD TRASHという本当にゴミみたいなアルバムがあったが、あれは一体何だったんだと今でも思う。
 性転換されたオリジナル・ボーカリストは今も元気なのであろうか。もちろんファースト、セカンドが今聞いても素晴らしい名作であるが、今の音はメタルとポップのバランスが絶妙な、あんな神懸り的な感触はない。ただし、名人ポール・ショーティノの歌はいつまで経っても名人であり、カーマイン・フーマンチューおやじも死ぬまで精力剤全開である。アルバムタイトルでもわざわざ新生をアピールしているのだから、昔のアルバムの話をしても仕方がない。アメリカ産は音楽に限らず、何か軽い物の代名詞みたいに今でも言われるが、DROWNING POOLもアメリカ産で、対極の音みたいなこのKING KOBRAもアメリカ産。アメリカ産の一体全体、どこらへんが軽いのか。
 Hungerみたいな名曲があれば名盤になったところだが、しかしこの聴き心地をして名作に近い傑作と呼びたい。近年なかなかない、元気なハードロックのアルバムである。

 

THE WINERY DOGS
"THE WINERY DOGS"


アメリカ
第1弾アルバム
http://www.thewinerydogs.com/
you tube
http://www.youtube.com/results?search_query=winery+dogs
 定期的にしっかり情報を仕入れているたくさんのメタルリスナーにはいちいち紹介するまでもないアルバムだが、個人的には、へぇー。暇がありましたら。というバンドである。
 だからそういう物ぐさは損をする。
 MR.BIGもこういう緊張感を持っていた頃があったんです。耳に残りやすいポップな曲調で、メンバーそれぞれケツをまくったテクニック合戦。なんかこう、吹っ切れたような音を出してはります。これに比べれば、近年のこの人たち関連作品はずいぶんと小ぢんまりしてるような。ゴギゴギのバキバキサウンドではないのだが、めちゃくちゃ弾けている音である。今、メジャーメタルの中でも頭ひとつ抜き出ている印象がある。メタルは3人編成こそベスト、という説が80年代にはよくあったのだが、そんな話も思い出してしまった。

 

KROKUS
"DIRTY DYNAMITE"


スイス
76年デビュー
17作目
http://krokusonline.seven49.net/data_access/krokusonline/design/intro/Krokus-Intro-large.html
you tube
http://www.youtube.com/results?search_query=krokus+dirty+dynamite
 主役が↑こいつ。オフィシャルサイトでしか見られないオフィシャルPVの"Dog Song"がむちゃくちゃ面白い(未成年にはピーな部分1か所あるよ)
http://krokusonline.seven49.net/Web/en/Gallery/KROKUS_VIDEO_GALLERY_LIST/2013_Doeg_Song2.htm
 はるか昔、音が完全AC/DC化して叩かれまくったことがあったこのバンドだが、今現在の動く映像を見れば、もはやAC/DCと存在感が並んでいることがわかる。大体悪童面ばかりのバンドで、みんなえらいおっさんになったなと思うが、それ以上になんともまあ、大御所な空気である。
 この新作ではこれまでのアルバムよりもぐんと「どの曲聞いても同じ」感が漂っているが、AC/DC聞いてどの曲も同じと文句を言う奴はアホであるのと同様、このバンドも存在そのものがお祭り、新作がいつもアニバーサリーという存在なのだ。さすがにSTATUS QUOみたいなダイナミックさはないが、ヨーロッパでは生き神様のような存在になっているのだろう。何かこう、だらっとしていると言うか、死んでもネクタイとかつけなさそうな、大ワルおやじ集団という雰囲気が素晴らしい。そこはAC/DCを上回っている。18禁の生き神様である。
 ひとつ驚いたのが、ビートルズの"Help"のカバー。誰がやっても「もういいやん」と私などは聞く前から思ってしまうが、なんとなんと、こんなにHelpに聞こえないHelpはない。途中まで全然わからなかった。リズムもちゃんとある、素晴らしいメタルバラードになっている。

 

TOM KEIFER
"THE WAY LIFE GOES"


アメリカ
CINDERELLAラストアルバムより19年ぶりのアルバム
http://www.tomkeifer.com/
you tube
http://www.youtube.com/results?search_query=tom+keifer+way+life+goes
 ファンには怒られるかもしれないが。
 CINDERELLAはメジャーメタルの歴史を変えたバンドであることは、おっさんメタラーなら誰でも知っている。歴史的名作を2枚ほど出している。
 ところが、あんなにわかりやすく哀愁味がありそして高尚な音楽性は、「メタルの門」の中に入ってきたリスナーにしか伝わらなかった。だからロックの歴史は変えることはできなかった。理由はバンド名だと私は思う。メタルを聞かない人間に、シンデレラ。いくらメタラーが良さを語っても、はい、シンデレラ、よかったですね、と、一般人に冷ややかな笑みを返されたのだ。
 もっと早く復活してほしかったですよ。ファンにはCINDERELLAの新作のような響きがあり、そしてあのオリジナルの、高尚でわかりやすい世界が堂々と現実となった。さっきから聴き惚れるばっかりで、全然手が動かないが、アホみたいな言い方をさせてもらえれば、というかこういう言葉しか思い浮かばないのだが、若い人には今一番「渋かっこいい」ハードロックサウンドなのだ、と紹介したい。

 

DUG PINNICK
"NAKED"


アメリカ
ソロ3作目
http://www.dugpinnick.com/(何年も前から更新されてない)
you tube
http://www.youtube.com/results?search_query=dug+pinnick+naked
 PINNIK GALES PRIDGENというプロジェクトのアルバムも同時期にリリースしたが、あっちは置いといて、こっち。
 DOUGになったりDUGになったりする針金飛び跳ね男、本職のKING'S Xでは高尚すぎるような音ばっかり出していて2000年代後半以降私はずっとついていけてないが、このソロアルバムはまるっきりKING'S Xの音である。全楽器を担当し、ドラムスはKING'S Xの盟友Jerry Gaskillの息子が叩いている。
 しかし近年のKING'S Xの音よりはわかりやすい。音も太い。なぜこの音をKING'S Xでやってくれなかったのかとも言いたくなるが、音はこうしてファンの前に届いているのでよしとしよう。恐竜のようにでかくてごつごつした音で、初めて聞く人には最初はレトロな印象を抱かせると思うが、しばらく聞けば、おそらく初めて聞く新しい路線という感想が湧き出てくるに違いない。これで火でも吹いてくれたら"DOGMAN"クラスの音の再現になり、KING'S X完全復活ということになって話題も沸騰、というのが次の展開だと信じたい。おっさんいろんなミュージシャンと遊んでばっかりおったらあかんで。

 

PHILIP H.ANSERMO & THE ILLEGALS
"WALK THROUGH EXITS ONLY"


アメリカ
第1弾アルバム
http://www.philanselmo.com/
you tube
http://www.youtube.com/results?search_query=PHILIP+H.ANSERMO+%26+THE+ILLEGALS
 あれこれとわけのわからんアルバムを出してきたこのヤクザおやじであるが、初めてマトモな音が聞けたと言うか、ファンにしばかれてしまうが、PANTERA解散後初めてのバンドらしいバンドサウンドのように聞こえる。こういう音を期待していた。これまでの異端ジャンルへの果敢なる挑戦作品をわけのわからんアルバムと言い切ってしまう私が素晴らしい音だと思うくらいだから、ずっとのこの人の後を追いかけているファンには年間ベストアルバム級のインパクトと内容だろう。
 単純なメタルサウンドはここにはないが、それでもパンチ、キック力が最強の出で立ちであり、禿頭のてかり具合はダテではない。沈んでいる音であろうはずがなく、混沌の中、より混沌に走り回っている音でもなく、ぎらぎらと輝いている音である。これは説得力ある。2013年爆裂メタル1等賞。

 

HELLOWEEN
"STRAIGHT OUT OF HELL"


ドイツ
85年デビュー
アンディ・デリスになってからもう9枚目か10枚目
http://www.helloween.org/
you tube
http://www.youtube.com/results?search_query=helloween+straight+out+of+hell
 誰でも知っているアルバムなのでしょうむない解説など必要ないが、私は久々にHELLOWEENにはまりました。という、すごくシンプルな感想を特にメタラー歴10年20年の人は持ったと思う。かつて、この味を味わいたくて「この店」に通ったんですよ。そんなアルバム。
 若いリスナーにももちろん名作中の名作であり、あちこちのサイトで躍るジャンル用語の略語が1行に1回必ず飛び出すようなレビューが、意味わからんがな。とわしらじじいは思いながら、ストレートに言葉が出てしまうというアルバムに対する正直なリアクションなんでしょうねえ。と目が細くなる。ただしこのアルバム、この音を造っているのは若い人間ではない。おっさんもおっさん、大おっさんなのだ。
 私、ドイツ人に生まれたかった、というレビューをさっきどこかで見て、笑ったけど、わしも昔は名作メタルを聞いていつもそう思った。
 ただ、基本的にメタルリスナーというのは孤立していて当然と思う部分がわしの育ちではあったりする。社会の表サイドは売れ線アホ音楽を大量に製造し、社会の裏サイドはひたすらシビアな現実をアピールしている。こんな、夢のような音楽を、今の社会が作ってくれるもんですか。
 孤立しながら夢を体験できるのがメタルファンであることの素晴らしさ。それは私のような老齢になっても変わることはない。
 このバンドは名作メイカーではあるが、これだけ曲が充実している(全曲名曲といってもいい)のは1996年の"THE TIME OF THE OATH"以来である。
 ああ、まだやっとんねんな、とメタルから卒業した人はどこかでこのアルバムを見てそう思うだろうが、現役メタラーであろうが引退した人間であろうが、精神上の健康のために、このアルバムは買わないと損である。

 

AMON AMARTH
"DECEIVER OF THE GODS"


スウェーデン
96年デビュー
9作目
http://www.amonamarth.com/
you tube
http://www.youtube.com/results?search_query=amon+amarth+deceiver+of+the+gods
 96年のデビューEPから素晴らしかったバンド。途中疾走感が薄れたかなというアルバムもあったが、2013年こうしてこのジャンルでは世界一といっていいほどの威風堂々のアルバムを届けてくれた。バイキングスタイル・メロディック・デスメタル。あのデビューEPから17年って、嘘だろうと言いたくなるが、17年経って何も変わっていない自分の生活はとことん情けなく、そして17年後もこうしてメタルを聞き続けられている自分の精神力というか、しぶとさというか、飽きのなさが正直嬉しい。特にこのバンドは最初からこんな音だから、感慨が深い。音は昔から同じ、しかし大きく変わったところは、昔は異端だったが今は北欧メタルの中心ということである。このバンドをメロデスと呼んでいた時期が懐かしい。健在、というより今なお多くの若いバンドを先導・扇動していく音であるのが凄い。この夏に最もクソ熱い名作である。 

 

DROWNING POOL
"RESILENCE"


アメリカ
01年デビュー
5作目
http://www.drowningpool.com/
you tube
http://www.youtube.com/results?search_query=drowning+pool+resilence
 このバンドが名を売ったのがファーストアルバム、WWFがWWEに名前が変わったかくらいの頃、日本でも猫も杓子もWWEという時期に番組中何回も鳴っていた"Bodies"という曲である。つまり、典型的アメリカ産爆音ロックバンドだったわけだが、ペイパービューのたびに紹介される爆音ロックバンドの中で、以降最もメタルバンド化したバンドのひとつになる。あの手のバンドは一発屋も多かったが、このバンドはアルバム5枚全部、メタルファンにもおすすめ。もちろんアメリカントレンドとしての主張もある音だが、単純に、この音ならメタルファンも大歓迎という出で立ちである。今回は特に、フルスイングのパワーがどかんと目立っている。今風も昔風もなく、とにかく強い音であるのは間違いない。
 そういえばWWEはCSではもう何年も見ていないが、原付を30分程度飛ばしたところにある遠いところにWWEのペーパービューのDVDを入荷してくれるレンタル屋があって、こないだレッスルマニアを借りたが、やっぱり面白かったなあ。知らん顔ばっかりやったけど。
 今でもこういう音をバックに登場してくるレスラーがたくさんいる。今風だ何だと言うことはもはや若い人間には老人のぼやきにしか聞こえないだろうから、私もあんまり言わないように心がけたい所存でございます。

 

TANK
"BREATH OF THE PIT"

イギリス
完全独り立ち記念アルバム
http://www.tankfilthhounds.net/
you tube
http://www.youtube.com/results?search_query=tank+breath+of+the+pit
 アルジーのおっさんは引退したのかと思っていた。TANKは別にいる。あのアルバムにも驚いた。2枚あるが、あっちのTANKも私は肯定派である。まさかここまで下りて(?)来てくれるとは、とドゥギー・ホワイトの男気にも感動したし、アルバムも素晴らしかった。
 ただし、あれがオリジナルTANKの音かといえば、ファンでなくても違うというのはわかる。ケツをまくるのをやめ、よりイギリスらしい音になったSAXONのような音だった。
 やはりオリジナルTANKの男は黙っていなかった。まさにアルジー・ワード・ワールド2013年代全開サウンド。何が凄いと言って、このやかましい音をすべて、歌からドラムに至るまですべて自分一人でやっているところ。凄い以上に嬉しかったのが、オリジナルサイトが復活したこと。2000年過ぎた頃、インターネットがまだ時間制課金だったような時代にあったホームページが、装いも全然新たにせず、そのまま復活している。かつてここで、過去のメンバーの消息を知っている方は連絡をください、という告示まであったのだ(本当)。
 音は正直、すべてのメタルリスナーに推薦と言うわけにはいかない。若いリスナーには何だこのガシャガシャのやっかましい音は、で終わってしまうかもしれない。HONOUR AND BLOOD時代の哀愁味が復活しているわけでもない。STILL AT WAR、2002年のアルバム直結の音で、あのアルバムよりもまだ喧しい。こんな無頼な男がメタル界に一人くらいいてもいいじゃないか。という世界。

 

OSSIAN
"A TUZ JEGYEBEN"

ハンガリー
88年デビュー
19作目
http://www.ossian.hu/
you tube
http://www.youtube.com/results?search_query=ossian+a+t%C5%B1z+jegy%C3%A9ben
 ハンガリーという国を代表するメタルバンド。ライブアルバム除けてスタジオ盤で通算19作目である。
 まったく、全然ハンガリーという国を出るつもりがないようで、どのアルバムも全編通してハンガリー語である。ロシア語ですら英語とそっくりな単語が数多くある(本当)が、ハンガリー語となると万に一つも意味がわからない。アルファベットの上に点点ではなくチョンチョンが2つあったり、そんな単語が普通にある。
 アルバム全部聞いたわけではないが、このバンド、ひょっとしたらファーストアルバムから路線が何も変わっていない。力いっぱいではあるがどこか地味な正統派、あるいは地味ではあるがかなりパワフルな正統派、90年代から今に至るまでいつでも、今どき欧米バンドは誰もやらないと言われた(言われる)ような音であり、クサレメタルと言うには豪華、メジャーメタルと呼ぶにはダサすぎ、とにかく貴重なバンドであることは間違いない。男くさい音ではあるが、狙って作られた音ではない。25年ずっとこんな音なのだ。2000年過ぎてかなりメロディアスな音も得意とするようになったが、メロディアスな曲をやれば必ず哀愁的な佇まいである。今風に派手な音ではないが、メタルとしてはパワフルで力強い、教科書的な音。メジャーメタルがはるか過去に置き去りにしてしまった原点を真正面に据えて演奏し、歌うバンドである。

 

WARLORD
"THE HOLY EMPIRE"

アメリカ
83年デビュー
4作目
http://www.warlord-official.com/
you tube
http://www.youtube.com/results?search_query=warlord+the+holy+empire
 生きておったのかおぬし...というアルバム。完全に忘れていた。
 前作(と言っても2002年)ではHAMMERFALLのヨアキム・カンスがヴォーカル全面参加、マイナーな話題になったアルバムだったが、今回はオリジナルメンバー、ギターとドラム2人に助っ人メンバー2人という構成。何の話題にもなっていないのが悲しい。しかし悲しさを哀しさに変えるギタリストの腕はまったく健在であり、このギターサウンドがあればどんな音でもWARLORDである。
 とにかく、どうしようもなくWARLORDの音としか言いようがない。あれはあれで良かったとはいえ、前作の宣伝効果抜群過ぎた歌よりも、このバンドにそっくりな音を出すMARTIRIAという物好きなバンドから参加しているボーカルは、WARLORD感に真っ黒けの素晴らしい華を添えている。WARLORDを知らない人には何のこっちゃか、全然わからん文章になって申し訳ない。知らない人は聞く必要も何もないアルバムかも知れないが、私はまあ、めちゃくちゃ好きなバンドだったので、とてつもなく嬉しい。長い曲ばっかりで、素晴らしい。普通に売ってないのが哀しいが、今現在you tubeで全曲アップされている。


メタルではないよのページ

ROD STEWART
"TIME"


イギリス
ロックアルバムとしては12年ぶり
http://www.rodstewart.com/
you tube
http://www.youtube.com/results?search_query=rod+stewart+time
 最近何かと復活!が非常に多い気がするが、この人も堂々の復活。2002年から2012年まで実に8枚も「新作」を出していた。全部、カバーアルバムだった。有名なGREAT AMERICAN SONGBOOKシリーズその他である。あれも2作目程度までは良かったが、結局5枚出た。欧米版演歌歌手になってしまったんですね、と誰もが思っていた。
 ロッカー、ロッド・ステュアートの12年ぶりの復活である。ファン同士のお祭りをよそに、この人なりにかなりカジュアルな感じな音で、いい意味、フッツーのロッド・スチュアートサウンドである。80年代の全盛期、東急ハンズで売ってる派手な紙でできたような服を着て踊り倒すような世界、この人ならそれも可能だっただろうが、そういう音ではなく、円熟の新味のような、ロッド・ステュアート産ロックンロール、バラードが並んでいる。90年代のアルバムからダイレクトに続いているような雰囲気。元々若い、アダルト、言わせない音楽性を持つミュージシャン(ついでに、顔も)ゆえ、この年齢でまだまだ若い音、というのも変である。しかしいつでも思う。スポーツ選手や役者と違い、音楽に年齢は関係ないのだ。

 

THE FABULOUS THUNDERBIRDS
"ON THE VERGE"

アメリカ
79年デビュー
12作目
http://fabulousthunderbirds.com/
you tube
http://www.youtube.com/results?search_query=fabulous+thunderbirds+on+the+verge
 久しぶりに出た新作(8年ぶり)だが、ここ20年以上ずっとアメリカ大陸縦断に横断、活動は続けているそうだ。このバンドと言えばアメリカのレッツゴーじゅん、キム・ウィルソンが有名であるが、今のお姿にコミカルな印象はまるでなく、小さくなったビッグ・ショウ(WWE)みたいな顔で、まあ、えらくかっこよくなっていらっしゃる。歌も普遍的アメリカのおっさん。アメリカの人間国宝である。
 おっさんバンドがみんな若さをアピールする中、この人たちの音楽は最初からそういう類いのロックではない。年齢相応に、しっかり枯れているところは枯れている音である。この音が教えてくれるのは、枯れてはいても萎えてはいないというところ。人間、枯れてもいいのである。萎えたら情けない。

 

THE QUIREBOYS
"BEAUTIFUL CURSE"

イギリス
90年デビュー
7作目
http://www.quireboys.com/
you tube
http://www.youtube.com/results?search_query=quireboys+beautiful+curse
 しっかり生きてますよ。だらっとしたロックンロールサウンドは健在。今となれば、かつてメタル雑誌で大人気特集組まれていたバンドとは信じられない人もいるのではないか。私はデビュー時から音的には何らメタルとリンクする部分などないと思ってたが、とにもかくにも、デビュー時から全然年齢食っていない音で、こうして現役である。歳の食いようのない音だとも言える。
 私などはしばらく快適に聞いているが、しっかりとドラムスも存在をアピールしてはいても、全体的にアコースティック極まる音である。軟弱な音楽しか聞かない邦楽好きにも「アコースティック音楽の外国版」として必ず受ける音だと思うが、このわけのわからんジャケットは駄目である。じっと見ても何の絵だかさっぱりわからん。


リマスターのページ

BLUE OYSTER CULT
"IMAGINOS" (2013 remaster)


http://www.blueoystercult.com/
わしのページ
http://www.h2.dion.ne.jp/~krok80s/main%20b/blue%20oyster%20cult.htm
 1988年、名作中の名作。
 当時も今も本家BOCらしくないサウンドと言われるが、ベタな言葉で言うと「映画版ブルー・オイスター・カルト」みたいなアルバムであり、このバンドらしくないとというのは間違い、このバンドの音が怪獣のようにでかくなった音がこのアルバムである。
 最近リマスターされ、どこがどう音が変わったのかと思って、同じアルバムをレコード盤とCDで持っているというのはあるが、CDで持っているアルバムをまたCDで買うというのは初めてかもしれない。で、1000円の大枚はたいて買った割には、そんな、びっくりするほどのリミックスがなされているわけではなかった。

 ただ、各曲にあるクライマックスの場面がより奥深くなっている。元から音が割れる寸前みたいだった部分が、きれいに解消されている。だからオープニング"I Am the One You Warned Me Of"や3曲目"In the Presence of Another World"、歴史的名曲"the Siege and Investiture of Baron von Frankenstein's Castle at Weisseria"の底抜けた凄みといったら、唖然とするしかない。
 持っている人はわざわざ買う必要ないかもしれない。しかし知らない人は絶対知ってほしい。これが80年代メタル真の凄味である。




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