1970年
ディープ・パープルが"IN
ROCK"を、
レッド・ツェッペリンが"III"をリリースした年。
ハードロック元年。
個人的評価100点満点作品 全24枚
DEEP PURPLE |
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名曲 |
なんでこれが24位と言われても、実は個人的にはあんまり思い入れはない。ただし私より一つ二つ上の世代の方はこのアルバムを、他のどのアルバムよりも大変熱く語る。昔、小林克也が何かの音楽番組で「アメリカを差し置き、なぜディープ・パープルは日本で大きな人気が出たのか」ということについて語っていたことがあり、メタルの人よりも何倍も深いことを語っていて面白かったが、その内容はさっぱり忘れてしまった(すんません)。リアルタイムで聴いた方何100万人の、生涯のベストアルバムでしょう。音楽ファンなら誰しも、そういうアルバムを聴いて損はない。イアン・ギランの登場、当時は大騒ぎになったそうで。後追いで聴いてもその凄みはわかる。 何度もリマスターされており、いつだったか、30周年記念エディションだったか、未発表バージョンまでビチビチのピカピカにリマスターされており、あれは大変聴き甲斐があった。 ブリティッシュハードロック代表作品にして、ジャケットがアメリカの観光地というのがおもしろい。 |
McDONALD AND GILES |
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名曲 |
イアン・マクドナルドとマイケル・ジャイルズが歴史的名作"IN
THE COURT OF THE CRIMSON KING"のあと、発表した作品。あの音の要と言ってもいい2人のアルバムなので悪いわけがない。 あのアルバムでのキーボード(、サックス、フルート)の役割の大きさは聴いた人ならだれでも納得の大きなもので、加えて特に"21 Century Schizoid Man"でのリズムセクションもいまだに伝説として残る強烈なものであり、そして続くアルバム(これ)がアコースティック+ブリティッシュオールドスタイルロックとは、若干ガクッと来るような印象もある。キング・クリムゾンの二番煎じと言われても何でもよかったから、そういう音だったとしたら誰でも知ってる名作となったことだろう。3曲目"Is She Waiting"はアコースティックバラードの極み。"Birdman"も感動的。 |
THE DOORS |
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名曲 |
70年代ロック屈指の名曲"Roadhouse Blues"収録。このアルバム以上の名作は数々あるけど、この曲が収録されているという理由で私はこのアルバムが一番気に入ってます。この曲に限りやたらめったらロックである。スタイタス・クオが何10年ずーっとライブの定番としているくらいだから本物。ま、他の曲はちょっと眠たいけど。 |
BADFINGER |
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名曲 |
ニルソンの"Without
You"はこのバンドが原曲。しかし笑うくらい素っ気ない。 売りはこの曲だけではなく、活動期間こそ短かったが、不良がやるポップロックまたは優等生がやる不良ロック、つまりビートルズ+ストーンズという形を実現した初のバンドだと思う。わかりやすい音ではあるが、酒なのか、清涼飲料水なのか全然わからん不思議な音。 |
THE NICE |
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名曲 |
キース・エマーソンがEL&P結成前に組んでいたバンド。3枚のアルバムを出していて、これは3作目。EL&Pがいかにポップで大衆的なサウンドを身上としていたか、よくわかる作品。 哲学的でも難解でもなく、オーケストラにドラムスが加入したらこんな音になるということを、歴史上初めて示したバンドだったと思う。クラシックとロックの融合を見たいのならEL&Pよりは絶対こっち。 MOODY BLUESはポップスにクラシック音楽を絡めただったが、このTHE NICEはその逆で、クラシックにポップスを絡めた音楽性だった。今でも意外に聴きやすい。 |
THE MOODY BLUES |
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名曲 |
この時期いちばんスタイリッシュな疾走感がこのアルバムオープニングナンバー。「ディープ・パープルはブリティッシュロック初の絶叫するボーカリストがいたから代表と成り得た」という誰かの有名な言葉(...だったか)はこういうアルバムを出すと非常に説得力がある。 プログレと呼ばれたバンドの中でも特にこのバンドは人間感情的なカラーを持っていた。非常に感情的な音楽で、大変感情移入しやすい音楽性。このアルバムでは"Melancholy Man"が秀逸極まっている。こんなに哀しい歌は他に知らない。一度聴いたら絶対に忘れられない。 |
KING CRIMSON |
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名曲 |
誰もが「前作の色がまだ残っている」という、そこだけを大きく評価してしまった作品。それで会って何の問題もない。実際に前作のコピー作品を意図して作られたそうで、ということは名作に決まっている。 もう脱退の意志を固めていたというイアン・マクドナルド(キーボード、ギター、サックス、フルート)とマイケル・ジャイルズ(ドラムス、パーカッション)がもうひとつ手を抜いとるな、という印象もまた正しいかもしれないが、それはそれで仕方がない。なんせ人類の名作、人間のモニュメントのような作品の次のアルバムである。 荘厳さはかなり薄れてはいるが、それでも凄いパノラマ感。携帯音楽プレイヤーに入れて聴いてみた日には駅のような広いスペースもガラッと違う空気に見えてしまう(...のは俺だけか)。 一方、プログレッシブロックがプログレッシブロックたる個性が炸裂しはじめている。「ポセイドンのめざめ」というタイトルもダテじゃない。当時産声をあげたハードロックなんぞ小指の先で弾かれている。 個人的にはグレッグ・レイクの歌が雰囲気も味わいもあって非常に好きであるが、以降エマーソン・レイク&パーマー結成のためここでバンドを離れた。 |
PATTO |
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名曲 |
このジャケットのアホらしさは70年代でもグランプリ級。 PATTOというのはボーカリストのMIKE PATTOの名前から。これといった名曲は残していませんが、80年代(...以降も?)にはおもいっきり通受けの存在として、これを持っていればブリティッシュロック博士の称号獲得といった存在だった。のんびりしすぎていて寝そうな曲もあるが、ハイライト曲の御姿はブリティッシュ・センセイサウンドからギターのディストーションを抜き取ったような感じ。センセイの中でも特にセンセイという雰囲気。曲は二の次、しかし許せるというサウンド。7曲目、10分に及ぶ"Money Bag"では超絶ギタリストピーター・ハルソールの妙技が堪能できる。 |
ELTON JOHN |
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名曲 |
どこでもしょっちゅう耳にする機会があって、もはやかしこまって聴いてみても、少しも響くものがないというのは別にミュージシャンのせいではないが、"Your
Song"もそんな曲のひとつ。しかしこの曲が決して代表曲ではないから、このアルバムが本当の名作と言い切れる。アコースティックとオーケストラサウンドの合体。単調であれ長調であれオーケストラは曲の奥行きを魔法のように広げる。キーボードだけだとこうは行かない。 しかしこの頃の御姿は大変もさい。 とりあえず今風バカ人間登場のコマーシャルやアホドラマなんかにロックの名曲は使ってほしくないなあ。 |
THREE DOG NIGHT |
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名曲 |
バンド名がなんとも印象的だったバンド。意味はウィキペディアなどで調べてください。 若干オールディーズ色が強く、宴会ロックの無意味な騒がしさがあるも、曲は名曲揃い。ホコリくさいポップロック、おもいっきり時代を感じさせる音である。バンドのことは全然有名でないのに、よくヒット曲が映画の挿入歌やら日本のコマーシャルでも流され、"Joy to the World"は異様に有名。爽やかなおっさんくささ(...聴いたらわかる)と音割れた変なピアノの音が個性だった。こんな音は80年代に入る前に絶滅してしまった。 |
SIMON & GARFUNKEL |
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名曲 |
「明日に架ける橋」。アメリカ文化と共に語られることの多いフォークデュオのようでいて、このアルバムに限ってはロックファン、ロックマニアもはまったと思われる名作。堂々たる70年代サウンドである。70年代幕開けにこんなアルバムが出ていたんだから、アメリカもロック大国になって当然。そこまでの説得力がある。タイトル曲は今でも私の元気の火付け役。曲も詞もとことん素晴らしい。troubled water、などというセンスはロック連中にはなかった。 |
URIAH HEEP |
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名曲 |
しかしいまだに読めんアルバムタイトル。ベリー・ヘヴィー・ベリー・ハンブルでいいんだろうか。 今の若い人にはわからんだろうが、レコードジャケットというのはCDの4倍くらい?の大きさがあったので、こういうジャケットは本当にインパクトがあった。デビュー時の印象はまるでホラーだった。 どこかの中古盤屋で安く買った、元々おんぼろの傷だらけのレコード盤でこういうのを聴いて育ったもんだから、私のような老人はこの時期の音をCDで聴くとびっくりすることがあって、このアルバムもそう。 鍵盤奏者が率いたブリティッシュロックバンド、確かにそういう音が多いし、ボーカル+コーラスの素晴らしさ、それにアコースティック面でも東西随一のグレードを魅せたバンドであるが、ファーストアルバムは意外にハードロック全開サウンドでもあった。 |
BLACK SABBATH |
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名曲 |
何年経っても思うが、オープニング曲"Black Sabbath"ほど陰鬱で気色悪い曲はない。なんでも13日の金曜日にリリースされて、当時は大きな話題を呼んだそうだが、ここまでの音だったらそれはもう気絶者、ションベンちびり者も出ただろう。悪鬼にしか思えないオジーの歌声とは別に、演奏面はものすごく正統派で、ファーストアルバムにしてN.I.B.のような曲構成は奇跡的だった。歌がメインであったことだろうが、しかし演奏が始まるとなかなか歌に戻ってくれないというところがブリティッシュロックの矜持である。FREEと同様、メンバーが10代とは絶対に思えない。 |
FREE |
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名曲 |
"All Right
Now"は屁曲だと思う。何がどう素晴らしいのか、アホ(私)はちっともわからない。 しかしギターとボーカルのねちっこいハーモニーが素晴らしいスローテンポの超名曲"Fire and Water"、それにギター&ベースバトルが物凄い"Mr.Big"がハイライトだと思う。とりあえず世界的名曲"All Right Now"がオマケにすぎないという凄いアルバム。 |
ベスト10!
CHICAGO |
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名曲 |
ブラスロックの旗手、セカンドアルバムにして城が完成したという名作。あまりに個性的すぎて、BLOOD
SWEAT & TEARSというたったひとつの兄弟バンドしか生まなかった(...と思う)。意外にハードロックで(ロシアンルーレットで死んでしまったというテリー・キャスのギターが超絶的)、それに全体的に無骨な印象がポイント高い。80年代のシカゴとは別物である。 ただ、ピーター・セテラだけがこの時代からこの声。 |
EMERSON, LAKE &
PALMER |
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名曲 |
プログレの真髄やらキーボードの革命児というキャッチフレーズに間違いはないが、プログレの神様はこのバンドに限らず、プログレを演る前に何でも屋であるという法則を、このアルバムもまったく外していない。ギターレスサウンドのロックの凄み、結局ギター入りの他のハードロックと比較して何の遜色もないというか、結局全部同じく素晴らしい。 キース・エマーソンはキーボードの魔術師というより、本業鍵盤屋の何でも屋さんである。巷で言われているほどファンタジーに入れ込んでいたわけではない。 |
PIMK FLOYD |
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名曲 |
世界紀行、特に「チベット仏教遺跡を巡る」のような番組で延々流れているのが物凄く似合い過ぎのような、実際必ずそういうテレビ番組が存在していたに違いない、そんな音である。 日本盤では「原子心母」というタイトルがついていたが、英訳そのまま、さすがにわけがわからない。 オープニング曲と呼んでいいのか、レコード面ではA面(おもて面)まるまる全部占めたタイトル曲は20分近くまったく飽きさせない。今のロックファンには環境音楽に聞こえるかもしれないが、くせになるヒーリングミュージックという接し方でもこのバンドの魅力は何も変わらない。 "Summer of '68"の必殺混沌パワーは後の"THE WALL"あたりの世界に繋がるものがある。 |
CACTUS |
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名曲 |
本当にやかましい音。なんちゅうハードロックだと、初めて聞いた高校生のときに思った。このアルバムが世に出てから10年以上経っていたけど、私は古典の凄さを思い知った。 カーマイン・アピスの素ロック殴り込み作品であるが、73年にジェフ・ベックと結成するBBA、ティム・ボガートとの人間台風のような暴れっぷりはこのCACTUSのファーストでしっかり堪能できた。笑うくらいやかましい。70年代ロック史上いちばん攻撃的な音を出すベーシスト+ドラマーだった。 |
BEATLES |
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名曲 |
アビーロードはなんか出来過ぎのような感じがして、こっちのLET
IT BEのほうがカジュアルな感じで、そしてどこか寂しい感じがするから良いと思う。 これは名曲アルバムではなくサウンドトラックだ、と主張するファンが僕の若い頃にいたけど、たとえそうであるにせよ、寂しくて哀しい超名曲が2曲ほどあるアルバム最後にGet Backという、アルバム構成を全然考えていないようなアルバム構成が今となればひとつの明確なアルバム構成、何かを狙ったアルバム構成のように思えて、何かこう、でこぼこな感じの雰囲気が他のアルバムよりも突出して素晴らしい。私というしょうむない人間が一番先に飽きてしまった世界で一番有名なバンドの、いまだ聴いても飽きない唯一のアルバムがこれです。 ストーンズは私の思い出です。だから何を聴いてもめちゃくちゃ懐かしい。そいで、ビートルズを聴いたときは懐かしいというより、人の子で良かったと思う(泣)。思い入れに乏しい分、単純に名曲中の名曲であるということが沁みてくる。 しっかし...途中まで慟哭のバラードなのに急に盆踊りみたいになるジョージ・ハリスンの"I Me Mine"は名曲であり超迷曲ですな。 |
NEIL YOUNG |
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名曲 |
私の心の名盤。アンプラグドのロックとはこういう音を言う。 私が若かりし頃、1990年、なぜかロンドン滞在中(不法労働滞在)よく聴いたアルバム。一緒に日本を出発した、途中で日本に帰ってしまった、在りし日の親友K君がよく聞いていたのである。私もいっぺんにはまった。 座って生楽器持って演奏してはいアンプラグド、ってなめとんのか90年代ロック、と90年代、よく思った。 誰にもわかってもらえない無骨な人間の繊細さ、そんな人間哲学を今ではこの音に感じてしまうが、この世界がしっかりと大衆ロックに食い込んだということにすごく時代を感じる。こういう世界をいまだ愛す私などはますます世の中から浮いていく。 ちなみにK君は今も元気に九州で生きている。元気か〜? また大阪来いよぉ〜 |
GRAND FUNK RAILROAD |
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名曲 |
ハードロックライブアルバムとして、1970年というこの古い時期にこうして教科書、大スタンダードが世に出ているのに、なぜこれになぞらない、つまらないライブ盤(特に80年代以降)が多かったのか。中途半端なスタジオ盤サウンドの再現というパターンがなんせ、いちばん面白くない。私がライブアルバム嫌いな理由であります。 このアルバムは本当に凄い。 特にこの時期までのスタジオアルバム3作のサウンドはほとんど歪みのない優等生的かもしれない音でありながら、あれらの曲の生演奏がいつもこのライブアルバムの音だったとしたら、まあ何という嬉しい嘘つきさんたちだったんだろう。 この作品のように、躍動感を超えた猛りがあってこそ、ライブアルバムとして歴史に残る価値がある。 |
第3位! |
PROCOL HARUM |
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名曲 |
「蒼い影」、ああいう仕掛けの大きいイージーリスニング路線?をアルバム何作か続け、そして「ロックに開眼した!」と評されたのがこの作品。オープニング曲"Whiskey Train"の馬鹿馬鹿しいまでのノリが永遠のロック賛歌に聞こえる。本当に名作の多いバンドだった。まだ活動中というから恐れ入る。 |
第2位! |
LED ZEPPELIN |
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名曲 |
個人的にはツェッペリンの作品の中で一番好きな作品。オープニングはいまだ光る超強烈インパクト。鎖を振り回したくなる。曲の良さ、かっこよさ、深み、何から何まで完璧ということは多くのロックファンが語るところ。 「天国への階段」などより「タンジェリン」のほうが私は好きです。レコード盤はもうとうの昔にボロボロになってどこかにしまってあるが、そのぼろっちい音もこの時期のサウンド特有の趣きと長い間思ってきたものを、CDで聴いて本当に感動したな。初めて聴いたとき、そしてCD化されたものを聴いたとき、2回頭が真っ白になるくらい感動した。 “Since I've Been Loving You〜貴方を愛し続けて”はブルースロック歴代最高傑作。ジミー・ペイジが日本の昭和演歌をモチーフに作ったというのはウソのような本当の話。 |
第1位! |
THREE MAN ARMY |
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名曲 |
GUNのガーヴィッツ兄弟がGUN解散後即結成したバンド。これは本当に名盤。 GUNは多分に前衛的だったけど、こっちはブリティッシュロック真正面の正装スタイル。これを聴けばレッド・ツェッペリンすら異端に聴こえる。歌よし演奏よし曲よし。モンスターバンドの陰に隠れてしまっているようなアルバムだが、こんな名曲集はこの時代でもめったにあったもんじゃない。 オーケストラを普通に使用しているタイトル曲が特に感動的であるが、ラストナンバー"Together"の哀しいメロディーラインは男なら聴かずに死ねるかという絶品。知らないロックファンがかわいそうである。 |