1972年

リアルタイムで聴いたわけじゃないが、
FLOWER TRAVELIN' BANDの"MADE IN JAPAN"が
特に思い入れの深いこの年。

パープルのマシン・ヘッドが出た年ということで
「ハードロック」が洋楽いちばんの
大きなジャンルとなりつつあったのもこの時期。

プログレ勢の奮闘も聴き逃せない。



個人的評価100点満点作品 全19枚



19位!

DEEP PURPLE
MACHINE HEAD


名曲
"Highway Star"
"Smoke on the Water"
"Lazy"
"Space Truckin'"

 私の無駄に長い生涯でおそらく何100回と聴いたアルバムに違いないが、聞き飽きてしまったのか、あまり思い入れは深くないアルバムであるからして、すんません。ただ、古典であるという雰囲気以上に現在のメタルのすべてのルーツという神々しい空気はさすがと思う。Highway Starが走らなかったら、後のメタル全盛はもっと違う形になっていたかもしれない。




18位!

HUMBLE PIE
SMOKIN'


名曲
"Hot 'n' Nasty"
"C'mon Everybody"
"30 Days in the Hole"

 音はスモーキンというイメージそのもので、「わかば」を吸っている(...安いから)私のような人間からすれば誠に素晴らしいと言わずして何と言えばいいのか。
 タバコ持って写ってる写真が雑誌に載ってそれは大問題とあわてるどっかの大御所アホバンド。
 またそれを人間として正しいと思う、禁煙権運動をおし進めるロックファンなんてのがいて笑わせる。タバコの煙を嫌うのが人権なら、お前らを疎ましく思うのも人権だ。何の話だ。
 不健康な空気でありながらこの艶。この作品は歌の名盤でもある。




17位!

NEIL YOUNG
HARVEST


名曲
"Out in the Weekend"
"Heart of Gold"

 前作"AFTER THE GOLDRUSH"パート2のような作品。
 この人の場合、感動的な音楽といっても入り口で入場制限するみたいなところがあるので、今どれほどの洋楽ファンが満足するのかはまったくわからない。乱暴狼藉とはほど遠く、音のタッチはあくまでも柔らかいが、しかし無粋で無愛想な人柄を感じる。この人が長年歌い続ける哀愁はアメリカの文化である。




16位!

BLACK SABBATH
VOL.4


名曲
"Wheel of Confusion"
"Tomorrow's Dream"
"Changes"
"Supernaut"
"Snowblind"
"Cornucopia"

 重々しいがどこかポップだという変なアルバム。
 前作"MASTERS OF REALITY"は人間が造ったものじゃないという雰囲気だったが、このアルバムはかろうじて人間らしさもある。聴きやすいので代表作品だと思う。今や数多いストーナーメタルバンドは90%がこのアルバムの世界を目指しているが、それはまったく正しくて普通のことである。




15位!

THE ROLLING STONES
EXILE ON MAIN STREET


名曲
"Rocks Off"
"Rumblin' Dice"
"Sweet Virginia"
"Happy"

 初のレコード盤2枚組大作。しかし大作の印象の薄い、曲の多いお得アルバムという印象があった。
 どちらかと言えばリラックスした感じのお気楽なロックンロールが多く、キースの"Happy"には新境地を感じた。食あたり起こしそうな感触もあり。




14位!

WISHBONE ASH
ARGUS


名曲
"Time Was"
"Somwtime World"
"Warrior"

 ハードロック古典として、ディープ・パープルの10倍ギターが暴れ倒している作品。
 哲人にならずこのアルバムのパート2パート3パート4...みたいにアルバムを出し続けてくれれば玄人受けバンドということにはならなかったはず。このアルバムに限り非常にわかりやすいサウンドである。
 紆余曲折を経て今も活動中。BEN GRANFELTが加入していたことがあったが、今も在籍してるんだろうか。




13位!

BILLY JOEL
COLD SPRING HARBOR


名曲
"She's Got a Way"
"You Can Make Me Free"
"Everybody Loves You Know"
"Nocturne"

 長い間ファーストアルバムは「ピアノ・マン」として通ってきたが、その2年前、まったく売れず即闇に消えた本当のファーストアルバムが突如として再リリースされたのが80年代真ん中ごろ。このアルバムである。
 飾りつけのあまりの少なさに呆気に取られるが、しかしピアノ男のファーストアルバムとしては大きな説得力を持つもので、それが理由に一度再リリースされたら今の今までずっと廃盤になっておらず国内盤でもしっかり買えるという根強い人気。このアルバムがいちばん「ピアノの詩人」という雰囲気。曲もこの時期からもう名曲揃い。




12位!

URIAH HEEP
DEMONS AND WIZARDS


名曲
"the Wizard"
"Traveller in Time"
"Easy Livin'"
"the Spell"

 アコースティックサイドとエレクトリックサイドが最高のバランスで際立った名作中の名作。
 バラードで幕を開けておきながら、「動」のURIAH HEEP最高傑作"Easy Livin'"が収録されているという型破りなイメージの作品。前作"LOOK AT YOURSELF"よりもずいぶんと肉が削げ落ちた雰囲気だが、水車がハイスピードで回転しているような独特のノリは健在どころか、冴えを増している。




11位!

SAVOY BROWN
HELLBOUND TRAIN


名曲
"Hellbound Train"

 このバンドらしく、STATUS QUOあたりに比べてマイペースも極まる地味なブギスタイルの曲がだらだらと続く作品であるが、ラスト、9分に及ぶタイトル曲が間違いなくこのバンドの最高傑作。
 70年代ロックは暗く詩を語る自閉症ロッカーの集まりだったというのもひとつの解釈であり、その解釈を認める人にはこのアルバムは★5つである。





ベスト10!

10位!

YES
CLOSE TO THE EDGE


名曲
"Close to the Edge"
"Siberian Khatru"

 名作"FRAGILE"からほとんど時期を空けずに録音された作品であるが、音そのものは同じバンドの音でも作風がまったく違った。なんと、たった3曲しか入っていない。当然大作志向作品である。「わかりにくい版FRAGILE」という雰囲気もあり。マニアは"FRAGILE"よりもこっちを誉める。




9位!

MOTT THE HOOPLE
ALL THE YOUNG DUDES


名曲
"Sweet Jane"
"All the Young Dudes"
"Ready for Love"

 デイヴィッド・ボウイ書き下ろしのタイトル曲は永遠のアンセム。いつ、またブームが来てもおかしくないくらいの名曲。いつどこの会社がテレビコマーシャルに使うか。
 ミック・ロンソン&イアン・ハンターがいたバンドというのはおそらくイギリスでは常識に近いくらい有名な話であり、それにミック・ラルフス(...BAD COMPANYの今に至るまでのパーマネントメンバー)がいたバンドである。BAD COMPANYファースト収録の名曲"Ready for Love"の赤ちゃんのようなバージョンがここで聴ける。




8位!

FREE
HEARTBREAKER


名曲
"Wishing Well"
"Come Together in the Morning"
"Heartbreaker"
"Muddy Water"
"Easy on My Soul"

 FREEいちばんの名曲集。
 オープニングナンバー、乾坤一擲のギターリフで超有名な"Wishing Well"はハードロック文化を代表する世界一の名曲。なぜかポール・コゾフがゲスト扱いになっているが、裏事情などマニアックな連中だけの語り草、本当にFREEらしいこのサウンドにいらぬ分析は無粋である。
 ベーシストは山内テツという正真正銘の日本人。ひげマスターみたいな人だった。何者だったんでしょう。




7位!

DAVID BOWIE
THE RISE AND FALL OF ZIGGY STARDUST AND THE SPIDERS FROM MARS


名曲
"Five Years"
"Soul Love"
"Starman"
"Hang on to Yourself"
"Ziggy Stardust"
"Suffragette City"

 奇跡の名曲集。「ジギー・スターダスト」というタイトルが有名。しかし元タイトルはこれだけ←長い。
 80年代、おっさんダンサーに変身なさったこの御大であるが、こういうアルバムがあるということを知るだけで印象そのものが全然変わると思う。
 ギターソロもまた素晴らしい。白熱のインストバトルのようなカラーとはまた全然違うが、あくまで耳で感じる印象として、この時代の音楽要素が何から何まですべて詰まっていた印象を受ける。人物像が残したインパクトも歴史的なものだったかもしれないが、音楽そのものの素晴らしさも歴史的なものだった。






6位!

EMERSON, LAKE & PALMER
TRILOGY


名曲
"the Endless Enigma"
"Hoedown"

 歴史的名作「展覧会の絵」は、私はよくわからん。
 このアルバムで完全にハードロックに対抗できるパワー、いや、ギターレスでもハードロックそのものと言える奥義をモノにした奇跡的な作品。これまではファンがわざわざ交通手段を使って出向いていかなければならないところに棲んでいたこのバンドが、いきなり街の中心にドカーンと城を構えたような、そんなアルバムだった。"the Endless Enigma"はたいがい長い曲だが、EL&P最高の名曲である。 




5位!

JERICHO
same


名曲
"Ethiopia"
"Featherbed"
"Kill Me with Your Love"

 このバンド名はダテではなく、本当にイスラエルのバンド。
 ユーロロック? アホ言いなさい。
 実際何がイスラエルだというくらい垢抜けたハードロックで、何も知らないで聴けばブリティッシュの豪傑の名作だと思うこと確実。
 YARDBIRDSのキース・レルフが結成し75年にアルバムを出した、あの超ド級ハードロックバンドのARMAGEDDON、あれにちょっと似てる音かもしれない。少々の70年代ロックファンならこのアルバム絶対知らないと思うので、これからもそういう連中をびっくりさせるための小道具として何回か役に立ってくれることだろう。
 オープニング曲のブチ切れた歌いっぷりもハードロックを超えてヘヴィ・メタルシンガー風でもある。とりあえずこういうフリースタイルのハードロックを聴けば有名なバンドの有名な曲がいかに型通りの優等生であるかを思い知る。




4位!

STATUS QUO
PILEDRIVER


名曲
"Don't Waste My Time"
"O Baby"
"Big Fat Mama"
"Paper Plane"
"Roadhouse Blues"

 とてつもなくホコリくさい泥くさい音で、このバンドの重量級ハードロック作品第1弾という名作。
 ブルーステイストのギターがたまりまへん。この時期一番人気あったプログレ連中と、いちばん対極にいたバンドである。
 プログレ連中は多分にハードなサウンドを意識していたようなところがあったが、このバンドは素、全然の素、尻かいてビール飲んでるおっさんくらい素のサウンドである。計算なしに勝手に出来てしまった音、そんなカラーが素晴らしい。



第3位!

THE FLOWER TRAVELIN' BAND
MADE IN JAPAN


名曲
"Unaware"
"Kamikaze"
"Hiroshima"

 個人的には"SATORI"を超えた作品だと思う。
 EMERSON, LAKE & PALMERの「ラッキー・マン」で幕を開ける(カバーじゃなく本物という前代未聞のパターン)その構成の理由は何か、聴いて確かめてください。
 黒人とのハーフであるジョー山中、残念ながら亡くなられたけど、今から40年前の作品、ここでもう歌声は人間離れしていて、神々しさがあった。
 ブルースロックをベースに、日本人らしさもちょろちょろと。歌謡曲らしさであるはずがなく、まさにサムライロックとでも紹介するしかない。"Unaware"の後半の盛り上がりは物凄いものがある。
 音圧で攻めてくるのではなく、この感情的な盛り上がり。泣けてくる。




第2位!

CAPTAIN BEYOND
same

 

名曲

"Dancing Madly Backwards"
"Mesmerization Eclipse"
"Thousand Days of Yesterdays"

 ディープ・パープル、イアン・ギランの前のボーカリストがIRON BUTTERFLYのメンバーと結成したバンド。
 もうホント、これは凄い。オープニング、パッタパッタと安っぽいこのおっさんハードロックのリズムはなんじゃいと誰でも思うが、3分我慢して聴け。ソロあたりのアップテンポで絶対顔色変わるから。
 これが2作、3作と続けば100%絶対パープル、ツェッペリンに続く3番手になっていた。たった1作だけだから伝説なのだ、とは言うが、それにしても惜しい。
 ちなみにセカンド、サードまで出ているが、内容はホントにつまらない。




第1位!

T.REX
THE SLIDER


名曲
"Metal Guru"
"the Slider"
"Telegram Sam"
"Main Man"

 「メタル・グゥルー」は鋼(はがね)の糊。T.REXは本当にそういう音を出すバンドだった。
 粘っこいが硬い、という音がこれ。物理的にあり得ないものが、音という形で存在している。
 たいがいのベスト盤にはこのアルバム収録の名曲もすべて収録されているが、今聴いてもド派手なグラムロックのイメージより、ただただ楽しい曲の素晴らしさが70年代ロックパラダイスという印象、このアルバム1枚でお腹いっぱいという気になる。化粧したロックというよりも、地そのものが派手だった。




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