1973年

この年は名作が多かった。
QUEEN、AEROSMITH、MONTROSE、
LYNYRD SKYNYRD、BRUCE SPRINGSTEEN。
この年にデビューを飾ったバンドである。



個人的評価100点満点作品 全25枚


25位!

NAZARETH
NAZAMANAZ


名曲
"Razamanath"
"Broken Down Angel"

 NAZARETHといえばこれというくらいの有名な作品。NAZARETHとはこういうバンドだというデカい声の所信表明が以降30余年にわたって続くという記念碑的な作品。2013年現在いまだ現役活動中。
 泥臭いポップハードロック、音楽性はまさにこれでよし。これしかない。




24位!

QUEEN
same


名曲
"Keep Yourself Alive"
"Great King Rat"
"Liar"

 デビュー時、本国イギリスでこれほど酷評されたバンドもいない...というのはあまりに有名なエピソード。生涯たった一度だけ目にして以来二度と忘れることができない言葉が、このアルバムのライナーノートにあった「しょんべん桶(おけ)」という言葉である。貶され方にも程度がある。古今東西、評論家などアホの集団ということである。
 クイーンが評価されたのはセカンドアルバムからであるが、ファーストアルバムも実際名曲が何曲も収録されている。ファンで、このアルバムに文句をつけようという人はいないだろう。"Liar"は80年代後半になってもライブのレパートリーに入っていた。




23位!

JOE WALSH
THE SMILER YOU DRINK, THE PLAYER YOU GET


名曲
"Rocky Mountain Way"
"Book Ends"

 "Rocky Mountain Way"はアメリカンロック代表の名曲。
 ジョー・ウォルシュといえばイーグルス、というのはあんまり的を得た言葉ではない。この人がイーグルスに参加したのはライブ盤・再結成後含まない全アルバム6作中4作目"HOTEL CALIFORNIA"からで、イーグルスはどうもこの人にとっては同じアメリカンロックながら、正装し過ぎのスタイルだったように思える。
 JAMES GANG(...ジョー・ウォルシュ脱退後あのトミー・ボーリンが加入、ディープ・パープル加入前の話)というバンドを脱退してから出したソロアルバム2作目に当たるのが、この意味のよくわからないタイトルの作品。
 ま、どうしてもイーグルスと比較してしまうかもしれないが、オールマン・ブラザース以上に泥臭いオヤジロックである。まだ20代後半だったというのに。




22位!

THE WHO
QUADROPHENIA


名曲
"the Real Me"
"Doctor Jimmy"
"Love Reign o'er Me"

 どこかで書いたように私はWHOがよくわからんというロックマニアの風上にも置けん人間であるが、これは"TOMMY"に似た雰囲気のアルバムで、結構聞きやすくて素晴らしいと思う
 "the Real Me"はもはやオールディーズ宴会ロックバンドではない、スケールのでっかいブリティッシュロックである。仕掛けの多いサウンドだと思うが、手数の多さをアピールする以前に太〜いブリティッシュロックである。




21位!

STATUS QUO
HELLO !


名曲
"Roll Over Lay Down"
"Claudie"
"Caroline"
"Forty-Five Hundred Times"

 神様仏様STATUS QUO様、一番有名なアルバムがこれである。
 しかしこのアルバムをこともあろうに、あまり好きでないという私はアホである。どうも弾けが足りないような気がする。
 前作"PILEDRIVER"のほうが楽しそうで、よっぽどQUO様らしい。こっちのQUO様は何か度の合わない眼鏡をかけてらっしゃるような気がする。




20位!

SLADE
SLADEST


名曲
"C'Mon Feel the Noize"
"Gudbye T.Jane"
"Take Me Back 'ome"
"Mama Weer All Crazee Now"

 これはこの時期まで3〜4枚のベストアルバムだったと思う。オープニングの超有名曲"C'Mon Feel the Noize"が特典だったのかな。
 私はこんな音も結構好きであるが、目玉曲以外はやはりどうしようもなく地味な感じで、弾ける以前の時期のベスト盤ですので普通のリスナーにはあまりアピールしないかもしれない。超有名曲が漏れなく入ったベスト盤はこれ以降にもいっぱい出ている。




19位!

AEROSMITH
same


名曲
"Make It"
"Somebody"
"Dream On"
"Mama Kin"
"Walking the Dog"

 何かこう、エアロはセカンドからという評価が昔当たり前だったような気がするが、とんでもない。このファーストから素晴らしいバンドだった。確かに古臭い音質で、セカンドアルバム以降の全アルバムと比較して、薄っぺらい感は否めない。浮いているアルバムである。それゆえ「ドリーム・オン」などベスト盤で済ませりゃいいかもしれないが、70年代ロックファンには絶対このアルバムも外せない。
 オープニング2曲はどのベスト盤にも入っていなかったと思う。今のリスナーはどう思うか知らんが、70年代先端のブルースロックだったことは間違いない。自分の耳を70年代にフォーマットすればこのアルバムもまた名作になる。




18位!

GRAND FUNK RAILROAD
WE'RE AN AMERICAN BAND


名曲
"We're an American Band"
"Stop Locckin' Back"
"the Railroad"

 アメリカンハードロック代表ではなく、アメリカ代表である。
 あまりに勇ましいイントロ、ぐっと首根っこつかむメロディー、そしてアメリカンロック賛歌そのものであるカウベルの音。アメリカそのものをぼくらは教えてもらったという、永遠の名曲である。
 そしてアメリカとはこういうものじゃないとか、マイナス方向に話を進めてしまうことなど本当に無粋である。音楽で夢見させろ、と今でも思う。




17位!

GREG ALLMAN
LAID BACK


名曲
"Midnight Rider"

 ALLMAN BROTHERS BANDのリーダー、グレッグ・オールマンの初ソロ作品。バンドの音を期待して聴けば、寝る。オープニングナンバーから最高にけだるい空気で、そして不思議とポップである。ロックファンが聴けば眠い作品かもしれないが、それは大らかだということである。




16位!

ALICE COOPER
BILLION DOLLAR BABIES


名曲
"Elected"
"No More Mr.Nice Guy"

 今なお現役、常に最先端のメタルを意識しているというスタイルは見事なんてものじゃなく、アメリカの人間国宝である。メジャーハードロック界では世界一の働き者である。このアルバムは7作目。今に通じるアリス・クーパー像が初めて描かれた作品だと思う。




15位!

DARRYL WAY'S WOLF
CANIS-RUPIS


名曲
"Isolation Waltz"
"McDonald's Lament"

 ブリティッシュ・プログレッシヴ堂々の名盤だそうだが、そのへんの解説は勘弁してほしい。
 アンプラグドロックの底力+ヘルプにキーボードさんバイオリンさん登場、という単純な解釈でいいと思う。
 ラストの"McDonald's Lament〜悲しみのマクドナルド"は伝説化している名曲。バイオリンが美しい歌を歌っている。誰だマクドナルドって?と思えば、このアルバムのプロデューサー、かつてKING CRIMSONファーストの1ブレイン、のちアメリカに渡りFOREIGNER結成にも関わったりして、そして2000年近くに大名盤"DRIVER'S EYES"を出した、今も健在イアン・マクドナルドのこと。




14位!

BLUE OYSTER CULT
TYRANNY AND MUTATION


名曲
"the Red and the Black"
"O.D.'d on Life Itself"
"Hot Rails to Hell"
"7 Screaming Diz-Busters"
"Mistress of the Salmon Salt"

 世界的名声を得たのはもう少し後かもしれないが、このバンドはデビューした頃から名盤を続けて出している。
 ブリティッシュ産にはなかった空気があるが、そんなこと以上にモンスター然とした音であり、曲によっては大魔神が暴れているようなのもある。メタルの歴史に永遠に残る凄みはまさにぬーっ、という感じでこのセカンドアルバムから登場した。
 これがライブアルバムになるとさらにどかんとハードロック化していて、腰が抜ける。




13位!

BRUCE SPRINGSTEEN
GREETINGS FROM ASBURY PARK, N.J.


名曲
"Blinded by the Light"
"Growin' Up"
"Lost in the Flood"
"Spirit in the Night"
"It's Hard to Be a Saint in the City"

 意外にこのファーストが素晴らしい。
 昔、夜中にテレビでやってた70年代のアメリカ映画などは、最近のDVDリマスターバージョンとは違い、最初から画面が薄く黄色がかっていて、町の景色も非常にしょぼい感じがした。
 この音はそんな印象。ダサいを超えたダサさがあるが、しかしカジュアルで大らか。私のような人間には非常に快適な空気である。




12位!

BILLY JOEL
PIANO MAN


名曲
"Travelin' Prayer"
"Piano Man"
"Captain Jack"

 こんな音があるんだから、私はガキのころからアメリカンロックがずっと好きなのだ。この音がアメリカから追い出されたのなら話は別だが、これが大きく受け入れられたということは、実際アメリカ人はネアカのアホばかりではないということである。
 "Piano Man"という曲は同時に「ハーモニカマン」でもあり(聴けばわかる)、歌とメロディーの素晴らしさだけではない、100年経っても飽きない名曲である。
 ラストの"Captain Jack"がのちの大劇場エンターテイナーぶりを予言しているような気も。




11位!

MIKE OLDFIELD
TUBLAR BELLS


名曲
"Tublar Bells"

 レコード盤ではA面1曲B面1曲全2曲という構成。
 この作品が即、映画「エクソシスト」のサントラに使用された。輸入盤には何も書いていないが、同時に映画「エクソシスト」のサントラでもあったわけです。あのヒョウヒョウと怖いあの曲はまるっきり全部がこのアルバムだった。
 とはいえ25分25分計50分、ずっとあの怖いメロディーが流れ続けているわけではなく、なかなか爽やかな印象をまきちらして幕切れという、これはもう今においても聴く価値大有りのインスト音楽の最高傑作である。




ベスト10!

10位!

THE ALLMAN BROTHERS BAND
BROTHERS AND SISTERS


名曲
"Wasted Words"
"Ramblin' Man"
"Southbound"
"Jessica"

 オールマン・ブラザースバンド一番の名曲"Ramblin' Man"収録。
 このリラックスしまくったロックンロールがアメリカンロックの大きな効用を教えてくれる。何が飛び出してくるのかわからないようなジャケットだが、このジャケットの子供のように、多くのミュージシャンがこの音を聴いて育った。大木でもあり、またきれいな花でもあるという音。




9位!

BECK, BOGERT & APPICE
same


名曲
"Lady"
"Superstition"
"Sweet Sweet Surrender"

 スティーヴィー・ワンダーの「迷信」名カバーでも有名な作品であるが、まず、"Lady"(2曲目)の凄みに尽きる。反則やわこんなん、と初めて聴いたとき思った。スーパーテクニカル路線は迫力勝負である。たとえばイングヴェイまるむしのスーパー奏法など、CDサイズの画面のちっちゃなテレビに映ってる中国雑技団のようなもの。
 このリアルでバーチャルなクソど迫力。何10メートル×何10メートルのスクリーンが似合う爆発音映像である。特にティム・ボガートのベースが壮絶で、この音はCACTUSのファースト直系でもある。




8位!

MONTROSE
same


名曲
"Rock the Nation"
"Bad Motor Scooter"
"Space Station #5"
"Rock Candy"

 脅威の新人ボーカリスト、サミー・ヘイガーのデビュー作でもあった。
 アメリカンロックの歴史に残る名曲集でもある。この音の下地、礎は100%正しく80年代メタルの基礎となった。メタルの始祖の作品として、このアルバムあたりが一番前に来るという解釈も大いにあり。そのくらいわかりやすい音である。




7位!

ELTON JOHN
GOODBYE YELLOW BRICK ROAD


名曲
"Funeral for a Friend / Love Lies Bleeding"
"Candle in the Wind"
"Benny and the Jets"
"Goodbye Yellow Brick Road"
"I've Seen That Movie Too"
"Saturday Night's Alright for Fighting"

 80年代以降のロックファンには、エルトン・ジョンの印象を覆す作品になった名作中の名作。このアルバム、知らないという人はまずレンタルでも何でもいいから絶対聴いてみてほしい。
 エルトン・ジョン流名曲の宝庫作品であることに加えて、オープニング10分の様式美&ハードロック天国は今聴いてもホトホト凄いと溜息。DREAM THEATERがミニアルバムでまるまるカバーしていた。ダイナミックで感情的なものが好きなメタルファンはまず100%絶対ハマる。(オープニング曲だけ)




6位!

MOTT THE HOOPLE
MOTT


名曲
"All the Way from Memphis"
"Hymn for the Dudes"
"Drivin' Sister"
"I Wish I Was Your Mother"

 代表作品。この音の艶は永遠不滅である。わかりやすさで言えば70年代屈指の名作。
 知らない人が気の毒になってくるくらい楽しいアルバム。解釈なしで、とにかく楽しいアルバム。誰でも弾けるオープニング曲のピアノは、一生忘れられないくらい秀逸なメロディーラインである。




5位!

THE ROLLING STONES
GOATS HEAD SOUP


名曲
"Dancin' with Mr.D"
"Coming Down Again"
"Doo Doo Doo Doo Doo (Heartbreaker)"
"Angie"
"Silver Train"
"Can You Hear the Music"
"Star, Star"

 ストーンズ一番の名曲集。オイオイ何だこれ、というくらいダラけたオープニング曲が笑わせてくれるが、何やら呪文にかけられたような陶酔も湧き上がってくる。大変妖しい(怪しい)アルバムでもある。
 このアルバムといえば"Angie"であるが、その"Angie"がメインイベントには聞こえないこの楽曲の充実度。"DOO×5"は隠れた名曲で、単純にこの時期一番かっこよかったストーンズの御姿が拝める。
 その他"Silver Train""Can You Hear the Music""Star Star"など、あんたは本当にストーンズフリークか?を判断するような隠れた名曲がずらりと並んでいる。個人的にストーンズで一番好きなアルバム。




4位!

PINK FLOYD
THE DARK SIDE OF THE MOON


名曲
"Breathe / Speak to Me"
"Time"
"Money"
"Us and Them"

 一体、チャート何位までが「公式」なのかよく知らないが、80年代に入るまでアメリカビルボードチャートに居残り続けたという、本当のお化けアルバム。そんなアルバムは歴史上たったこのアルバム1作きりだそうだ。
 音のさざ波からはじまり、そして津波が来る。聴く、ただそれだけのことが忘れ得ない体験になるという音など滅多にあるものではない。
 1973年、この年は本当に名作が多すぎた。このアルバムが4位なんて、お怒りの方も絶対おられるでしょうが、4位から1位まではすべて順不同ということで。





第3位!

RORY GALLAGHER
TATTOO


名曲
"Tattooed Lady"
"Cradle Rock"
"They Don't Make Them Like You Anymore"
"A Million Miles Away"

 70年代ロック名作中の名作。正統派一本やりだから、誰が見ても聞いても本当の名作である。
 ハードロック番長としても有名な人だったが、このアルバムは意外なフォークロックで幕を開ける。この哀愁味は泣ける。2曲目でバリバリのハードロックへ。STATUS QUO同様、普段やってることを力いっぱいやったらたまたまハードロックになってしまったというところがポイント高い。ロック宗教色ゼロで、本当に素である。
 これにハマってしまえば、雑誌の特集などでよく出てくる70年代ハードロック代表が、ただのロック教宣伝道具じゃねえかなんて不埒なことも思ってしまう。
 "A Million Miles Away"、バラードロックも最高に素晴らしい。




第2位!

LYNYRD SKYNYRD
same

 

名曲
"I Ain't the One"
"Tuesday's Gone"
"Simple Man"
"Things Goin' On"
"Free Bird"

 レーナード・スキナード、さて70年代ロックファンのアナタはこのバンドの正しい綴り書けますか? というクイズにもなる。
 このアルバムもまた、アメリカンハードロック永遠の名盤である。ハードロックなのだ。「表」の解説はどこか他のサイトで読んでもらうとして、黙って聴いてください。
 バリバリの激重疾走戦車サウンドというわけがないが、しかし感情剥き出し、特にメロディーを惜しげなく場所考えずにざあざあ流してくれるところが絶対にハードロックリスナー向き。名曲"Free Bird"は斜めから見ずとも絶対ハードロックである。他も名曲のオンパレード。




第1位!

PROCOL HARUM
GRAND HOTEL


名曲
"Grand Hotel"
"T.V.Caeser"
"Souvenir of London"
"Bringing Home the Bacon"

 ある意味ロックからもかけ離れた作品だが、興奮と感動とどっちが大事と聞かれて、感動だ、と答えてしまうような、そういう大き過ぎる感動もあるわけで、このアルバムのことである。
 前作"HOME"はロック的、あるいはR&B的なカラーが入った作品だったが、この作品こそPROCOL HARUMの真骨頂である。グランド・ホテル、その言葉の印象通り徹底的にゴージャスでハイクラスな世界。
 貧乏に向けた反動とか、そういうのは全然別の世界。本当にゴージャスなものには、人間なら必ず感動し安心できるようなものである。僻(ひが)みを捨てさせてくれる音楽である。




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