1974年
この年も名作が多かった。
いよいよ世界音楽はロックを中心に動き始めてきた、
そういう時期だったと思う。
キング・クリムゾン断末魔の年。
個人的評価100点満点作品 全25枚
ERIC CLAPTON |
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名曲 |
レゲエが好きと言えばモテたという時代があったのだが、私はいまだにレゲエが全然わからん。だから"Cocaine"や"I Shot the Sheriff"など眠気しか感じない。ところが"Let It Grow"は何度聴いても感動的な名曲。「天国への階段」と一部コードが同じということで有名な曲だが(誰でも聞けばわかる)それがどうしたというのだ。 |
BAKER GURVITZ ARMY |
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名曲 |
THREE MAN ARMYのガーヴィッツ兄弟が死神博士ジンジャー・ベイカーをドラマーに招き結成したバンド。悪いわけがない。音楽性はTHREE MAN ARMYとほとんど同一。ジャズ方面の実験的な意欲は少々抑え気味だが、そのぶんスタンダードにかける意欲がパワーアップしている。すごく正統派の音。ジャケットも勇ましい。 |
DEEP PURPLE |
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名曲 |
私はあんまり先祖に信心を持たない大馬鹿者だから、このアルバムにも大した信心はない。ただ、今聴き直して素晴らしいと思うのは、デイヴィッド・カヴァーデールとグレン・ヒューズの加入は曲にソウルフルな奥行きを植えたんやなぁーというところ。"You Fool No One"や"Mistreated"はパープル裏ベストの筆頭曲。A200も素晴らしい。 |
UFO |
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名曲 |
とにもかくにも壮絶な"Rock
Bottom"のギターソロに尽きる。この曲ほどほど才能が迸(ほとばし)っている曲はない。こんな曲があったら、それこそマイケル・シェンカー以外のメンバーは我慢して泣いておけとなるところを、もうひとつの名曲(...こっちのほうが有名)"Doctor
Doctor"がアルバムの価値をさらに高めている。 "Lipstick Traces"という、メロディアスのメロメロなマイケル一人舞台のインストもある。昔、この曲のロック演奏バージョンを聞いたことがあって(確かSUPER ROCK 84のステージだった)、メロメロじゃなくていいからセルフカバーやってほしい曲の筆頭です。 |
BOB DYLAN & THE
BAND |
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名曲 |
またアホさを白状するようで気が引けるが、THE
BANDというアメリカの心と言っていい歴史的バンドが私は全然わからん。ボブ・ディランのほうは何枚か大好きなアルバムはあるが。 先に「ラスト・ワルツ」だろうが、と言われても、わからないのにわかるふりはしたくないのであり、とりあえず、このアルバムは両巨頭ちょうど半々くらいの選曲で、音質も素晴らしく、詩的というよりは純にロック的音楽的なサウンドである。まったりしすぎて尻からアクビが出るようなTHE BANDのアメリカ賛歌も、このアルバムなら不思議と熱中して聴きこめた。 |
SUZI QUATRO |
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名曲 |
小学生のとき友達の姉貴にパーマに革ジャンというのがいて、その姉貴が聞かせてくれたアルバム。同時に聞かせられたTHE
RUNAWAYSも恐ろしかった。 いつだったか、90年代コマーシャルで"Wild One"が使われ、再びブームが来るぞと思ったが、結局そんな大したリバイバル人気にならず、アルバムが日本盤でCD化されたくらいか。しかし結構クールである。初の女性アイドルロッカーだったそうだが、この時代の音にしては男も負けるパワーを出している。ポップさも多分にあるが、ハードロッカーに媚びるような音ではない。 |
THE ROLLING STONES |
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名曲 |
It's only rock and
roll, but I like it、世界中の捻じ曲がった10代に勇気を感動を与えたこのタイトル。何か今堂々と聴くのが恥ずかしいアルバム。 しかし「ヤギの頭」に負けないくらいの名曲集である。 聴き飽きたせいであるが、ストーンズの場合ベスト盤なんかが一番つまらない。このアルバムでは"Luxury"や"Time Waits for No One"といった隠れた名曲がいつまで経っても飽きない。 |
KISS |
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名曲 |
最初からこのバンドは名曲の宝庫だった。不思議とアメリカンに聞こえない。語弊を承知で言うが、ブリティッシュの空気がある。いつ聞いても楽しめるアルバムであるが、大変真面目な音でもある。 「キッスのテーマ」なるインストがあって、なかなか枯れてて素晴らしい。懐かしい、はい終わり、とはならないアルバム。 "Strutter"はポップではあってもかなり鋭い。例えば90年代最後のアルバムの名曲"Psycho Circus"と骨格が同じである。先見の明を超えたものを持っていたバンドだからこそ、40年近く生き続ける事ができるんでしょう。 このデビューアルバムが1974年、そして最新アルバムが2012年"MONSTER"。 |
ROD STEWART |
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名曲 |
この御大この時期のサウンドは眠いフォークロックばかりだという印象があるが、このアルバムから輪郭が明確になってきた。エルトン・ジョンの競演曲"Let Me Be Your Car"がベストチューン。FACESよりも弾けておられますな。 |
SLADE |
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名曲 |
オープニングはバラードであるが、ポップの帝王が真面目にバラードを作ればどういうことになるのかを知らしめた名曲中の名曲。70年代からすでに最も激しいハードロックバンドという印象があったが、このアルバムに限り非常に優しい人間像がうかがえて、まあ、これが居心地悪いなんて言う人間はよほど無茶苦茶な育ちをしている輩であろう。 |
STATUS QUO |
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名曲 |
"HELLO!"よりはこっちのアルバムのほうが素晴らしいと思う。やりたい放題という感じがまたこのバンドらしくて素晴らしい。このころからすでにもう「ブギの帝王」たる存在としての定行動を逸しているようなところがあって、そのへんも人間味あふれていてかっこよろし。QUOは誰もが言うほどブギーミュージック一本やりだったわけではないのだ。 |
AEROSMITH |
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名曲 |
こういうことを言う人間は昔からいなかったと思うが、私は一番最初にこの重量感にぶっ飛んだ。路線云々以前にとにかく音感が重い。 このアルバム本当の素晴らしさを理解したのはおっさんになってから。この黒っぽさ。特にオープニングナンバー"Same Old Song and Dance"はハードロックでありながらとにかく黒っぽく、大御所黒人ソウルも腰抜かす名曲である。表現手段の中に自らの人種をも変えるという荒業が入っている。スーパーバンドではなくスーパーマンなのだ。 |
BUDGIE |
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名曲 |
70年代最重量級ハードロック。へヴィ・メタルと呼んでもいい。変態的なハイトーンボーカルがまた、今聞けばクール極まる。"In for the Kill"のシンプル+特異なギターリフは耳に染み付いて離れない。言われるほどサイケデリックではないし、80〜90年代メタルファンにとっては70年代という長い時代を見直す格好の作品ではないだろうか。METALLICAが強調したこのバンドの美点はこのバンドのひとつの顔であるに過ぎない。 |
DEEP PURPLE |
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名曲 |
同年に出た名作"BURN"を差し置いてこのアルバムのほうを上位に持ってくるとは、さすがに私であると誉めたい、ではなく、自分でも呆れる(泣)。 デイヴィッド・カヴァーデールのソロ作品という色も濃いこのアルバム、リッチーなどいるのかいないのか全然わからないくらいで、それゆえこれは歌の作品です。"Soldier of Fortune"はデイヴィッド・カヴァーデール本当の原点と思う。名曲中の名曲。 |
NAZARETH |
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名曲 |
"RAZAMANAZ"が何かこう、しっくり来なかったのは、同年に出たこのアルバムのせいである。曲が良過ぎ。のちマイケル・モンローが没頭してついにアルバムタイトルにまでしてしまった"Not
Faking It"であるが、この原曲バージョンは腰抜かす。マイケル・モンローバージョンはまるっきりのロックンロールとなっていたが、原曲はイントロからハードロックテイスト満開のギターソロ、70年代ハードロックをすべて凝縮したかのような名演+名曲だった。 オープニングの弾けたノリも素晴らしい。このバンドの弾け具合はブリティッシュロックらしくなかった。だから素晴らしかった。 |
ベスト10!
BLUE OYSTER CULT |
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名曲 |
BLUE OYSTER CULT屈指の名曲集。ジャケットも素晴らしい。 "Flaming Telepaths"の凄みは今でも十分に通用する。大鎌持った骸骨(死神)がものすごく綺麗に描かれたあのジャケット(78年ライブ盤"SOME ENCHANTED EVENING")といい、化石と荒野の見事な絵画のジャケット(79年"SECRET TREATIES")、古城が幻想的に描かれたジャケット(88年"IMAGINOS")といい、ジャケットにも名作の多いバンドである。 このバンドの特にこの時代の曲は、歌にサビらしいサビが全然ないのが特徴である。それでいて名手エリック・ブルームに歌心がないなんていうアホは世界中でただ一人としておらず、いやあ、本当につくづく凄いバンドである。 |
PROCOL HARUM |
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名曲 |
このバンドとしては70年の"HOME"同様、非常に躍動的な作品。「蒼い影」の印象が強すぎるバンドで、また"GRAND
HOTEL"という歴史的絵画ロックも出しているバンドですから、高級なイメージがいまだにあるバンドですが、本当は上流下流(?)いろんなところをうろちょろしていたバンドである。 1曲目、はつらつさを通り越してハードロック勢にケンカを売りそうな勢いである。アルバムタイトルには「エキゾチック」とありますが、実際はやはりブリティッシュロックの本道。 |
TEMPEST |
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名曲 |
73年のファーストはギタリストがアラン・ホールズワースで、それだけで買いに走るファンもいまだにいると思うが、内容的には難解でした。私のアホ耳からすれば曲すら思い出せない。 アランさんが抜け、そしてこのセカンドのギタリストはオリー・ハルソール、あのPATTOのギタリストだった。PATTOでトリッキーなギターを聴かせてくれはしたが、ハードロックファンからすれば少々物足りず、そしてそんな不満を一気に晴らしてくれておつりがくるのがこのTEMPESTのセカンド。全体的に渋いんだかカッコいいんだか、しかし名作という重みを感じる作品である。 ビートルズのあの屁曲(...すんません)"Paperback Writer"がこんなにカッコいいハードロックに大変身。 |
KANSAS |
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名曲 |
早くも2作目にして名盤が完成。2曲目“Song
for America”が感動の嵐で、10分以上に渡る大作である。オープニングからわかりやすくポップな、それでいて高貴なメロディーラインが緩やかに流れていく。つまりこのバンドの世界がこの時期に100%完成していた。 イギリスの同系統のバンドのように音楽の凄みを見せつけるにとどまらず、このバンドには大きな武器があった。頭脳で作ったロックという酷評は当時からあったようだが、そういう趣旨を述べる人は楽しい子供時代というものがなかったのかと思う。ファンタジーロックの第一人者と呼ばれた理由がこの作品。 |
BAD COMPANY |
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名曲 |
このジャケット、小学校のちょっと向こうにあったレコード屋に大きく張ってあったのを今でも覚えている。 かろうじて大阪ですが電車の駅までバスで行かなければならなかったというど田舎の町のレコード屋にでかいポスターが張ってあったくらいだから、洋楽といえばとにかくこのバンドという時代があったのだ。 心地よくスイングしてらっしゃるポール・ロジャースの歌は74年という時期においては信じられないくらい画期的だったという。軽いのだが軽くない。聴いてもらわなければその感覚はわからないが、宗教的熱狂へ進みつつあったハードロックというジャンルに「人」を教えたというこのバンド、本当にこのバンドがいなかったらハードロックはどうなっていたんだと思う。 |
QUEEN |
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名曲 |
"Stone Cold
Crazy"はハードロックではなく、メタルである。METALLICAがカバーしてメタルになったわけではなく、本当の本当、最初からメタルだったのだ。聴けばわかる。 しかしオープニング、「ブライトン・ロック」がかっちょいいのなんの。今でも痺れる。フレディーとロジャーの掛け合いボーカルが、英単語ひとつをバラけて歌う(...これも聴けばわかる)というのが凄くて、今でもこういう歌は他に覚えがない。それにこの曲の長いギターソロは、ブライアン・メイが「津軽じょんがら節」にインスピレーションを受けたというのは嘘のような本当の話。"Killer Queen"もこのアルバム収録だった。ファンとは夜通し語り合えるようなアルバム。 |
QUEEN |
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名曲 |
QUEEN2連発。 ファーストアルバムも素晴らしいアルバムだと思うが、この2作目で人気評判も全部化けた。この名曲の多さ。 まずめちゃくちゃハードロック、いや曲によってはへヴィ・メタルそのもの("Father to Sun"の間奏、"Ogre Battle"のイントロギターリフ、"the March of the Black Queen"の曲展開などなど)と言っていい空気がある。そして全編にフレディー・マーキュリーの熱唱と様式美メロディーラインが絡んでくるんですから、この聴き心地を極楽と言わずして何と言おう。 |
第3位! |
TOM WAITS |
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名曲 |
おまえがこういう音を語るなといわれるのはよ〜くわかっている。信者の多いトム・ウェイツ、私は同等に語り合えない。 内容はシブ〜イしわがれ声の、酒場のバラードロック。このアルバムのこの音がめちゃくちゃ好きで、思い入れも地下1000メートルは行っている。よく、こんな曲をかけてくれた店が昔あったのだ。マスターは死んでしまったが。突飛なことをせずのんびり暮らし、日常当たり前にあるものに大きな楽しみ、喜びを見つける。あのマスターに私が教わったものである。このアルバムはあの頃の思い出であると同時に、土曜の夜はいつでもこういう気分でいたい。ただし貧乏はいい加減卒業したい。似合ってないと言われようが何と言われようが、これは私の一生の愛聴盤である。 |
第2位! |
HUMBLE PIE |
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名曲 |
HUMBLE PIEの最高傑作は?といってこのアルバムを挙げる奴もあまりいないと思うが、私はこのアルバムが一番好きである。 黒人ソウル、リズム&ブルースのそのままハードロック版、という印象。グルーヴ感のごり押しという不思議なカラー。リズムがロックに沿っていなくとも、かっこよさがメーター振り切っておればロックの最高傑作。それでいい。 レコード盤のジャケットは鍵穴から下半身すっぽんぽんの女性(!)が見えるという仕掛けだった。何考えとんねんと思う。サンダーボックスではなくこれではピーピングボックスではないか。 "Drift Away"は黒人ソウル、1950年代の古い古いアメリカのヒット曲ですが、私はこれをバンドで演っていた。ほとんど受けなかった。でももう1回やりたいなあ。 |
第1位! |
KING CRIMSON |
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名曲 |
ラストアルバム。ファーストアルバムに匹敵する、歴史的名作である。 登場時も津波のような音楽性で人々を呑み込んだが、最後もまた津波で締めくくってくれるとは泣ける。 馬鹿なことを言うようだが、ゲゲゲの鬼太郎が変な薬を注射されて、クジラになってしまったことがある。鬼太郎は目玉オヤジを探し、クジラが立った姿のまま街を練り歩くのだが、クジラが哀しい様子で街を練り歩けばこのアルバムの音がBGMとしてこれ以上なく絵になるだろう。 怪獣の闊歩というオープニングから断末魔の最後まで、本当に凄い凄いアルバムであるが、ロバート・フリップが初めて地に足をつけたというか。この博士様が人間界に降り立った神様の出で立ちで、泣きのメロディーを引いてなさるから本当に衝撃的だった。 そしてジョン・ウェットンの歌も、この人歴代でこれがベストだと思う。ファーストのグレッグ・レイクみたいに、年齢を超越した御姿が神々しく耳に残る。 曲数でいえば5曲しか入っていない作品だが、それでこそ名作だった。ラストナンバーの余韻は伝説化している。 こんなアルバムを残しておきながら、復活したのは興冷めだった。2000年過ぎて来日だなんて言われても興味ない。 |