1978年


名作目白押し。
途方にくれる。
ベスト10は完全に順不同です。


個人的評価100点満点作品 全38枚


 

38位!

PAUL STANLEY
same


名曲
"Tonight You Belong to Me"
"Wouldn't You Like to Know Me"

 78年10月、当時破竹の勢いであったKISSが、メンバー全員のソロアルバムを同時にリリースするという未来に渡って前代未聞の出来事があった。
 4つのアルバムどれもがKISSテイストでありながら、ファンの予想通りの個性が良く出た音で、「どれが一番好きだ」という会話が世界中で交わされたことだろう。
 ジーンは一番KISS離れしたサウンドで、もう独特の世界。ピーターはひとりAORおじさんを気取り、バラードロックの連発。実際エースだけはKISS本隊を超えたんじゃないかというくらい高品質な作品であり、そしてポールはやはり真のフロントマン、バカ暴れはしていないがKISSそのままのサウンドと言ってよかった。




37位!

JUDAS PRIEST
STAINED CLASS


名曲
"Exciter"
"White Heat, Red Hot"
"Better by You, Better Than Me"
"Beyond the Realms of Death"

 ジューダス初の名盤と私の年代では言われていたアルバムであるが、個人的には、この平板な音に退屈を感じた。初めて聴いたときから、あんまりぴんと来なかったアルバムだが、今となれば懐かしさが前に来て割合楽しめる。




36位!

PETER GABRIEL
PETER GABRIEL 2


名曲
"On the Air"
"D.I.Y."

 ファーストには及ばないが、しかし独特の空気。唯一の世界である。タイトル通りオープニングから魔法のじゅうたんに乗っているような聴き心地。前作同様いろいろなパターンの曲が入っているが、この時期器用なミュージシャンが走った極彩色全開の世界ではなく、妙にモノクロを思わせる世界だった。変態変態と多くのリスナーが称したほど変態の音ではない。むしろ正統派である。




35位!

THE RUTTLES
same


名曲

あなたが選ぼう!

 有名なビートルズのコピーバンド。単純なコピーバンドなら当時から世界中に何百といたと思うが、このサウンドは正しくはパロディーである。似ていて同じにあらず、こういう音楽をこの時代に作るというのは本当に難しかったと思う。トッド・ラングレン(UTOPIA)も同じようなアルバムを出している。
 これはのちにびっくりしたことであるが、PATTOでデビューし、TEMPESTで格の高いテクニカルプレイを叩き出して名を売った名手オリー・ハルソールがこの4人のうちの1人だったとは。




34位!

BRUCE SPRINGSTEEN
DARKNESS ON THE EDGE OF TOWN


名曲
"Badlands"
"Racing in the Street"
"the Promised Land"
"Prove It All Night"

 全アメリカ人を鼓舞するようなスタイルから、また元の「街のおっさん」に戻った感じのする作品。
 「たんたらたんたらたーん」の有名なオープニングがこの人そのものである。80年代のような派手さはないが、日常を楽しんでいるような明るさがある。この明るさはアメリカ人の明るさでもあり、ブルース・スプリングスティーンという人の明るい音楽性でもある。普遍なものは、作ろうと思って作れるものではない。




33位!

BLONDIE
PARALLEL LINES


名曲
"Hanging on the Telephone"
"Picture This"
"Sunday Girl"
"Heart of Glass"

 クニャクニャになりそうな、聴いていて気恥ずかしいような曲もあるが、しかし"Hangin' on the Telephone"のかっこよさは本物である。これほど甘い音はないというくらい激甘の音であるが、かといってマドンナあたりとは全然違うし、PRETENDERSみたいに男勝りかっこよさとはまた違う。変わった音楽を聴いているとは思わないが、独特唯一の個性派の音楽である。




32位!

VAN HALEN
same


名曲
"Runnin' with the Devil"
"Eruption"
"You Really Got Me"
"Ain't Talkin' 'Bout Love"
"Atomic Punk"

 アメリカンハードロック、GRAND FUNK RAILROAD以来の逸材、という当時の評価ももちろん全然正しいが、そっち方面の解説はいらんでしょう。
 デイヴおやじは最初から親父ぽかったのも事実で、そここそアメリカン人の心をぐっとつかんだという気がする。オヤジじゃなく親父。
 アルバム"DIVER DOWN"でこのバンドを見下した奴らは何もこのバンドの楽しさをわかっちゃおらん。オールディーズポップスラブは最初から咲いていたのだ。
 以降のアメリカンメタルの原点、というアルバムでもある。しかしそっち方面の解説はいらないだろう。




31位!

RUSH
HEMISPHERES


名曲
"the Trees"
"La Villa Strangiato"

 もうちょい先になるが、1枚5曲という大作構成でありながら音そのものはポップロックとしての片鱗を見せ、80年代モンスターバンドになるその予告編という印象もある。ポップロックと言うと言葉が軽いが、ポップというのは元々「ポピュラー」の略語である。"the Trees"は地球的メロディーの名曲。




30位!

RIOT
ROCK CITY


名曲

"Warrior"
"Rock CIty"

 "Warrior"はつくづく、呆れるくらいの超名曲である。このアルバムがもうちょい名曲揃いであれば、へヴィ・メタルムーヴメントはアメリカから始まったのではないかとそういうことも考えてしまう。
 1978年という時期にこういう音を出していたバンドが存在していたことが衝撃的。




29位!

SCORPIONS
TAKEN BY FORCE


名曲
"Steamrock Fever"
"We'll Burn the Sky"
"Riot of Your Time"
"Sails of Charon"
"He's a Woman - She's a Man"
"Born to Touch Your Feelings"

 こんな名盤が何でこんな場所と自分でも思うが、しかしここは★5つ作品ばっかり紹介してるつもりである。この年も本当に名盤が多かった。
 このアルバムは確か「暴虐の蠍団」という日本題がついていた。いやあれはベスト盤だったか? まあ似たようなもんだ。
 とりあえずこの時期、「ヘヴィ・メタル」というジャンルは生まれてはおらずともそれに近い、いちばん過激な印象で迫ったサウンドのひとつである。リズムか緩急自在パターンながら、どの曲も攻撃的で素晴らしい。
 それにスコーピオンズのオハコであったバラード、いちばんの名曲"Born to Touch Your Feelings"収録。しかしこれは何種類かのベスト盤どれからも外されているという謎の曲。




28位!

ROD STEWART
BLONDES HAVE MORE FUN


名曲
"Do Ya Think I'm Sexy?"
"Dirty Weekend"
"the Best Days of My Life"

 ブリティッシュアコースティックロックその真髄作品から、えらくまた様変わりしたものだった。
 当時いわゆる「ディスコ」でも鳴りまくっていたというタイトル曲はもう、後に続くこの人のイメージそのままの、ロックとしてはかなりの迷曲ですが、アルバム的にはこれ以外にもあれこれ聴き所はある。
 まだ子供だった私はゲームセンターあたりでこの「アイム・セクシー」とBLONDIEの「ハート・オブ・グラス」がよく鳴ってたのを聴いて「あ〜、これが大人が聞く音楽なのか〜」などと思った思い出がある。




27位!

KATE BUSH
THE KICK INSIDE


名曲
"Moving"
"Saxophone Song"
"the Man with the Child in His Eyes"
"Wuthering Heights"

 名曲中の名曲"Wuthering Heights〜嵐が丘"はベスト盤収録の80年代ニューバージョンのほうが素晴らしかったと思うが、しかしこの年いちばんセンセーショナルだったかもしれないアルバムがこれ。
 PINK FLOYDのデイヴィッド・ギルモアが発掘してきた新人との触れ込みだったが、この人は本当に魔女だった。音楽に全然興味ないのにこの人のアルバムだけはすべて持っているという方がいるそうだが、確かにこの人の音楽は音楽を超えている。どういう音楽なのかって、言葉で書けるわけがない。




26位!

TRILLION
same


名曲

"Hold Out"
"Hand It to the Wind"
"Bright Night Light"

 80年代後期TOTOのボーカリスト、ファーギー・フレデリクセンのいたバンド。90何年かにCD化されましたが、それまでは幻の名盤だった。
 あのNEW ENGLANDをさらにフットワーク軽くしたような感じ、または宇宙船から地上に下りてきたBOSTONがそのへんの普通のレストランでメシ食っているような音。
 なんじゃそれは、であるが、要はアメリカンプログレッシブ+大衆ポップスでである。ボーカリストがTOTOへ行ったというより、このバンドの音そのものが後にTOTOの傘下に入ったと解釈していい。
 イントロ、間奏はやたらかっこいいが、歌メロが軽い。私は難解な音は理解できないアホであるが、でもギターとキーボードが闘ってくれるくらいの絵はほしかった。




25位!

JUDAS PRIEST
KILLING MACHINE


名曲
"Delivering the Goods"
"Rock Forever"
"Hell Bent for Leather"
"Take on the World"
"Killing Machine"
"Running Wild"
"Before the Dawn"

 名作"STAINED CLASS"の素晴らしさがあんまり理解できないというメタルマニアの風上にも置けないウンコ野郎は私であるが、実際、このアルバムの方が数倍素晴らしい。
 もののすごくカチッとまとまった感じのあるメタルサウンド、それがJUDAS PRIESTであるが、このアルバムは何か武器をずりずり引きずりながら行進しているかのような、重量オーバーのへヴィ・メタルである。
 NWOBHM連中のどのバンドよりも偉大であったことを如実に示すサウンドである。




24位!

DIRE STRAITS
same


名曲
"Down to the Waterline"
"Sultans of Swing"
"Wild West End"

 メタルのサイトなど持っておればなかなか白状する機会がないが、私は実はDIRE STRAITSこそメタルバンド1000バンド差し置いても大好きだというマニアックなファンでありまして。
 ファーストアルバムは(セカンドも)ロンドン都会人がカントリーロック演奏しました、みたいな世界である。ハードロックファンなどは当然、寝る。しかし"Sultans of Swing〜哀しきサルタン"はこの年を代表する名曲だった。




23位!

KANSAS
TWO FOR THE SHOW


名曲

目白押し!

 初のライブアルバム。ライブアルバム嫌いの私が最も好きなタイプのライブアルバム。最初から総立ち、などではない。興奮より感動のライブである。ベスト盤よりも入門用だと思う。臨場感を100%活かしきった本当のライブ演奏。完璧である。
 2008年のレガシー・エディションなる盤では曲が追加されていたりする。




22位!

URIAH HEEP
FALLEN ANGEL


名曲
"Woman of the Night"
"Falling in Love"
"Fallen Angel"

 LUCIFER'S FRIENDジョン・ロートン参加3部作その3作目。こう言えば他のメンバーに失礼ですが、ケン・ヘンズレーとジョン・ロートンの真っ向勝負のような曲が並んでいる。素晴らしくないわけがない。
 プログレッシブロックの回りくどさを反省しているかのような雰囲気も感じた。




21位!

STYX
PIECES OF EIGHT


名曲
"I'm Ok"
"Sing for the Day"
"Lords of the Ring"
"Blue Collar Man"
"Renegade"
"Pieces of Eight"

 プログレッシブロックではないが、そっち方面でもかなりの強者であることを示した名作。ファンタジーロックと言い切ってしまうの何だかな、というハードロック作品でもある。"Blue Collar Man"はトミー・ショウ一世一代の名曲。




20位!

RORY GALLAGHER
PHOTO-FINISH


名曲
"Shinkicker"
"Brute Force & Ignorance"
"Shadow Play"
"the Last of Independence"

 次の作品"TOP PRIORITY"と並んでロリーさんがいちばんハードロックしていた時期の作品。"Shadow Play"と"Shinkicker"で私は気絶する。おっさん、カッコよすぎ。
 この人、歌はお世辞にも上手だとはいえないが、このギター、このリズムにはこの歌しかないという絶妙のコンビーネーションが本当にミュージシャンらしい雰囲気。この歌に関してはSTATUS QUOのフランシス・ロッシの、あのヘロヘロ声に共通するものがある。




19位!

THE JAM
ALL MOD CONS


名曲
"All Mod Mons"
"Mr.Clean"
"David Watts"
"English Rose"
"Billy Hunt"
"Down in the Tube Station at Midnight"

 わしが不法滞在(観光ビザでアルバイト)でロンドンに1年に満たない期間でも住んでいなかったら、このバンドにこれほどの思い入れはない。私の印象であるが、このバンドは本当にロンドンという雰囲気である。私がいたころはもうとっくに解散していたが。中でもいちばんの名曲集がこのアルバム。"tube station"なんて言葉が懐かしいて懐かしいて。




18位!

ACE FREHLEY
same


名曲
"Rip It Out"
"Speedin' Back to My Baby"
"Snowblind"
"What's on Your Mind"
"New York Groove"
"Fractured Mirror"

 同時にリリースされたメンバー4作品ソロアルバムのうち、いちばん出来が良かったのがエースのこのアルバム。当時はエース・「フューレイ」と呼ばれていた。
 曲がいいのは言うまでもなく、トリッキーなギターも満載で、イベントアルバムお祭りアルバムというのを完全に超えていた。




17位!

J.GEILS BAND
SANCTUARY


名曲
"One Last Kiss"
"Sanctuary"
"Jus' Can't Stop Me"

 当然J.ガイルズという人がリーダーのバンドだとみんな思ってながら、実際のリーダーはキーボードのセス・ジャストマン、そしてピーター・ウルフが曲の印象をリードする名役者という構成で、J.ガイルズはただのリズムギタリストだった。バンド結成時、語呂がいいからJ.GEILS BANDに決められたというのは本当の話である。
 R&Rの勢い一番というバンドの、いちばん素の姿がこのアルバムだったように思う。もちろんノリノリの曲がメインでありながら、とことんメロディアスな曲もある。




16位!

U.K.
same


名曲
"In the Dead of the Night"
"Time to Kill"

 名曲の数ではセカンドアルバム"DANGER MONEY"に劣るが、しかし衝撃的な登場であったという。
 ジョン・ウェットンにビル・ブラフォード、そしてアラン・ホールズワースがいたことでも有名であるが、中心人物のエディー・ジョプソンの担当は「エレクトリックバイオリン」だった。
 なんだそれ? と思う人はこの音を聴いてほしい。
 このバンド、歌だけではなく演奏もまたASIAとの共通点が大きいと思う。




15位!

DARYL HALL & JOHN OATES
ALONG THE RED LEDGE


名曲
"It's a Laugh"
"Melody for a Memory"
"the Last Time"
"August Day"

 85年のライブ盤のときだったと思うが、「ホール&オーツ、モータウンポップスに挑戦!」などと抜かす有名な評論家がいて、お前本当にアホじゃないのかと思ったことがあったがこの人たちの黒人ポップスへの傾倒は転身どころか、実は音楽キャリアはそこからはじまったと言っていいものだったのだ。
 ようやく、万民にその素晴らしさが伝わる形に完成したのがこのアルバム。音楽史上名作中の名作。




14位!

UFO
OBSESSION


名曲
"Only You Can Rock Me"
"Pack It Up and Go"
"Lookin' Out for No.1"
"Hot 'n' Ready"

 マイケル・シェンカーを通して観るかでこのバンドの作品の評価はそれぞれ違ってくるが、これぞまごうことなきUFOの最高傑作である。全体に漂う大きな大衆性にマイケル・シェンカーが食われている感すらある。
 ただしマイケルの個性が出ていないということではなく、そんなことは全然なく、マイケル・シェンカーの神業だってこの大衆性のしもべであったという解釈をしたい。




13位!

BLUE OYSTER CULT
SOME ENCHANTED EVENING


名曲

いっぱい!

 まずこのジャケットだけで100点満点。
 ライブアルバムですが、収録曲はたった7曲だけ。ということは巷のライブアルバムの意味はあまり成していなかったようなアルバムですが、しかし物足りないというイメージはあまりなく、不思議なライブアルバムである。
 前後のスタジオアルバムとしっかり質感も同じである印象を感じる、存在甲斐のある作品。"Kick Out the Jams"by MC5、"We Gotta Get Out of This Place"by ANIMALS、2つのカバー曲がクールのなんの。




12位!

REO SPEEDWAGON
YOU CAN TUNE A PIANO, BUT YOU CAN'T TUNA FISH


名曲
"Roll with the Changes"
"Time for Me to Fly"
"Runnin' Blind"
"Say You Love Me or Say Goodnight"

 ボーカリストの名前が本当に「クローニン」という、筋金入りの苦労人たち。
 71年デビュー、そして通算8作目のこのアルバムで苦労が大きく報われた。
 日本で人気が爆発するのはまだ2年くらい先であるが、アメリカでは大きなステイタスをこの作品で築いた模様。STYXかREOかというくらいの大仕掛けなバラード路線はまだ生まれていない、歴代ポップスの主権をアメリカにというポピュラーソングの完成こそ偉業だった。
 ハードロックバンドがびっくりするような曲もある。




11位!

BOB DYLAN
STREET LEGAL


名曲
"Changing of the Guard"
"Is Your Love in Vain?"

 世相冷たく歌うだけの人かと思ってたら、しっかり誰かに差し伸べる手というものを持っていた人である、そんな音楽人間性が感じられた名作。フォークを歌いながら都会的。そして優しい。"Is Your Love in Vain"に泣ける。
 前作"DESIRE"といいこのアルバムといい、神懸かっていた時期のアルバムである。





ベスト10!

10位!

BILLY JOEL
52ND STREET


名曲
"Big Shot"
"Honesty"
"My Life"
"Zanzibar"
"Until the Night"

 "Big Shot"、"Honesty"、"My Life"、"Zanzibar"...これほどの名曲が連続しておれば感動を超えて圧倒的。特に「ザンジバル」は今聴いても何といふ素晴らしき世界か。
 私の年代ではビートルズは100年前に飽きたが、ビリー・ジョエルはいまだ飽きない。年に何回か今でも通して聴く。この色にあこがれない男はアホであり、これに惚れない女もアホである。




9位!

TOTO
same


名曲
"Children's Anthem"
"I'll Supply the Love"
"Georgy Porgy"
"Girl Goodbye"
"Hold the Line"
"Angela"

 シブさとファンタジーワールドが混じった名作。本当に、一体どんなデビューアルバムだと思う。新しいも古いも超え去っている夢の音。
 このサウンドに最初に共鳴したのが日本のリスナーという(アメリカで人気が確定するのは82年)、実は日本のリスナーは耳が賢かった。ハードロックに熱いだけじゃなかった。




8位!

QUEEN
JAZZ


名曲
"Mustapha"
"Fat Bottomed Girls"
"Jealousy"
"Bicycle Race"
"Let Me Entertain You"
"Dead on Time"
"Dreamers Ball"
"Don't Stop Me Now"

 ア〜ライナソ〜〜レ、アレマンドイヤヘ〜レ、なんて歌詞が素敵も極まるオープニングナンバー"Mustapha"は前代未聞、アラビア語である。歌詞カード、「聞き取り不能につき省略させていただきます」の添え書きが笑わせる(本当にそう書いてある)。
 しかしこの曲のブライアン・メイがマジに凄い。
 このアルバムのおまけが"Bicycle Race"のコンセプトそのままのポスター、上半身すっぽんぽんのねえちゃんが30人くらい自転車に乗っているという、それはもう素晴らしいポスターだったのだが、私は昔、それを部屋に貼ったら1日も経たないうちにおかんに剥がされ、捨てられてしまい、しばかれた。
 というわけで思い入れも人一倍深いこのアルバムであるが、まあしかし、これほど何でもありのロックアルバムも珍しい。何でもありがQUEENの身上とはいえ、ここまでいけば凄い。
 このオールディーズシャンソンみたいな曲、誰のカバーだ?なんて思えばしっかりオリジナルだったりする。




7位!

THE POLICE
OUTLANDOS D'AMOUR


名曲

"Next to You"
"So Lonely"
"Roxanne"
"Can't Stand Losing You"
"Born in the 50's"

 80年代ロックを代表するバンドであるが、デビューは78年。「ロクサーヌ」は異様なくらいの名曲である。「ビバリーヒルズ・コップ」のエディー・マーフィーがやたら歌い倒してたのが印象深い。
 人種も国境も軽く越えたサウンド。世界一しがらみがなく、そして世界一個性的だったのがこのバンドだった。




6位!

JOURNEY
INFINITY


名曲
"Lights"
"Feeling That Way"
"Anytime"
"Patiently"
"Wheel in the Sky"
"Winds of March"

 4作目であるが、これで80年代ロック代表の礎が確定したような作品。STYXとKANSASとこのJOURNEYが同じ世界のバンドとして当時よく語られていたが、3バンドともこの時期は奇跡的な名作を出していた。
 "Wheel in the Sky"は代表曲。ハードロックとしてもなかなか聴き所の多い作品で、泣きのメロディーは言うにあらず、"Winds of March"の慟哭のギターは震える。なんせスティーヴ・ペリーが若々しく、全然のっぺりしていないから非常に聴きやすい。




5位!

WHITESNAKE
TROUBLE


名曲
"Take Me with You"
"Lie Down"
"Nighthawk"
"Belgian Tom's Hat Trick"

 これがまた、未聴の方は必ずや驚くであろう結構なハードロックである。
 WHITESNAKEは地面を震わすヘヴィ・ロックバンド、そしてお気楽ロックンロールバンド、2つの顔を持っている。バンドとしてのWHITESNAKEとしてはファーストアルバムになるこの作品は、どちらかといえばお気楽な印象が強い。曲の素晴らしさもそしてノリも、90年代初めブームになったR&Rハードロックなど比べ物にならない。深さが違う。ブルーステイストのギターも素晴らしい。




4位!

CHEAP TRICK
HEAVEN TONIGHT


名曲
"Surrender"
"On Top of the World"
"California Man"
"Heaven Tonight"
"Oh Claire"

 "Surrender"聴いて幸せな気分にならない人なんているのだろうか。このアルバムは私の活力の元である。仕事がなく正月、連休などたいがい閉じこもっているが、鬱屈しないのはこういう音楽が好きだからだと思う。当時私は"DREAM POLICE"のほうを先に聴いたのだが、続けてこのアルバムを手に入れたときの感動といったら、もう一生の付き合いになります、とまで思った。
 陽気なだけが能というアホの徹底美学をみせた作品ではない。タイトル曲は異様なぎらつきを放つダークカラーの名曲だったりする。このバンドも一体いくつの顔を持っているのだろう。





第3位!

RAINBOW
LONG LIVE ROCK'N'ROLL

 

名曲
"Long Live Rock'n'Roll"
"Lady of the Lake"
"LA Connection"
"Gates of Babylon"
"Kill the King"
"Shed"
"Sensitive to Light"
"Rainbow Eyes"

 全8曲すべて名曲。このバンドが「ロックンロール」とはこれ如何に。しかし「ロックンロール」は決してジャンル用語ではなく、そのバンドいちばんの気合が込められたものに対してつけられる名称であるということをこのアルバムに教えてもらった。
 曲からメロディーから構成から、何から何まで文句のつけようがない作品であるが、この、石を叩いているようなリズム音、何ともセメントなドラムの音が凄い。
 昔からコージー・パウエルのテクニックを疑っている耳年寄なカッコつけがどこにでもいたが、この人が何を造ったかを思うと、やはり歴代稀な名人であったことは間違いない。




第2位!

STATUS QUO
IF YOU CAN'T STAND THE HEAT


名曲
"Again and Again"
"I'm Giving Up My Worryin'"
"Someone Show Me Home"
"Long Legged Linda"
"Accident Prone"

 オープニング曲"Again and Again"はおっさん何回againって言うとるねんというゴリ押しの名曲。
 QUO様がQUO様たるシャッフルリズムのブギースタイルはあまり前に出ていない作品だが、スタイル以前にいつも最高の曲を作ってくれるバンドだということが確認できる、ロックの神様も両手挙げて大喜びのサウンドである。
 そしてバラード"Someone Show Me Home"、私は今でもこういうスタイルのバラードがいちばん好きである。べえべえ泣かないバラード。のどかではあるが、人間として尊敬できるような大きな包容力を感じさせる。




第1位!

BOSTON
DON'T LOOK BACK


名曲
"Don't Look Back"
"It's Easy"
"A Man I'll Never Be"
"Don't Be Afraid"

 私も育ちで言えばBOSTONはファーストよりもこっちである。
 無茶に激しい音ではないが、しかしこの太いギターサウンドは間違いなくハードロックの印象そのものである。"Don't Look Back"、こんな曲聴かされた日には頭の中の大きな部分が毎回消去されてしまう。
 何も考えていないアホの中学生がFMかけているだけでこういう曲がばんばん聴けたという、この時代はいい時代だった。




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