1982年
ハードロック、メタル編
メタル元年と言われた80〜81年よりも
名作が多かった。
NWOBHM、イギリス産は下火と言われた時期でありながら
世界規模でみると、よくもこれだけというくらい
有名な作品が並びます。
個人的評価100点満点作品 全35枚
VENOM |
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名曲 |
良い衝撃か悪い衝撃かは聴いたおまえが判断せんかい、と音が言い放ってるが、さて、この一見ハチャメチャなスタイルは「カオスチック」というアングラ芸術の域にまで高められ、多くのアングラバンドに引き継がれていくことになり、90年代中盤以降ひとつの大きなジャンルが出来上がるとは、81〜2年この当時一体どこの誰が想像しただろう。 同系のバンドがこれほど多い現在、やはり「神」であったことは、もう誰が何と言おうと認めなければ仕方がない。後続のバンドのほうが実際もっと100倍くらいテクニカルな音を出しているが、それでもヴェノム登場の衝撃から歴史は始まった。元祖ならではの奥義はしっかりと存在している。メンバーの出で立ちも本当に凄かった。いかついというのを完全に超えていた。 |
TYGERS OF PAN TANG |
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名曲 |
ジョン・サイクスが抜けてもこのバンドはストップしなかった。早々に、NWOBHMなんて過去の遺物とばかりに弾けたポップハードロックをやってらっしゃる。 大体、以前からジョン・サイクスばっかりにスポットライトがあたっていたようで、もう一人のジョンさんはかわいそうだった。“Gangland”の熱唱を忘れたわけではないというリスナーならこの作品も聴いて損はないと思うのだが。曲が○だから私は許す。 |
MOTORHEAD |
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名曲 |
黄金時代は一段落ついた感のあったこの時期だったが、創作意欲はとどまることを知らず、テンションこそ前2作に劣るが、それでも実に聴き甲斐のある作品を出してくれた。 聴き甲斐なんて言葉が全然似合わないバンドであることは百も承知であるが、それでもこれまで感じたことのない味わいを感じさせたのがこの作品。シンプルなサウンドの中に79年作品“BOMBER”あたりのハードロック賛歌も甦っている。 |
UFO |
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名曲 |
マイケル・シェンカーの抜け、つまらないアルバムを出し、UFOの運命は「墜落寸前」とまで言われたが、満塁逆転ホームランとは行かずとも、いや逆転ヒットくらいをかっ飛ばしていたのがこのアルバムである。 屁のようなジャケットながら、内容は素晴らしい。ギタリスト至上主義はもう、フィル・モグはじめ他のメンバーが許さなかったのだろう、心機一転、全パート一体型のユニバーサルなロックの完成に心血を注ぎ、やっと完成したのがこのアルバム。 とりあえずはマイケル・シェンカーの亡霊は一掃されている。新しいファンを獲得するに値するグレードはあった。 |
BUDGIE |
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名曲 |
70年代のヘンコ一徹ぶりはもうどこにもうかがえないが、こういうふうにメジャー映えする出で立ちで弾けたアルバムを作っている。メジャーサウンドになっても似ているバンド、音が見当たらないのはさすがバッジー。 ラストナンバー“Hold on to Love”はもうイントロからして狂える。個人的にはバッジーのベスト3に入る。モダン(死語)になったとはいえ太いギターサウンドはやっぱり素晴らしいの一言。 |
STATUS QUO |
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名曲 |
いつでもどこでも金太郎飴サウンドのこのバンド、わざわざ年号なんて何の意味があるのかと思ったら、1+9+8+2でちょうど20、バンド結成(アマチュア時代から数えて)以来20年記念の作品だそうだ。 もちろんこの年を制覇するぞとの気迫はあった違いないが、前作、前々作に続いて、やっぱり飄々としていてマイペースの金太郎飴。ファンなら聴く前におもいっきり期待して、そしていつもの音に大満足。さすがの王道ロックである。 |
TWISTED SISTER |
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名曲 |
ヨゴレのオカマ軍団、まさにあの戦慄たる出で立ちのイメージは後年の作品に比べるとほとんどと言っていいほどうかがえず、このファーストアルバムで聴けるのはキッスがNWOBHMサウンドに弟子入りしたかのようなパワフルかつ陰湿な形容しがたいスタイルでいて、実際聴き応えはものすごくクールなヘヴィ・メタルである。ヴァイオレンス度も相当なもの。 |
HUGHES/THRALL |
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名曲 |
ナイト・レンジャーあたりはティーンズ専用みたいなカラーがあったが、ヒューズ/スロールは違った。この作品がなかったらグレン・ヒューズの人物像もずいぶん違ったものになっていた。ちょっと裏声使いすぎとは思うが。 この作品があったりするから、90年代のテンポ良かったグレンさんの活動も、作品的にはもうひとつ覇気がないように思えます。このアルバムみたいに弾けてほしい。 |
ALDO NOVA |
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名曲 |
スタイル的には中途半端かもしれないが、しかし曲さえ良ければ一番売れるパターンになります。その売れるタイプの醍醐味というのが80年代メタルお楽しみのひとつだった。 聴きやすいハードロックというのは大昔からあった。非常に硬質なポップスというのも大昔からあった。80年代前半新登場したこの作品のような音は柔らかいハードロックでもなく硬いポップスでもなく、基盤からして「真ん中」だった。80年代メジャーハードロック創生期の大傑作である。 |
ASIA |
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名曲 |
このバンド、何よりも凄かったのはメンバー全員、全盛期のままの姿で合体したサウンドを聴かせてくれたということだった。言葉で言えば簡単だが、そんな夢みたいな音、普通あるわけがない。 何かを彷彿とさせるなんてことは、ファンなら言いたくない。イギリスのロック最大の巨人たちがアメリカ大陸を完全制覇したというのが痛快きわまる。生命力にあふれた作品である。 |
WARNING |
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名曲 |
歴史の短いバンドだったが、素晴らしいバンドだったフランス産の中ではいちばん弾けた音を出していたと思う。 例えば音こそ全然違うが、日本のフラットバッカー、「日本語はロックに合わない」という常識を気合いで跳ね飛ばしたバンドであるのは言うまでもない。このウォーニングも同様、TRUSTあたりではとことんダサく聞こえた歌及びフランス語歌詞が、感触を同じくして雰囲気が全然違い、気合い一発でこのフランス語が見事にヘヴィ・メタル化している。プロデューサーがスコーピオンズで有名なあの人ですが、なるほどジャーマンメタルテイストもあるかも知れない。 |
AEROSMITH |
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名曲 |
ジョー・ペリーのいないエアロスミス。 エアロスミス番外編などと言う奴は言ったが、スティーヴン・タイラーはじめあとの2人もちゃんといるわけですから、完璧なエアロスミスサウンドではなくとも「ほとんど」エアロスミスサウンドである。 急にドーンと底が抜けるようなお得意のトリッキーなギターリフがうかがえないところ、唯一以前の作品群と違うというだけで、オープニングから走るし、巨大な振り子がスイングするかのような、ならではのヘヴィ・ロックもあり、パーティーロックももちろん全開、そしてこの歌があればやっぱりエアロスミスである。 |
JUDAS PRIEST |
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名曲 |
“BRITISH STEEL”、“POINT
OF ENTRY”2つの作品の、コンパクトかつどっしりしたその作風の理由というのはもちろん、ヘヴィ・メタルがブーム化した最中において暴れず騒がず、帝王の威を示そうとした意図があったからと思われるが、さて、ヘヴィ・メタルをブームに導いた同国の若手が志半ばにしてバタバタと倒れていく現状を見てその心境やいかに、おそらく居ても立ってもいられなかったのだろう、帝王は自ら玉座を降り戦場へと赴いていくのだった。そこで一撃必殺、驚天動地のヘヴィ・メタル奥義を炸裂させる。暴れてこそヘヴィ・メタル、戦ってこそヘヴィ・メタル、そして絶叫してこそヘヴィ・メタル。多くのミュージシャンが羨望と尊敬のまなざしを送り、ぼくらリスナーは「よ、よくぞここまでのものを作ってくれた!!」とひれ伏すしかなかった。戦争絵巻のようなアルバムである。 で、なぜこれが年間ベストアルバムではないのだ?と言われるかもしれないが、この年、名作が多すぎたのである。 |
TURBO |
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名曲 |
ポーランドという局地産の風変わりさどんくささをマニアックな愛着を持って称えようという、そんな気は全然ない。ここで聴けるのは、ずばり極上のNWOBHMサウンドである。+パワーメタル風の雰囲気で、とりあえず最高である。もっとモッチャリしたバンドがイギリスにはいっぱいいた。冴えまくりのサウンドではないかこれは。 しかし冴えたサウンドは次の作品くらいまでで、以降崖から落ちてきた血だらけの原始人みたいなパワーメタルサウンドに変身していく。 |
SLADE |
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名曲 |
全然目立ってない作品であるが、実際、SLADEといったら真っ先にこのアルバムでしょうと言ってもいいくらい、素晴らしいアルバムである。 わざわざアップテンポの曲ばかりピックアップした怒涛のノリ。怒涛のノリの中にSWEETかSLADEかと言われたくらいの覚えやすいポップなメロディーが炸裂しているので、リスナーの愛着も普通のライブアルバム以上に感じられたに違いない。かなりハードロック色も強く、ライブアルバムならではの素晴らしい味付けだった。 |
MANOWAR |
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名曲 |
メタルに限らず全ジャンルのリスナーにおすすめである。本当にそういうアルバムである。うるさい、やかましいメタルではない。どれだけ偉そうな新人だったのかと思うが、威風堂々極まる世界である。 ヘヴィ・メタルの権化じゃあ!、という星一徹然としたカラーはのちの姿であり、初出の作品はまず大掛かりな音楽的仕掛けがいちばんの聴き物だった。特にラスト曲、当時はロックオペラってこれか、などとと思ったもんである。いかつさ以上にアートを感じさせる音かもしれない。 ちなみに2010年、再録音バージョン"BATTLE HYMNS MMXI"がリリースされている。 |
URIAH HEEP |
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名曲 |
バンド創設者であるキーボードプレイヤー、ケン・ヘンズレーの脱退で、解散宣言出ずとも誰もがこのバンドの歴史の終わりを予想したが、解散させてなるものかと、たった一人残ったオリジナルメンバー、ミック・ボックス(ギター)の気迫が異形の風格のヘヴィ・メタルアルバムを完成させた。こんな、血が騒ぐようなヘヴィ・メタルが聴けるとは誰も思わなかった。 URIAH HEEPらしい作品ではない。しかしメタルファンの血が騒ぐ大傑作である。 |
CHEAP TRICK |
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名曲 |
チープ・トリックの、唯一のメガトン級ハードロックアルバム。さすがツカミのプロフェッショナル、リスナーはオープニングの何秒かで完全に引き込まれてしまう。 ハードロック路線転身にあたってもこのバンドならではのアメリカ的良心は1%も陰りを見せておらず、音の覇気に乗ってかえって魅力が倍増している。ハードロックだけじゃなく様々な試行が見える、昔からのファンにとっては本当に楽しさ満開の夢のような作品だった。メタルもびびる重い曲もある。 |
NAZARETH |
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名曲 |
ディープ・パープルと同じ時代を生き抜いてきたバンドであるが(2つのバンドともに2013年の今も現役活動中)、このアルバムは数多くの職人ぶりぶりスタイルの作品の中で、たった1作だけのアンプラグドスタイルである。 といってもエリック・クラプトンタイプではなくキッスタイプ、要は電気楽器を生楽器に持ち替えて同じことやってるだけ、ちゃんとリズムも活きているしノリもばっちりである。 こんな作品がこれ1作きりだというのがこのバンドの場合非常に惜しい。 |
NIGHT RANGER |
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名曲 |
耳に残るメロディーラインと見せ場満開のプレイでロックの及第点は軽く合格、その上パッと見がド派手、80年代ロックのオハコとも言えるパーティームード全開でアクション映画の効果同様リスナーは高揚しまくり。乾きまくって湿度ゼロの音質がもう100%アメリカンである。 メジャーロックにおいて完全にブレイクするのはもう少し後になるが、このファーストの時点でメタルファンに与えた衝撃はそれは物凄いものがあった。 |
RAINBOW |
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名曲 |
単純に、一番かっこいいレインボーがここで聴ける。オープニング曲で走ったのは意外や意外これが初めて(“LONG
LIVE ROCK'N'ROLL”もアップテンポで幕を開けますが、ヘヴィ・メタルで言う「走り」とはちょっと違う)。 シングルヒットにもなったバラード“Stone Cold”でまたまた新境地開拓、これは次作に引き継がれ多くのリスナーに「フォリナーみたいなバンドになった」と言わしめた。が、80年代ロックのシンボルとされるあのフォリナーを彷彿とさせるということは、実際フォリナーを聴き込めばわかるが、それはそれで凄いことである。 そうでなくても実際この音を聴いて借り物サウンドだと考えるほうがおかしい。 |
ANVIL |
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名曲 |
メタルリスナー以外の人にアピールするものといえば、まさにガンコさといかつさだけ。八方美人大嫌い、ええかっこしい死んでまえ!みたいな音である。そしてこれぞ80年代ヘヴィ・メタルの代表作品だと断言できるサウンド。 メタルをやってるんだからメタル万歳!オレら最高!とホントにそう歌ったバンドはマノウォーとこのアンヴィルくらいのものだろう。これを愛さなくて何がメタルファンか。全く見たままの、アホの坂田みたいなヘヴィ・メタルである。ヘヴィ・メタルはもともとすごく一方的なものなのだ。 ドキュメンタリー映画が軽くメタルの枠を踏み越えて、世界的にヒットしたのが本当に意外だった。途中一度の寄り道もなしに、2013年今現在もこの御姿で活動中。 |
PAT TRAVERS' BLACK
PEARL |
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名曲 |
この人の名前を知らなくても即買いの名作である。 ビリー・スクワイアが好きな人なんか絶対気に入ると思うけど、奥行きの深い、シブシブのハードロックンロールは耳の精神年齢の高い方には極上の聴き応えを与えてくれる。 ベテランらしくむやみに走らない。音が太いから、大きい音で聴いたら普通のメタルには絶対にない包容力が味わえる。3曲目のベストチューン“Stand Up”はもう極上すぎて耳が落ちる。 こういうタキシードが似合うようなハードロックはいつの間にか絶滅したようである。77年“MAKIN' MAGIC”以来の大名作。 |
KISS |
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名曲 |
キッスが一番ヘヴィ・メタルしている作品である。単純に言って“ANIMALIZE”、“ASYLUM”よりもヘヴィーである。 こっちのリスナーが捨て曲にしたであろう“War Machine”なんか、アメリカでは90年代後半ある有名プロレスラーの入場曲になってたくらいで、向こうでは結構高い位置付けの作品になっているのだ。 10%でも誉めた文章がメディアにあっただろうかというくらい、あらゆるベテランバンド含めた史上最低のぶっこけ作品「THE ELDER」(前作)の、その反省から生まれたこの覇気なのか。それだけではまだまだ分析できない凄みがある。 一見王道らしからぬこのダークな雰囲気が私は非常に魅力的だと思った。キッスが張り切ればみんな「デトロイト・ロック・シティー」たる雰囲気になってしまうが、この作品に限り違う。 |
GILLAN |
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名曲 |
武装する若手バンドに対し、おっさんが上半身裸でおおっぴらにケンカを売っているかのような、そんな攻撃性がこのバンドの大きな個性だったが、この作品ではそこに大きな完成度が加わった。時代を感じさせる音でいて時代を超えたスタンダード的なカラーがある。大きな大きなヘヴィ・メタルである。 以前は少々うかがえた年相応の落ち着き路線など(例えばブルースロックなど)、ここではまるでやっていない。休んでいない。止まっていない。何から何まで目に見えて動きが明確な骨太サウンドであり、初めてディープ・パープルと同じ位置で呼応するスタイルができあがっていると思う。 |
ベスト10!
VANDENBERG |
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名曲 |
オープニングがブルースロックである。 当時はヘヴィ・メタルの新星という売り方だったので、初めて聴いたときはズルッとも来たが、サマになりすぎた雰囲気に、意外に凄いと思う間もなく2曲目、ものすごいギターテクニックに目から耳からウロコ、3曲目4曲目連続の名曲バラードに涙涙、瞬間のインパクトではないにせよ、聴きながら堪能するインパクトが凄いと思ったアルバムだった。 プロデュースも構成も荒くて、メジャーから出ていながらあまりメジャーぽくない音なんですが、猛る才能というものがすべてに優先していて、どの曲も上ブタを吹き飛ばすような勢いにあふれている。小細工なしの音は気持ちがいい。 新人バンド(およびその周り)が、聴かせ方とか完成度とかそんな二次的なものへのこだわりを持たなければ、ロック界に名作はもっと数多く生まれていたのでは。聴き応えがまさに作品の完成度を作る。そう思わせる作品である。 |
GARY MOORE |
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名曲 |
名曲揃いという点を除けると色合い自体はポピュラーの世界ではとりたてて大騒ぎすることのない、どちらかといえばこの時代においてもレトロな路線だった。この人がやったからこそ、これだけインパクトがあったと言える。 当時ただのアホ高校生だったぼくらが痺れたのは、重さ以上にこの太さ。細かいところまでいちいち太い。重い音これヘヴィ・メタルの醍醐味となっているが、骨太の音というのがありそうでなかなかなかった。この太い音で、以降のメタルのスタンダード路線そのものが変わってしまったと思う。 |
COZY POWELL |
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名曲 |
内容は8本足をほれほれと見せつけるようなテクニカル路線ではなく、前作同様足がしっかり地についた素晴らしいメロディーを聴かせる極上インストゥルメンタル作品となっている。捨て曲が全くない分、前作、前々作よりグレードは上である。 なるほどのメンツがこぞってなるほどのサウンドを作っている。実際どういう音なんだと聞かれると、ホワイトスネイク60%レインボー20%ゲイリー・ムーア20%、という感じである。単純に素晴らしい作品には単純な観方でいい。ちなみに全曲インスト。 |
THE RODS |
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名曲 |
ファーストアルバムではコンクリートの冷たさを思わせる都会風のイメージ面が強く、曲的にはあまり大したことなかったロッズであるが、2作目で早くも化けた。一直線の一方的なヘヴィ・メタルである。 「ニューヨークの帝王」という謳い文句はこの作品にこそ与えられるべき。小細工を使わず純粋に強いプロレスラーみたいなサウンドである。 ライバル視された西海岸のY&Tも"BLACK TIGER"から揺るぎないオリジナリティーを完成させたが、ロッズも同様だった。 ただロッズは以降、地下に潜っていったので、この作品には孤高の響きを感じ取ることができる。スタンダードなヘヴィ・メタルではあってもこれだけ勢いがあると、後のスラッシュ・メタルあたりの登場にもその誕生のきっかけを与えたんじゃないかと思った。スラッシュメタルの一歩手前の激ヘヴィ・メタルである。 |
SCORPIONS |
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名曲 |
新しいリスナーからすれば贅肉のように聴こえる70年代の湿っぽい雰囲気重視要素をびしっと断ち切り、フットワークも軽く鋼鉄弾を四方八方に発射しまくるものすごく強いヘヴィ・メタルが完成。 売れたから大衆的という単純な観方も正しいと思うが、ヘヴィ・メタルという音楽のオリジナリティーが多くの大衆に伝わったというその形こそ、真に大衆的である。名作中の名作である。人類のヘヴィ・メタル。 |
BLACKFOOT |
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名曲 |
一般ロックにおいてはレーナード・スキナードのハードロックスタイルくらいの存在感しかなかったこの人たちかもしれないが、この作品を機に化けた。 最初から呆気に取られるしかない、くそド迫力の大開放である。 昔のスタジオ盤では別になんてことなかった曲が、よくもまあこれだけ変わった。ライブ盤については「レコード(CD)にパッケージされた録音にすぎないから実際の生音には数段劣る」と当たり前のように言われるが、では実際この音の生音というのはどこまで凄かったのだろう。 モーターヘッドの“NO SLEEP TILL HAMMERSMITH”と並んで、80年代メタル史の栄光である名作中の名作。 |
TANK |
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名曲 |
本当に、よくもこういう作品作ってくれた。 そこそこ話題になったファーストアルバムよりも音質はへぼくなったが、感動は10倍深い。 1982年NWOBHMブームもそろそろ終わりといった時期だったが、世界的にはヘヴィ・メタルがメジャーになるその土壌ができつつあった時代。ヘヴィ・メタルは他ジャンル同様、金かけて作るのが当然といった風潮ができつつあった時期なのだ。 そこでまあ、繰り返すが、よくもこんな音を出してくれたものだ。 しかし貧乏であっても貧相にあらず。 これが漢のヘヴィ・メタルである。私はたったそこ、1点だけで歴史的名作と言わせてもらう。 |
第3位! |
TALAS |
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名曲 |
ミドルテンポ中心のアダルトなブリティッシュ風職人肌ハードロックでありながら、ジャケットのイメージ通り妖怪っぽいおどろおどろしさもあって、単純にヘヴィ・メタルとしては満点級の作品だと思う。 聴く人によって評価は違う。私は名作だと思う。 しかしこれのどこがアメリカン? 前作を知っていればなおさらびっくりする。 音の描く絵はおどろおどろしくとも、実際美術館あたりに展示してそうな、決してグロではない世界。 ビリー・シーンが凄かったというよりこの音が衝撃的だった。これほど重量感の強烈なサウンドはない。世界一重い音のメタルアルバムである。重々しい、陰鬱、ではなく、単純に重い音。ベース・オリエンテッドハードロックの完成だった。そんなジャンルはないが、そういうジャンルと考えたらこれは歴史的な一枚である。 |
第2位! |
IRON MAIDEN |
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名曲 |
ブルース・ブルース(当時の呼び名)の加入を急場しのぎと勝手に考えていたリスナーを、とことんまでひれ伏せさせた威風堂々の傑作がこれ。ロンドンの怪人がゴジラみたいな怪物に変身したかのような巨大なサウンドで、破格のインパクトを投げかけた。 オープニング曲“Invaders“は(私の知る限りでは)一度もライブのレパートリーにならなかったし、またベスト盤にも入っていないこのアルバム限定のナンバーであるが、緩急自在、疾走感も限界突破で、まさにジャンル代表激烈ヘヴィ・メタルナンバーである。 1曲目でリスナーに没頭させることを「ツカミはOK」などと言うが、この作品の場合はつかんでぐるぐる引きずり回すという感じ。 イギリスでは一般チャートの1位に躍り出た名作。 |
第1位! |
THE MICHAEL SCHENKER GROUP |
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名曲 |
たった1作だけに終わったグラハム・ボネットとのプロジェクトだったが、グラハムはこの時期こそまさに全盛期である。マイケル・シェンカーも何を煽られてか、冴えまくりである。激烈にメロディアスで、とんがってるし、おまけに重いとなれば、あとは何が要るというのか。 この作品のリリースからはや30年。 時を忘れさせるのは、ひたすら凄いオープニングのインパクト。とにもかくにもヘヴィ・メタルとしてこんなに即効のサウンドは知らない。正真正銘の名演である。 |