1984年
ハードロック、メタル編
この年のいちばんのニュースは文句なし、
「W.A.S.P.の登場!」でありましょう。
欧米以外からの刺客がぼんぼん登場し、
メタル界が本当にワールドワイド化した年でもあります。
個人的評価100点満点作品 全33枚
MANOWAR |
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名曲 |
重低音爆撃サウンドの最高傑作"HAIL
TO ENGLAND"と同年にリリースされながら、駄作の悪評高いセカンドアルバム風の、何ともガシャガシャした音質は何だ?と思うが、捨て曲一切なしというグレードの高さに感服。 がむしゃらの勢いがそれこそジャングルの白兵戦の映像を想わせるようで。アップテンポは突撃ラッパ、バラードは戦死者への鎮魂歌。笑っではいけない。 |
QUEENSRYCHE |
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名曲 |
この人たちの最高傑作は88年の“OPERATION:
MINDCRIME”と言われるが、徐々にああいうスタイルが完成していったのではなく、4年も前から大体同じような音だったというのが驚きである。 前作ミニアルバムではハイトーンをやたら強調していたウメボシ殿下(ボーカル)の歌もわずかな期間で破格にスケールアップしている。何から何まで腰の据わった、巨大城のようなメタルサウンドである。 |
PRETTY MAIDS |
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名曲 |
6曲入りミニアルバムであるが、オフィシャルアルバムに匹敵する作品だった。ファーストフルアルバム"RED
HOT & HEAVY"は最初から話題になった傑作だったが、それを遡るこのデビューミニアルバムは、マイナーくささがかえって素晴らしい傑作である。 ギター、キーボード、個々のプレイが必ず聴かせ所として用意されている正統的な個性でありながら、この初お目見え作品ではソロパート以前に一体感を売り物にしたストロングなサウンドが堪能できる。見せ場が二の次、という空気が素晴らしい。整合感を与えられる以前の荒々しいサウンドが、パワーメタル然とした異様な迫力を感じさせた。 もうかなりの数の作品が出ていますが、このバンドの作品群の中でも上位に位置される傑作。2013年、まだまだ現役。衰える気配もない。 |
BON JOVI |
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名曲 |
ボン・ジョヴィも30年、ですか。 今となっては意外であるが、この人たちもまた新生ヘヴィ・メタルとしてデビューを飾った。SUPER ROCK '84のステージではものすごく頑張っていた。 ファーストアルバムの音は甘い感じではなく、ハードロックというにはあまりに聴きやす過ぎて、この作品を機に「キャッチー」なんて言葉が使われ出したと思う。 感動を与えてくれる楽曲の数々は聴く者の趣味を選ばない。当たり前といえば当たり前であるが、最初から100%ボン・ジョヴィのサウンドだった。 ファーストアルバムでここまでの充実度。世界一のロックバンドにまで成り上がった現在の姿を確かに予言している。 |
BLACK'N BLUE |
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名曲 |
クワイエット・ライオットがあれだけ売れたのなら、このバンドにもチャンスがなかったわけではない。 みんなで楽しく歌おう!みたいな曲がおもいっきりありそうな雰囲気で、結局なかったところが売れなかった理由かもしれない。しかし、だからこそ今、大変素晴らしいバンドだったと思う。 パーティーロックのように思わせて実はそうではなく、ざまあみろ、と思っていたのなら大したものである。 わざわざドイツまで飛んでスコーピオンズ、アクセプトで有名、あのディーター・ダークスの元でこのファーストは制作された。実際まさにそれ風の音。 全然懐メロに聴こえない。ベスト盤なんか、なんか光輝いてますよ。 |
ARMORED SAINT |
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名曲 |
ステージでも甲冑着るその出で立ちに心無いリスナーから笑われもした。しかしそのサウンドは野郎くささ極まる、ワイルドでブレイブなヘヴィ・メタルである。 ワイルドな荒っぽさを売るバンドなど、あり過ぎて、マンガのような印象がこの時期にすでにあったが、野人中西の世界の一歩手前に踏みとどまり、意外と緻密さを感じさせるその音楽性は荒野の鍛冶屋さんといった趣きだった。 無頼ハードロックバンドではなく新生ヘヴィ・メタルバンドということを強く印象付けるギターサウンド。太く繊細というパラドックスがヘヴィ・メタルなら成り立つのだ、と言わんばかりである。 |
Y&T |
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名曲 |
鋼鉄号泣作品“MEANSTREAK”の次はアメリカン・ナショナルハードロックへの邁進となった。 この作品にはじまった陽性アメリカンハードロック時代のこの人たちを良く言わない人たちもいたが、“EARTHSHAKER”および“MEANSTREAK”路線がヘヴィ・メタルの理想形だとしても、「ロックを信じる」と咆哮したこの傑作を卑しめる理由にはなりはしない。 号泣する音が男気の産物なら、勇者のように気後れなく叫ぶこの姿もまた男気である。 |
W.A.S.P. |
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名曲 |
若い人に真面目な顔をして尋ねられたことがある。「WASPのファーストって、結局いいの?」、私は「サイテーに素晴らしい」と答えた。 メンバーは刑務所出てきたところだとか、元ポン引きだとかいろいろ仰々しいことが言われていたが、音を聴いて一発でウソだとわかる。 ド派手で下品、しかし聴けばお分かり、強烈にIQが高かった。キッスもここまで賢くはなかったで、と思った。 恐々としたイメージはさすがであるが、しかし音楽的に誰がこれを真似できた? 何年かぶりに聴いてみて、あまりの完璧さに感動した。 確かB!誌だったと思うが、創刊号あたりで、寿司屋に殴り込みフォト特集のような、またものすごいものがあって、今でも目に焼き付いている。 |
H.S.A.S. |
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名曲 |
サミー・ヘイガー、ニール・ショーン(ジャーニー)、ケニー・アーロンソン、マイケル・シュリーヴの頭文字つなげただけの単純極まりないバンド名であるが、それぞれ各メンバー史上いちばんメタルチックな音を出しているに違いない、超ド級作品である。 この人たちがただ単に爆音にモノを言わせて突っ走って終わり、なんてはずはなく、豊富なキャリアをしっかり織り込んだ、さすがと言う他ない完成度と楽曲である。死ぬほどメロディアスで、哀愁的である。アメリカンロック史に名を残さんばかりの勢いがあった。 しかし1作のみでおしまい。惜しい! |
RATT |
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名曲 |
LAメタルムーブメントの火付け役を果たした作品。 リリース当時はそのルックスとバブリーな雰囲気に話題が集中して、あまり語られなかったことであるが、現代アメリカ流にバイオレントな雰囲気を持っていることも聴き逃せない。 「ラットンロール」、メンバーが考えたのか誰が考えたのか、何とも語呂の悪い、屁のような言葉であり、これほどまでに重々しくバイオレントな音なのに、このバンドを取り巻く空気は確かにバブリーで軽いものだった。 それゆえ当時、そんな存在感を当然のものとしていたリスナーにとっては、今一度聴けば意外な発見がある。ちょうどこの時期、初来日時の観客は男ばっかりだったのだ。 |
DOKKEN |
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名曲 |
懐かしい一枚。この軽い音質は絶対わざとやってると思うが、この埃っぽい音質のおかげで唯一無比の個性が確立している。後にも先にもこんな音はない。名プロデュースである(この人も懐かしい、ロイ・トーマス・ベイカー)。 “Tooth and Nail”をはじめ“Just Got Lucky”、“Alone Again”、“Turn on the Action”、80年代メタルの財産というべき名曲が目白押し。 90年代メタルと全然空気が違う。 ただし、繰り返すが音は軽い。 |
VAN HALEN |
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名曲 |
このバンドには、真面目をおちょくり倒すような色があった。ファーストアルバムからずっと続いていた宴会オールディーズロックの焼き直しがそうである。実際好きで好きでたまらんかったのだろう。 “Oh Pretty Woman”の大ヒットをかっ飛ばしたVAN HALENに「もうちょっと、もうちょっと先行ってくれ!」と切望していたリスナーは多かったと思う。 一般ロックリスナー間での存在感はこのアルバムでまた大きく上がったし、加えてこの分厚く重いサウンド、当時で言えばメタルの一番新しいヒーロー像と言えるサウンドだった。 |
SCORPIONS |
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名曲 |
名作“BLACKOUT”とはまたカラーが違うが、こちらはじっくり聴いてくれい、とばかりにベテランらしく落ち着いた王道路線である。 ミドルテンポメタルの名曲“Rock You Like a Hurricane”はまさしくこの作品の色を語っている。そしてその代表曲が目立たぬほどの名曲集である。 |
PROUD |
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名曲 |
この年のマイナーメタルナンバーワン。名盤である。同じくスウェーデン、ヨーロッパのファーストアルバムで聴けた寒き桃源郷とも表現できるあの世界が堪能できる。 ドンくさく、とことんイモくさいが、このきれいなメロディーが、土台がドンくさい分、ものすごい光沢を持って光っている。そう聞こえる。 歌がへたくそだから先輩ヨーロッパにはかなりの差を開けられてしまったが、プラウド節ともいえる、唐突に飛び出すおそろしく流麗なメロディーラインが、この路線に渇望していたリスナーを多いに満足させた。 たったひとつだけの武器かもしれないが、これが強すぎるほどの個性なので、メジャーと比較した際のダサさなどまったく気にならない。 |
TOKYO BLADE |
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名曲 |
セカンドアルバムにして出世作。オープニングナンバー“Someone
to Love”が問答無用だった。これはもうマイナーの水準ではなかった。 無国籍サウンドがヘヴィ・メタル界を席巻し始めたこの時期において、てめえら自分の出身を誇れよ!とあらゆるバンドに対して言い放つこの漆黒のブリティッシュ・カラー。泣けてくるほど正統である。 この作品があと2年ほど早く、NWOBHMムーブメントのさなかに生まれていれば、このアルバム、このサウンドが仏陀の手となり足となり、絶賛の一歩手前でとどまっていた多くのバンドをきちんと成仏あるいは成功に導いたと思われる。 ファーストもおすすめ。"If Heaven Is Hell"というブリティッシュメタル最高作品が収録されている。 |
VIRGIN STEELE |
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名曲 |
2作目であるが、デイヴィッド・ディフェイスの怪鳥音ボーカル以上にジャック・スターのリッチー・ブラックモア化したギターに焦点が置かれている。キーボードも前作と変わらずド派手。 様式美路線ゆえの(ジャケットそのままの)寓話的カラーも色濃くある一方、どういうわけかニューヨークのコンクリートジャングル的な色も感じられる。無茶苦茶な個性がこのバンドの売りだった。 タイトル曲(名曲!)はギターボーカルキーボード、三位一体的な凄さを見せつけてくれる。 |
WHITESNAKE |
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名曲 |
オリジナル盤の方はオープニングが“Gambler”で、リックス後は曲順が変わっていて面白くなかった。 リミックス盤に初参加のジョン・サイクスにしたって、「サーペンス・アルバス」みたいにむちゃくちゃに弾き倒してはいない。 全体的に曲調が、ムーディー&マースデン時代の色残る正統ブリティッシュロックンロールスタイルである。 何枚もあるこの人たちの作品中、曲の良さでは1、2を争う作品である。これが思惑を外れ、アメリカではあまり売れなかったから、みたび心機一転、次作あのモンスター作品の登場と相成ったわけであるが、しかし! ファンからすればこの“SLIDE IT IN”こそ70年代初期から続いた集大成サウンドのように思えた名作だった。 |
PRETTY MAIDS |
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名曲 |
ミニアルバムに続いて出たフルアルバム。各パートの力量が活きまくったヘヴィ・メタルの理想形が完成している。一種独特の音質が懐かしい。キーボードサウンドは革命的な感触があった。 全体的に重量感に欠ける音質かもしれないが、これはシャープなイメージを優先させたもくろみである。寒い地方の空気をもってアメリカンメジャーハード級の存在感を堂々と自己主張しているこの音。好きな人だけが買ってくれたらいい、みたいな控え目な感じがまったくない。 |
WILDFIRE |
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名曲 |
実は2000年近くになって初めて聴いた作品だが、これは驚いた。なんでこんな素晴らしいアルバムが人知れずあるの、と思った。 オープニング(詳しくは短いインストに続く2曲目のイントロ)は絶対、80年代メタルファンなら狂う。これほどの名演は、たいがい聴きつくした私など絶対聴けないと思っていた。 STATETROOPERはてっきりゲイリー・バーデンの手腕そのものであると長い間思ってきたが、全然違うかった。これほど素晴らしい音を出していたバンドが母体だったのだ。どっちのバンドもあんまり、誰も知らんか(泣) |
SAMMY HAGER |
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名曲 |
タイトルは“VOICE
OF AMERICA”の略。まったくもって正しいタイトルである。 ヴァン・ヘイレン時代にもライヴの重要レパートリーになったオープニングナンバー“I Can't Drive 55”など、そのへんのおとっつぁん聞いてもアメリカ的だと言う。ただ元気にシャウトするだけにとどまらず、ぴょんぴょんとジャンプしまくるアクションがアメリカンロックの景気の良さを体現していた。 タイトル曲が期待を裏切らずたまらなくそれ風。いっそのこと、ラモーンズみたいに曲調すら全部一本調子でやってほしかった。 |
KISS |
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名曲 |
“CREATURES OF THE NIGHT”ほど曲が充実してないというのは暴言だろうか、しかしオチャラケなしの真剣さを天下に示した一大メジャーアルバムだった。ものすごく収録時間が短いのが素晴らしい。オール・ヘイル、キッスというサウンドである。この音がキッスに似合うも似合わないもない。そんなものはアホの井戸端会議である。すべてのメタルバンドがこの音にひれ伏すだろう。 |
IRON MAIDEN |
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名曲 |
アイアン・メイデン5作目、世界中のファンがこれぞ最高傑作と太鼓判を押す夢のような作品だった。 私は育つ場所を少々間違え、若い頃からメタルを聞く友人があまり周りにいなかったが、メタルを聞かんアホウどもを唸らせたのは、この作品とオジーの“BARK AT THE MOON”くらいだろうか。 由緒あるハードロックを全然イメージさせない破格のオリジナリティーが凄い。こんな音創られた日にゃ、たとえどのようなジャンルのバンドから観ても脅威に映る。堂々とロック史に残るサウンド。あっぱれ!! |
RAILWAY |
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名曲 |
アクセプトファンには絶対おすすめの作品。 演奏もそれ風だが、ボーカルがすごい。ウドを彷彿させた新人は歴代このバンドのボーかリストだけである。 クラッシャーサウンドの決定盤。暴走機関車のごとくジャマするものをドカドカと押し飛ばしながら前進する文字通りの鋼鉄サウンドである。しかし決して暴走にあらず、どっしりと力そのものを誇示すしているのが素晴らしい。 みんながみんな暴走なさる中、速さより重量がモノを言うんじゃいとばかりに、このバンドは異様に輝いてました。曲名もほとんどメタルアンセムぽいのばっかり。 わかりやすいという意味では、ポップなメタルだったのだ、これも。 |
ベスト10!
METALLICA |
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名曲 |
何を差し置いてもとにかく奇跡的内容の一枚。これ聴いてる最中は他のすべてのメタルバンドが腑抜けに聞こえる。 細かいところまで比較するとこの作品以上の音はたくさんあるが、総合点、全体像がヘヴィ・メタルとしてあまりにも強固で、言うなればこれは音の要塞である。仮にこのバンドに勝てるバンドはいたとしても、この作品に勝つ作品はない、この音に勝てる音はない。どういう聴き方をしても、ヘヴィ・メタル20年の歴史の中で最強の作品。 |
MERCYFUL FATE |
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名曲 |
インパクトでは前作、そして内容ではこっちである。ヤスリでごりごり頭蓋骨を削られるような異様な音質。猛る勢いが地獄の釜のふたをぐいと持ち上げ、そしていやがおうにも見せつけられる悪魔の饗宴。70年代に聴いたブラック・サバスとは同じような舞台でいて装置というものがまるで違う、(当時)今流に多分にアングラ芸術的なサウンドだった。 と思うのだが、今聴いたらどういうわけか、ポップな音じゃないか、と思ってしまった。 もはやマイナーの超個性ではなく80年代ヘヴィ・メタルとして絶対無視できないサウンドに昇格している。現在ブラックメタル系と呼ばれる多くのバンドがこのバンドを崇拝信仰しているが、師匠格のこのサウンドは現ブラックメタル典型ほど狂気痴呆の世界ではなく、実際末端までよく見えるクリアーな世界だった。大変に音楽的な音楽である。 |
LOUDNESS |
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名曲 |
VOW WOWやFLATBACKERのほうが実際、偏差値的にもっと高いオリジナリティー持っていた。しかし全世界全メタルリスナーが共通に持っている単純なメタルへの愛着、憧れを最大限に心地良くくすぐってくれたのがこのアルバム、このサウンドであり、こういうのは天才の頭脳が作り出すわけではなく、熟練のテクニックが作り出せるわけでもなく、実際「育ち」が作るものである。言い換えればあるジャンルの音楽に長年慣れ親しんできた愛着の表現とでも言えましょうか。あほらしさもまた素晴らしい。いや、アホだから素晴らしい。日本産ヘヴィ・メタルのベストアルバムである。 90年頃私はなぜかロンドンで惰眠をむさぼっていたが、VOW WOWもFLATBACKERも誰も知らず、LOUDNESSだけが知名度があり、中には日本のバンドとは知らず聴きまくってるやつがいた。 |
DIO |
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名曲 |
ファーストアルバムの軽〜い音質が解消、実にヘヴィ・メタルらしい正統的な重量感を持った。このアルバムは本当によく聴いた。 ジャケット絵そのままの異世界、多分に映画風であるが、80年代様式美というジャンルの旗手を担ったこのバンド、絵画的映画的と思わせた時点で名作だった。メロディーが極上でなければここまでのスケール感はあり得ない。 |
BARON ROJO |
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名曲 |
スマートなワールドワイドメタルなぞ小ざかしいわい!とばかりに、スタジオアルバムでもその野放図ぶりを聴かせてくれたこのバンドだったが、まさかこれほど凄いライブを聴かせてくれるとは、当時はマイナーメタルファン冥利に尽きたというか、もうスペインという国自体が一気に要チェックになったような気がした。スパニッシュメタル一(いち)の名作でである。 この音の弾け具合をして完全に一流のサウンドと断言したいが、しかし決して世界の舞台では一流にはならなかった分、トレンドなどと一切リンクすることはなく、それゆえ今になって聴いてもまったく古臭さなどない。 この時期において球場やドームを思わせる、こんなにドーンと天井突き抜けたようなサウンドは非常に珍しかった。音もタイプも全然違いますが、グランド・ファンクあたりのライブ盤を彷彿とさせる。 |
MANOWAR |
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名曲 |
ねえちゃんの喘ぎ声で始まるセカンドアルバムはその異様な音質の軽さもあって、日本に限らずあちこちで叩かれまくったようで、その反省もあってか、サードアルバムは重量感極まる大変なヘヴィ・メタルになった。 凄いというより大変なヘヴィ・メタルである。アメリカンコミック調のジャケットは、最初この音のイメージと結びつかなかったが、“HAIL TO ENGLAND〜英国へ降臨”、タイトルの意味はもちろん、元気のなかったブリティッシュ・ヘヴィ・メタルへのテコ入れかつ宣戦布告である。このジャケットはとてつもなく勇ましく、誇りあふれるものに見える。 メロディーラインの充実度がこの勢いを後押し。マン・オブ・ウォーのバンド名が映える最高傑作である。 |
STONE FURY |
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名曲 |
隠れた名作と誰かが雑誌で言ってたのを覚えているが、何を何を、隠れてなどおるものか。堂々とメタル史に残る名盤である。 呆然とするくらいの名曲が3曲ほどあるが、イントロからリズムからメロディーから、音質から歌声まで、目(耳)からウロコが落ちる瑞々しい感動の連続である。 また、この透明感をもってして北欧メタルに対するアメリカンの返答という感じもする。泉の涌き水が死にそうな喉の渇きを癒してくれたような、そんな感覚があった。 今聴いても感動的な一枚。YOU TUBEで普通に見られるビデオクリップがさすがにこの時代であり、音に比べて映像の時代遅れ加減に唖然とするというか、それだけ時代を超えた名作、名曲ということだろう。 |
第3位! |
TANK |
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名曲 |
メジャーのブランドになびく一般リスナーからしたら、意外な場所から飛び出した満塁逆転ホームランだった。NWOBHMは死んでも、イギリスのメタルは少しも死んでなどいなかった。 メタルファンなら誰もが没頭し得る、1984年の最高傑作の呼び声高かった大名作。私はデビュー時からこのバンドが大好きだったもんで、前作サードアルバムの時点で「ファーストのケツ剥き出しスタイルに戻らなければ未来はないで」などと思ってたものだから、この4作目の音には呆然どころか、魂が抜けた。 B面(後半)退屈なんて興ざめなこと言わず、前半3曲の感動を知らない人に伝えまくってほしい。 こういう作品がなければ80年代中盤メタルシーンはバブル経済に浮かれるだけのアホのお祭り場と化していた。サムライヤクザの哀愁が漂いまくっている。ヤサグレの名作でもある。 |
第2位! |
JUDAS PRIEST |
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名曲 |
あれやこれやと頭で考えるのではなく、ストレートに、聞いている瞬間の悦、聴いたあとの満足感を基準にしたらこれがジューダスの最高傑作になる。と私は思うが。 “Freewheel Burning”の感動は一生忘れん。解説無用の名作。確かこれ84年、年明けに出たと思うが、メタルファン1年の御多幸を保証した縁起物アルバムとしても有名である(...と思う)。 とにかくメロディーが活きて活きて、攻撃的なくらいに弾けまくっている。攻撃的なまでにメロディアスなアルバムである。 "PAINKILLER"は全然メロディーがないから私は好かん。 |
第1位! |
ACCEPT |
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名曲 |
私がアクセプト最高傑作だと思うのは“BREAKER”でもなく“METAL
HEART”でもなく、コレである。 いいや、“BREAKER”こそアクセプトだ、“METAL HEART”の完成度こそこのバンドの集大成だ、と考えてももちろん正しい。ただ、個人的にはこの作品が一番インパクトがあった。 痩身かつ筋肉質の格闘技者みたいな、俊敏さと鋭さばかり強調された90年代以降のヘヴィ・メタルと比べて、こういう出で立ちの不動のスタイルは、確かにフットワークの軽さには欠けるが、しかし本当のところ最強である。メジャーから出たメタルの中では歴代最重量級ではないだろうか。 |