1985年
マイナーメタル編
この年あたりからマイナーメタル、
アングラメタルから俄然目を離せなくなってきました。
あるぜあるぜ、お宝が...
個人的評価100点満点作品 全16枚
BATHORY |
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名曲 |
北欧に端を発した現ブラックメタルの、ずばり元祖である。VENOMがこれ以前にこういう音を出していたが、北欧ではこのバンド(というか人)が元祖である。と思う。 セルティック・フロストすらまだまだ甘い!という世界。特に日本ではほとんど知名度がなかったが、誰が何と言おうと歴史のいちばん最初だから名盤である。 これもまた80年代メタルの一端だなんて、まったくその奥の深さを思い知る。 当時はもちろん、現在でも極端中の極端に入るスタイル。ファーストはもうひとつ説得力のないハードコア路線だったが、パワー不足を見事に解消、この作品では完全に悪魔に魂を売ったかのごとく、完全に魔界に入っている。スタジオ録音という作業がこの世でおこなわれているとは考えがたいような音である。 |
POSSESSED |
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名曲 |
タイトルもバンド名もついでにジャケットも、まさしくその印象通り実に禍々しいデス/ブラックメタルその走りだった。ヨーロッパからではなくアメリカから登場した、80年代屈指の凶器サウンドである。 禍々しくはあっても音が凄くクリアーな点、現ブラックメタルあたりとは全然出で立ちは違う。レッドゾーンを振り切ったこの猛り具合がスラッシュメタル登場時期にあって、それを軽く越え去っていた。 この極端性をもってして現エキストリームスタイルに直結しているかと。この時期ですでに「デス・メタル」という曲名があるのが興味深い。(もちろんまだデスメタルというジャンルは誕生していなかった) ギタリスト、ラリー・ラロンデはこのバンドが終わった後に悟りを開き、PRIMUSというバンドでメタルもロックもすべて超越したタコタコ・サウンドに没頭する。 |
JAG WIRE |
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名曲 |
LAマイナー勢のひとつ。これ1作で消えた。 ただし1曲、とてつもない名曲を残している。2曲目の“On the Run”、ある層のリスナーが持ったLAバンドの悪印象がすべて覆る名曲である。これ1曲のためにこのバンドのすべてが存在したような、そんな曲である。きっとこのバンドが後10年生きていたとしても、間違いなく代表曲になっていたに違いない。 他の曲も別に悪くはない。 |
TYRAN' PACE |
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名曲 |
ジューダス・まねバンド決定版。内容はタイトルが語る通り。ハッタリ一切なしの傑作である。 ファーストは身ぐるみ剥がされたジューダス・プリーストみたいで、しょうむない音だったが、いきなりの大変身だった。 ボーカルはガンマ・レイでご存知ラルフ・シーパース。気持ちいいくらいの疾走スタイルで、当時すでに死語的存在になりつつあった鋼鉄路線というスタイルを見事復活させた、黄門様の印籠である。 今聴けば、当時一世を風靡しつつあったスラッシュメタルあたりにケンカを売った堂々たる正統路線だったように思う。まあ、飽きの早い音かもしれないが。 バンド名の意味、いまだにわからん。 |
EXCITER |
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名曲 |
「爆音万歳!」というタイトルそのままのサウンド。 少々出で立ちが変わったようだったが、重苦しさは薄れるもバイオレンス度が倍増し、ハードコアパンクをも上回る過激さを爆裂させた。 最近のまがまがしいブラックメタルあたりと比較すると、まだまだこれは健康的なサウンドで、懐かしい響きもあるが、ヘヴィ・メタルを造るのに思考ではなく魂と体力しか要らないとしたら、このアルバムの音はまさにこれ以上できないという究極の形であっただろう。 しかし歌だけは相変わらずドヘタである。 |
LIZZY BORDEN |
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名曲 |
古くはキッス、80年代ではWASPなんかでもそうだと思うが、実際こういうスタイルを取るミュージシャンに限って、賢い人が多い。 このアルバムの音にしてもホラー映画の雰囲気が大きいながら、音そのものはすごくインテリジェンスにあふれている。殺人鬼が出てくる映画をエンターテイメントとして観る人の遊び心に、十二分に応えてくれるメタルサウンドである。正直、私などは死ぬほど好きである。 |
RAZOR |
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名曲 |
変わらずマイナーリリースだったが、ド田舎の木こりがハードコアプロレスやってるみたいな暴れっぷりが、変わらず大きな魅力だった。 大鉈振るってキャベツを切るかのように、激烈にギターリフがシャッフルする凄いアルバム。クサレメタル愛好家の偏狭な観方を越え、心底かっこいいメタルである。全曲走っている。80年代マイナーメタルファンなら「スラッシュダンス」は必聴である。 つまり、アホしか聴く必要のないアルバムである。 だと思います。全曲走ってます。80年代マイナーメタルファンなら「スラッシュダンス」は必聴! |
FLATBACKER |
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名曲 |
90年代含め、これまで出た日本人の作品の中ではインパクト大賞間違いなしと思う。今でもこの音の凄みは十分に通用する。 オビには「ハードロック+パンク+スラッシュ」なんて書いているが、しかしそのイメージにおいて足し算の感覚が全くないバンドだった。 当時隆盛を極めたジャパメタ一派などではなく、全然関係なく、何者にも似ていないというところが単純に凄かった。眼光が鋭すぎるメタルサウンドである。 今においても激しいロックを好む10代の連中を必ずや動かす、極めて扇動的で超刺激的な一枚。 |
AGENT STEEL |
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名曲 |
ヘヴィ・メタルバンドの命であるはずの重量感を後ろに下げ、ガシャガシャと走るリフが重さよりも金属感覚を強調した、異色中の異色バンドだった。こういった手法で成功したのは他にデストラクションくらいである。 あまりに異色ゆえそれだけで買う価値は十分ある。直後に出た3曲入りシングル“Mad Locust Rising”も必殺のサウンドだった。 |
CHASTAIN |
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名曲 |
アホみたいなジャケットながら、内容は極上も極上、耳が溶けて落ちる。 90年代にはすっかり大御所ギタリストの仲間入りを果たしたデイヴィッド・T・チャステイン、その初お目見え作品である。 が、実際このギタリストよりも凄かったのが咆哮する歌、レザーなる名前の女性ボーカリストである。そこらのマイナーメタルとは聴き応えも何も全然違った。 ギターについては、“I Fear No Evil”の、まるでクイーンの昔の作品みたいなギターオーケストレーションが凄い。これ一発でアルバムに100点つけたくなる。 |
S.O.D. |
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名曲 |
80年代、ハードコアメタル大賞文句なしのグランプリ作品。 ハードコアパンクとヘヴィ・メタルの文字通りの友好サウンドである。いや、取っ組み合いの大喧嘩サウンドなのか。どっちでもよい。 アンスラックスという本職バンドの別プロジェクトと呼ぶにはなんか、あまりにでかい居城を作っていた。外目のハチャメチャ度にとまらず、歌詞もわかる人が聴けば抱腹絶倒の嵐だった。バカバカしさも極まれば正統も引いてしまうという好例。こんな世界から始まる文化もあるのだ。正直、名盤である。 |
CELTIC FROST |
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名曲 |
「怖いもの見たさ」心を満たしてくれるアルバム。であるからして、元から怖いものなど見る気もない人には無用のジャンルである。 こういう音楽を聴くからこそ精神の奥に巣食う黒々としたものを上手に蒸発させ、「昼間」の長時間の健全さが保てるのだ。これが好きだという私はそういうふうに自己弁護させていただく。 このバンドの最高傑作、なんて言葉も軽く、最高インパクト作品とでも申しましょうか、はまる人はそれこそ入信してしまうし、嫌いな人にはそれこそトラウマになる。 |
MACE |
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名曲 |
メンバーはまるっきりパンクス2人+まるっきりメタルにいちゃん2人。まさにその印象そのままのサウンドだった。密室100円録音みたいな音であるが、それが少しもデメリットとなっていない。あまりの過激さがヘヴィ・メタルの枠すら飛び越えている。 あのCRO-MAGSとの共通点も多い。メタルバンドがハードコアに没頭したというカラーもあるし、ハードコアパンクの猛者がマイナーメタルを喰ったみたいなカラーもある。何だっていい。 オープニングナンバーは絶対耳に染み付いて離れない。 |
第3位! |
WARFARE |
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名曲 |
やけくそメタル世界一。 アンダーグラウンドの最高峰を極めたこのアルバム、聴いたメタルファンは盆踊りさながらに踊り狂った奇跡の一枚である。 ファーストアルバムはVENOMよりもっとわけのわからんバンドだったはずが。 笑いを禁じ得ないニートレーベル丸出しの音。ここまでの爆裂テンションを生んだのは間違いなく意地矜持の成せる業である。1年に1枚でもいいからこういう作品がないとアングラは潰れる、という作品だと思う。 何ともまあ、とんでもない人がプロデュースを担当している。 |
第2位! |
ZOETROPE |
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名曲 |
この時期マイナーメタルの充実ぶりを如実に示した一枚。80年代マイナーメタルの歴史的な作品である。 日本盤が出ていないというのももちろん凄みの一部である。 マイナーエキストリームスタイルの醍醐味といえばブラッド、デス、イーヴル、サタンと、歌う世界は今昔変わらず相場が決まっているものだが、このバンドは虚構世界を絶叫するのではなく、やけにリアルな雰囲気を出していた。 ジャケット裏の“for speed and death metal addicts, this is HARDCORE STREET METAL!!”と自ら豪語するそのスタイル通り、シティーギャングによるセメントスタイルなのだ。ニューヨークとか、きっとこの音が似合う場所があるのだろう。今は知らんが。 どマイナーバンドの作品だから音質は劣悪。しかしその劣悪さすら美点としてしまうこの一方的な超個性。これははまる。こんなにケンカの強いバンドはいなかった。 |
第1位! |
EXODUS |
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名曲 |
この年の名作と言えば一番にこれである。スラッシュメタル黎明期を創った代表的名作。 ベイエリア・スラッシュという、このバンドを中心に新ジャンルが出来てしまった。 どつく力が本当に強い音だった。スラッシュと言うより棍棒メタルである。 結局ベイエリアかなんだか知らんが、メタルはこういうものでなければいけない。普遍の、不滅の正統派というふうに聞こえてしまう時がくるとは思わなかった。(今のこと) 近年出たこのアルバムのまるっきり焼き直しアルバムも必聴である。 |