1985年
ロック編 (ハードロック、メタル以外)
数的には名作の少なかった年かもしれませんが、
しかし名作と呼ばれた作品が非常に
どっしりした感じのあるサウンドばかりでした。
何かを象徴していたと思うんですが...
何を象徴していたんでしょう
100点満点作品 全23枚
CHARLIE SEXTON |
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名曲 |
このとき若干17歳。ライナーノートなど、齢(よわい)50は越えていようおばさまライターにいいようにいじくられて、かわいそうだった。 このライナーノートは捨てよう。こんな渋い音を出すアイドルはいない。天才が造った一つの世界だった。 |
PUBLIC IMAGE LIMITED. |
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名曲 |
正式タイトルこそ“ALBUM”であるが、CD化されたときは“COMPACT
DISC”となっていし、当時存在していたミュージックテープは“CASSETTE
TAPE”というタイトルだった(本当)。 阿呆なことを平気でする人たちであり、特に一部熱狂的ファンの間では名作とされている80年代前半の作品は、変わってるとかクセがあるなんてもんじゃなく、これは人間用の音楽か?と思ってしまうようなものばかりである。 しかし、ところがどっこい、85年のこの作品にはアルカトラス脱退直後のスティーヴ・ヴァイがギタリストとして全面参加、人類への最大の歩み寄り作品になった。かつ異形のハードロック作品が完成している。 聴く人によっては一生の愛聴盤となり得るサウンドだろう。こんなインパクト、他にない。馬鹿馬鹿しいほど凄い音楽である。 |
PAT BENATAR |
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名曲 |
ハードロック好きの人間からみれば、ピークはずっと前に過ぎたように思えたが、以降はポピュラーロックの女性ロッカー第一人者として世界的な活躍をなさる。 セールス的にこの人の代表作品がこの作品あたりかと思う。メタルファンには勘弁という曲もあるが、たまらなく女性的な歌なのに、安っぽいセクシーさなどまるでない。オープニングの“Sex As a Weapon”の激烈なカッチョよさといったら。ベスト盤でもピカピカに光っている。 |
ELTON JOHN |
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名曲 |
えらく激いエルトン・ジョンである。 相も変わらずのメロディアス天国であるが、特別に正装したような空気が感じられた作品である。 私はこの人の曲は何だって好きであるが、能天気なノリが嫌いという人もきっと多いはず。クロコダイルロック、あの曲がいけない。 そういうイメージしかない人はこのアルバムを聴けば、きっと印象が変わると思いますが。 |
MOLLY HATCHET |
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名曲 |
まずCDバージョンでは曲が何曲か省かれてるというのがブーイングものだったが(2枚組レコード盤がCD化の際にたまにあったケース)、ベスト盤以上に入門作品の役割を果たしてくれるのがこれ。 90年代、えらくハードロックな出で立ちで復活なさって、私らファンは泣いたが、このライブ盤を聴けばおわかりのように、元々ハードロック度はそう高くない。ただしパワー不足などということは地球がひっくり返ってもあり得ない。 LYNYRD SKYNYRDあたりを頂点とするサザンロックワールド、そんな存在感で言えば3番手くらいになってしまっていたのが残念であるが、サザンハードロックとなると、世界一は間違いなくこのバンドである。めざましい活動は2010年過ぎた今においても続いている。 |
TOM PETTY & |
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名曲 |
ヘ〜ヘ〜ヘ〜い!のコーラスが耳に染み付いて離れないオープニングナンバー"Rebels"はアメリカンロック代表の名曲。 他、ぱっぱかぱっぱかホーンセクションが鳴り倒す曲もあって、何か、余裕全開のサウンドである。極意というか奥義というか、本当に限られたものを持ってらっしゃるバンド。 |
ORCHESTRAL |
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名曲 |
なっが〜いバンド名、略してOMD。 厚雲立ち込める空に一条の光が差しているような、ヨーロッパ大陸産ならではの重厚キーボードオリエンティッドポップスである。 ここまで素晴らしい絵を作れるのなら、何曲かある軽〜いメロディーの曲がじゃま。2、3曲徹底しているだけに、アルバム全体の強烈な押しがほしかった。 でも名盤である。 |
ALAN PARSONS PROJECT |
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名曲 |
前作"AMMONIA AVENUE"ほど大仕掛けなカラーではなかったが、元々大衆的極まる音がよりいっそう聴きやすくなっている。薄れたのはドラマティックなカラーだけで、曲のグレード等、何も変わらないアラン・パーソンズの世界である。アラン・パーソンズ史上最もポップな一枚かもしれない。 |
STEVIE RAY VAUGHAN
& DOUBLE TROUBLE |
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名曲 |
突進するブルースギターであったこれまでのサウンドから、一気に2〜30年歳くったような雰囲気になった。 これがまた素晴らしい。聴きながらエラヤッチャヨイヨイと両手挙げて踊りたくなる雰囲気。 私の年代というと「踊る」のは気分が高揚したときに取る子供時代からの習性の一つであり、ダンスやら何やら、かっこいいという類いのものでは一切ない。別の次元の話である。このアルバムを聴くと、両手が頭の上に上がって、ついつい踊り出してしまう。 |
DIRE STRAITS |
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名曲 |
DIRE STRAITS史上最大の名曲集。 個人的にはドラマチック一辺倒だった前作、前々作のほうが好きであるが、肩が張っていない分いつでも聴けるのがこの85年の作品。 これまでの作品も欧米ではミリオンセラーを記録したが、それらを上回る世界的大ヒットを記録し、日本では初めて大きな話題になった作品。 |
JIMMY BARNES |
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名曲 |
ジョナサン・ケイン(ジャーニー)のサポートを得てアメリカでデビューを飾った、オーストラリアでは中堅ミュージシャンとして有名だったジミー・バーンズなる人の作品。ジャーニーというより、これはオーストラリア版スプリングスティーンである。 ハイライトチューンに“Working Class Man”というのがあるが、全曲、世界はまさにこれ。 あまりに真っ直ぐなスタイル、印象なので、冷めた連中にはまったくお呼びでない。 男なら一度はこういう世界で生きてみたいぞ!と恥ずかしくも思ってしまう、そんな世界が詰まった作品だった。わしの世代ではそうなのだ。 |
HOOTERS |
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名曲 |
ものすごく底力のあるロックバンドだった。 ジーンズの尻ポケットに入ったビーフジャーキーを思わせる(?)そのスタイルはあまりにアメリカ的であるが、典型的すぎて奥行きがないなんて言う奴はよっぽど冷めた人間であり、はよ死になさい。 アメリカ人としての生い立ちを語ってくれるような雰囲気が素晴らしい。バンドというより楽団的な、ロックらしくない生楽器があれこれ登場し、そして印象はとてつもなくロック的に一枚岩である。また、哀愁味も素晴らしい。 このアルバムも素晴らしいが、続くアルバムが歴史的名作になった。 |
BRUCE SPRINGSTEEN |
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名曲 |
なんとレコード盤5枚組の、当時としては型破りな作品だった。輸入盤のほうが確か2000円ほど安くて、5〜6000円くらい、私は輸入盤を買ったが、しかしレコード盤1枚1枚が薄いジャケット?に入っていて、90年代のCDボックスセット以上の重み、価値があった。 85年に至るまでの、このバンド初期からのライブ音源を集めたものかなと思っていたので、とぎれとぎれの緊張感、そして盤ごとに音質が全然違うということを覚悟していたが、確かにいろいろな時期のライブ音源を収録しているにせよ、緊張感は全く途切れず、おまけに4時間以上にわたる収録時間、すべて同一場所で録音されているという錯覚を抱かせるほど、クリアーで臨場感あふれる音質で統一されている。 70年代の音だったら70年代風のライブ録音で聴かせるというやり方もあるし、それでいて素晴らしいと思うファンもたくさんいる。 しかしこのアルバムは名曲を懐かしアイテムにせず、まだまだ生かして行きたいというコンセプトだったのだろう。どの曲も艶が素晴らしい。 |
ベスト10!
ELLIOT EASTON |
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名曲 |
ザ・カーズのもう一人のギタリスト、エリオット・イーストンの一枚きりのソロ作品。カーズのメンバーにおいては3番手人気くらいで、ほとんど目立たなかった人であるが、まあびっくりするほどの凄腕だった。ギターテクニックのことではない。 ピキピキ弾き倒す凄腕メタルギタリストの、一体何割が鑑賞に値するソロ作品を作れるか。 ジェフ・ベック、エリック・クラプトンなどの人間国宝ならまだしも、すべてのリスナーが堪能するに値するアルバムを造るとなれば、担当楽器を弾き倒すなんて発想は生まれない。それはこのアルバムが教えてくれた。 ギターなんてまるで目立っていないが、ギタリストの作ったロックアルバムとして、全ギタリスト必聴のアルバムである。 カーズ以上にポップな名曲が詰まっている。 |
RICK SPRINGFIELD |
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名曲 |
これがこの人の最高傑作だと思う。 めちゃくちゃシブいハードポップといった感じであるが、怒涛のようなオープニング2曲を聴けばおわかりのように、かっこよさを追い求めるメタルリスナーがこんなかっこいい音を聴き逃してどうすんねん、である。 これまでの芯であった役者然としたイメージを一掃し、続くこの“TAO”(中国道教思想による「道」の意味)に至っては、ライバルはジョン・クーガー、ブルース・スプリングスティーンだと言わんばかりのスタンダード性を確立させている。 女性ボーカルとの掛け合いも、お懐かしやのディスコ風リズムも、ロック本堂の気合いがこもっているから、決してうわついて聞こえない。 以降の活動が順調といかなかったのが残念ですが、しばらく沈黙していた後、近年になって大復活を遂げている。まだまだ現役。 |
HEART |
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名曲 |
80年代ロック黄金時代を象徴する傑作。 最高級に豪華で高品質なハードロックである。これを嫌味だとか成金趣味だとか言って敬遠するような人は、育ちの貧相さを宣言しているようなものである。 このあらゆる意味で凄い音楽が、ヘヴィ・メタルとリンクしているということをメタルファンは素直に喜ぼうではないか。激しさに惹かれたリスナーを必ずしもヘヴィ・メタルというジャンルに導くとは限らない90年代ロックより、このサウンドには80年代メジャーヘヴィ・メタルへと聴いた人を導く引力があった。 これほどの音を完成させるのに、一体どれほどの才能の人が、どれくらいの労力をかけて完成するのか。 しかし天才バンドからすれば1週間で完成、だったりする。音そのものは至ってわかりやすくシンプルである。今においても一家に一枚の大スタンダードアルバム。 |
TEARS FOR FEARS |
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名曲 |
"Shout"はいつ聴いても凄すぎる名曲である。いっぺんヘッドホンで大音量で聴いてみなさい。これほど緻密かつ豪快な音はない。 私は当時、アホ扱いされながら、最新鋭のハードロックなんじゃないかとも思った。感情表現がハードロック顔負けである。 |
TOM PETTY & |
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名曲 |
意表をつくオープニングである。 THE BYRDS69年のヒット曲"So You Want to Be a Rock'n'Roll Star"を大胆にアレンジ、これがアメリカンロックの力そのものである。有無を言わさずリスナー全員バカ踊りである。 バラードもこのバンドのオハコであるが、ライブは断然アップテンポの曲が光る。90年代のライブビデオも素晴らしかった。 |
JOHN FOGERTY |
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名曲 |
オープニングナンバー“the
Old Man Down the Road”はまったく曲名そのまま、おっさんがただ道を歩いているだけの歌である。 さて、じっくり歌詞など読まずして、アメリカの田舎の景色風景がくっきりはっきりと浮かんでくるのである。 あれこれ難しいこと語らず、音楽とはまさにこれである。歌であろうがギターであろうがドラムであろうがベースであろうが、どんな次元でもいいからミュージシャンを志す(あるいは志したことのある)人なら、これは必ず聴かなければならない音のひとつである。音楽人、本物の音である。 例えばロックの歴史、みたいなテレビ番組で、黒人のベテランミュージシャンあたり、おじいがすごく音数の少ない、ツボしかないようなギターを弾いている場面を誰もが見たことあると思うが、アメリカの国民的ロックバンド、元CCRのジョン・フォガティーのこの作品は、そんな原点のロックを大変わかりやすくポップに伝えてくれる。私は子供にこそ聴いてほしいと思った。 マディー・ウォーターズ、ジョン・リー・フッカー、そしてB・B・キング、音の後ろにギターの神様たちがたたずむ、コンテンポラリーな音である。 |
STING |
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名曲 |
POLICE時代に比べればロックファンとしては歓迎できない変身ぶりだったかもしれないが、しかしさすがにスティング、こういう音に初めて接するたくさんのリスナーをこういう世界へ導いたと思う。 ジャズの要素を絡めたロック、というより、ジャズで使われる楽器をロック流に奔放に使い倒した音楽である。メロディーラインも素晴らしい。"Every Breath You Take"のスタンダードカラーがまともに感じられる。 一方、あり得ないくらいのパノラマ感を醸し出す曲もある。"Russians"に腰抜けた。 |
第3位! |
ZZ TOP |
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名曲 |
前作は、止め切れない勢いがロックと名のつくものすべてを喰らいながらずいずいとモンスター化したかのような作品であり、そして同じ路線で来るとは。 ジャケットの印象通り、若干スペーシーになったが、ZZトップサウンド、としか言いようのない世界である。 もはやこうなると風格すら捨て切って、内容はとにかく馬鹿馬鹿しいの一言。心に刻むべきはこのどっしりと腰の据わったデカケツのサウンドである。デカケツが踊りまくってくれるもんだからそのインパクトは強力だった。 |
第2位! |
DARYL HALL & |
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名曲 |
「アポロ・シアター」は有名な黒人音楽の殿堂。 そこでの公演を許される白人ミュージシャンなど前代未聞だった(今でもそうだったら嬉しい)。 黒人ポップスに対する愛はこの人たちバンド結成時からのスローガンで、この時期夢が叶ったという、その爆発するような嬉しさが詰まった作品である。 当然ロックファン向けのサウンドではないが、この活きて活きて跳ねまくったノリはリスナーのロック心ではなく、子供心に訴えかけてくる。 |
第1位! |
JEFF BECK |
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名曲 |
“Gets
Us All in the End”で昇天である。 ロッド・ステュアートとのコンビも久々に復活、カーティス・メイフィールド作黒人ソウル珠玉の名曲“People Get Ready”はいまだに光沢を失っていない名演である。 ジェフ・ベック御大、この人がこの時期にきてこんな爆弾出してくるとは誰も思わなかったのでは。 ギターオリエンティッドでマニアックな評の似合うミュージシャン然としたアルバムばかり出してきたこの人が。 黒人ダンスミュージックの神様ナイル・ロジャースをプロデューサーに迎え、この時期では世界一といえる大衆性を打ち出してきた。 ナイル・ロジャースの起用はもちろん聴く前こそ「???」の連発だったが、いざ聴いてみるとこれが大正解この上なかった。 ダンスミュージックというよりギターサウンドそのものがダンスしまくっている。水を得た魚なんて誰もが口をそろえて言うに違いないギターサウンドが、とにかく圧巻だった。 ただ、この超名作にも1つだけ大きな汚点が。 ジェフ・ベックは歌、歌わないほうがよかった。 |