1986年
ハードロック、メタル編
前年に続いてマイナー、メジャー共
80年代メタル最盛期。
ベスト10はほとんど順不同と思ってください。
個人的評価100点満点作品 全34枚
CRIMSON GLORY |
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名曲 |
この年のインパクト大賞No.1がこの作品。“Valhalla”、“Dragon Lady”、聴きどころは最初の2曲だけ、というのは当たっているが、1曲目2曲目レベルがあと2曲ほどあったら、80年代メタルの代表に成り得たと思う。聴かせるヘヴィ・メタルとしてはクイーンズライチの“WARNING”を凌ぐものを感じさせたアルバム。 |
KING KOBRA |
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名曲 |
演歌風様式美のファーストから一転、今度は完全にハードポップになっている。カーマイン・アピスによるハードポップというのは食当たり起こしそうなイメージがあったが、しかし計算し尽くされたどっしりと風格のあるスタイルであり、見かけに合わず頭脳の冴えが素晴らしかったミュージシャンであることをこのアルバムが証明した。 サビはもちろんのことサビに行くまでがこれまた非常に素晴らしい印象的なメロディーラインの“Never Say Die”(戦闘機映画IRON EAGLEの主題曲)はハードポップというよりロック正統の王道曲である。 |
CINDERELLA |
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名曲 |
「ボン・ジョヴィの弟バンド」のような触れ込みでデビューしたバンドであるが、何がボン・ジョヴィか、音は似ても似つかなかった。 ブルースロック名ボーかリストとなるのはまだ少し後もことで、この時点では若いはずなのに、これまた何という老獪な叫びのロックであろうか、と呆れさせてくれた。後のアルバムほどの名作は収録されていないが、恐るべきファーストアルバムであった。 “Push Push”や代表曲“Shake Me”などは、ワイルド極まり、まるで屋外肉体労働のバックミュージックである。アメリカ人風「よっこいせ、どっこらせ」のリズムが感じられる。本当の意味の「パワー・メタル」である。 |
GREAT WHITE |
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名曲 |
ヘヴィ・メタル時代はたった1作で終わりを告げ、このセカンドから現在のスタイルとダイレクトにつながるブルージー&アダルト路線を打ち出した。 初めて聴いたときは、もちろんファーストアルバムの続きという感覚だったので、同じバンドか?と誰もが思った。当時は輸入盤が、雑誌の評に載る結構前に入荷されることもあった。 センスというものがタダ者じゃなかったと後日思わされた。これはAORではない。しっかりとメタルであることが凄いと思う。アルバム全体、世紀の名曲"Rock Me"(次作に収録)の、確かに布石だった。 |
ACCEPT |
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名曲 |
アクセプトサウンドの要、ウド・ダークシュナイダーがこれを最後に脱退したというラストアルバム。(ただし90年代に復活) 見事なまでのワールドワイドスタイルを聴かせてくれる。ここまでメジャー化したサウンドをあと2、3作は聴いてみたかった気がする。ウド出戻りの90年代サウンドはこのアルバムの続きであってほしかった。 オハコの野獣コーラスはここに極まっている。 |
STRYPER |
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名曲 |
これでもかのメロディーの大洪水。サビにならないとこのバンドだとわからない、そんなバンドが増えてきたこの時期だったが、1秒聴いただけでこのバンドだとわかる、ただそれだけで高い評価を献上してもいい。 他の誰かが歌うともはやメタルだとは思えない、思ってはいけないようなメロディーラインが、このバンドなら許せた。 |
RAVEN |
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名曲 |
ファンの間では悪名高き作品。私は死ぬほど好きである。RAVENが元気な音を聞かせてくれる。だったらどんな路線でもかまわない。 通算6作目、メジャー第2作目のこの作品、ヤクザ色が引っ込んだ(ここらへんハードコアなファンには大きな不満だった模様)代わりに、陽性の汗のイメージが倍増されて活きていて、これだけ違う感触のサウンドでありながらも、100%の路線転向ではなく実際このバンドの美点を残した個性拡大路線だったと、私は解釈したい。 このバンド90年代以降、スカばっかりのアルバムよりこの80年代の問題作のほうが何倍も素晴らしい。 |
OZZY OSBOURNE |
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名曲 |
本当にセンセーショナルな作品だった。初めて聴いたとき、私は歴史的駄作だと思った。 このクラスの大御所が作った作品としては異様に軽い質感が賛否両論を呼んだ。いや、否のほうが多かったのではないか。 音質に限ってはファーストアルバムを思わせないでもないが、この新路線はまったく角が立っておらず、一般洋楽ファンに対してずいぶんと愛想の良さまで感じさせてくれた。メタルファンをこれほど戸惑わせた作品はちょっと記憶にない。 低音域を徹底的に殺したギターサウンドが異色中の異色で、そこのところ“BARK AT THE MOON”のズ〜ンとくる重量感でこの作品を聴いてみたかった気も非常にするが、たった1作で終わったこの異色の手触りは試行錯誤というよりも、他作品との差別化を狙った意図的なものだったと思う。 結局、否定意見はきれいさっぱり消えた。と思う。曲の素晴らしさがあったからに他ならない。 |
WARLOCK |
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名曲 |
ジャーマンなのにどことなく北欧風の個性は前作に増して磨きがかかり、演奏は熱くとも屋外では寒風吹きすさんでいるかのような印象が、ヨーロッパ大陸の財産だというアルバム。 女性ボーカル(のはず)なのに、男くさいコーラスが似合い過ぎ。類稀なる個性だった。この時期においてスラッシュメタルのカケラもないまっすぐなサウンドがかえってどのバンドよりも強い感じがして、痛快だった。 |
GIUFFRIA |
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名曲 |
聴くならファーストよりもこっちが先。 キーボードが主体のサウンドであるが(リーダーがキーボードプレイヤー)、プログレッシヴというより例えば90年代ハードポップ時代のキッスに近いようなサウンドである。しかし90年代KISSより曲が10倍素晴らしい。 聴きやすく、絶対アホには作れんというこのスタイルは最強だった。アルバムタイトルの意味は深い。重量感が美味である。 |
BLACK SABBATH |
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名曲 |
BLACK SABBATHではなくBLACK
SABBATH featuring TONY IOMMI、実質はトニー・アイオミのソロアルバムである。以降この音がBLACK
SABBATHそのものとなっていった。 グレン・ヒューズがおそらく生涯最高の素晴らしい歌を聴かせてくれたと思う。 オジー時代のサウンドではなく、以降のトニー・マーティン時代そのままの、黒々しくも澱みのないサウンド。この透き通った空気は決してBLACK SABBATHの名にふさわしいものではないと当時は思ったが、こういう音が続けば、やはりこの雰囲気こそBLACK SABBATHという常識になってしまった。非常にヨーロッパ的な、格調ある雰囲気である。 |
VINNIE MOORE |
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名曲 |
VICIOUS RUMORSを一作限りで脱退した、凄腕ギタリストの初ソロ作品。 シュラプネルレーベル(以降しばらくギタリスト博覧会の様相を呈した)の秘蔵っ子だったこの人であるが、連発し過ぎと酷評される以前のシュラプネルは、CHASTAINといいTONY MACALPINEといい、歴史に残る凄腕ミュージシャンを次々と発掘していた。 この作品もそうだが、単なるインスト作品ではなく、ボーカルの変わりをギターがしっかりと担うといった感じで、聴き応えは優れたボーカル入りのアルバムを聴いているのと全然変わらない。各曲の盛り上がりが感動的である。音質はマイナーレーベルらしくあまり良くないが、曲は練りに練られている。 |
TREAT |
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名曲 |
北欧版ボン・ジョヴィとでもいうか、本当にそういう音だった。 マイナーリリースのファーストに続くセカンドであるが、ものすごく垢抜けている。アップテンポにも活きる「しっとり熱く型」メロディーラインはやはりヨーロッパ大陸産で、音が軽い割にすごく食い応えあるというのが他のバンドと違った。 |
METAL CHURCH |
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名曲 |
ファーストも素晴らしかったが、この2作目も捨てがたい。テンションは全く衰えず、バリエーションがかなり増えている。 ジャケットを見ると相変わらずのホラー指向であり、しかしサウンドは前作以上に(当時)今風に冴えを増していた。 捨て曲なしは言うにあらず、いいバランスで織り込まれた正統路線が光っている。走る曲、ミドルテンポ、バラード、すべて誰にも真似できないメタル・チャーチ風。 |
WHITE WOLF |
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名曲 |
名作である。巷のAORハードなどうんこである。 前作より、ヘヴィ・メタルとしての激しさは大きく後退したが、その分、前作でも大きく感じさせた哀愁メロディーがさらに倍化、バラードはもちろんのことアップテンポナンバーでも必ず泣きの箇所が用意されている。 絶滅する野生動物、そんなコンセプトのアルバムタイトルであるが、自らこの音のスタイルをそう表現してもいた。音質的に、ハードロックとしては珍しいくらいにコンパクトですっきりした感触であるが、仕掛けが少ない分、感動もまたダイレクトである。 “Crying to the Wind”が絶品。 |
FASTWAY |
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名曲 |
元モーターヘッド、エディ・クラーク率いるファストウェイの3作目。ファーストそして続くセカンドもレッド・ツェッペリン風R&R路線で異彩を放っていましたが、この3作目で路線変更、ロックシーンにおいても全くの新生サウンドだった。これがあのエディー・ファスト・クラークのギターか、と耳を疑った。もちろん良い意味である。 正統派といえば正統派であるが、高貴というか、貴族的というか、そんな音である。“the World Waits for You”、“Kill Me with Your Heart”、オーケストラが宙を舞う(本当)オープニング2曲で名作決定。いっそのこと全編こういう音で通してほしかった。 |
DAVID LEE ROTH |
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名曲 |
ヴァン・ヘイレンをメタルから遠ざけた酔狂オールディーズ親父という存在感だったこの人のアルバムなど、ハードロックファンの中では、余程のファン以外、誰も期待していなかった。 それが、ここでこの時期、最も急進的なドえらいハードロックを造ってくれた。ビリー・シーンにスティーヴ・ヴァイ、つくづく奇跡的な顔合わせだった。 もちろんオールディーズお祭り風ロックも入ってはいるものの、アルバム前半がなんせ凄いのなんの、今いちばんのスタンダードメタルはこれだと高らかに宣言する偉そうなオープニングナンバーは、ヴァン・ヘイレンがやろうと思ってもできなかったアスレチックロックの究極だったと思う。 この凄いサウンドがこれ1作きりなんて惜しい気がするが、1作きりだからいまだ目立つ名作となっている。 一体感は確かに最高級のものを感じるが、しかしあまりのトンガリ具合をして、「和」というものがまったくといっていいほど感じられない。まったく、異色の完成度だった。 |
BON JOVI |
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名曲 |
当時どれだけ売れたかということだけじゃなく、2000年の現在、累算的にこれまで一番売れた80年代ハードロック作品はといえば、おそらくこれだと思う。 オープニング曲がシングルカットもされず、中でも地味な曲だというのが面白いが、売れたい売れたいとバカみたいに考えず、音の前に格ありき、そんなバンドの意識があらわれている気がして、軽そうなイメージを抱かせないということだけでもグレートだと思いました。80年屈指の「強い音」である。 |
ALICE COOPER |
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名曲 |
遙か太古の昔からの美点が現代風の演奏の中で見事に再生され、復活するにはこうやらんかい、と世界中のベテランロッカーたちに言い放った意義ある1枚。 おどろおどろしさとロックのかっこ良さと愛敬が三位一体で成り立っているこの特異な個性は、言うなれば墓場の大宴会だろうか。 ゲゲゲの鬼太郎がちゃんと大人になっていたら、これ聴いてきっと大喜びである。これはアメリカの正しい親御どもが顔色を変える、子供にとってはすこぶる健康的なアミューズメントロックである。 ラスト曲“He's Back”は「13日の金曜日」(サブタイトルは忘れたが当時バージョン)の主題曲になっていた。笑うくらいはまっている。 |
EMERSON, LAKE &
POWELL |
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名曲 |
コージー・パウエルが加入してもELPはやっぱりELPのまま、まったく何という語呂の良さ。 当時、70年代ロックマニアの多くは鍵盤ロックが今さら何ができるんだと冷めた目で観ていたようだが、昔のお客さんに向けた音ではなく、飛び出したのはまさしく今風のハードロックサウンドに昇華した新スタイルだった。 いまだプロレス中継(新日本プロレス)のオープニングテーマに使われているように、オープニング曲は万人が認めざるを得ない名曲中の名曲であり、実際70年代のクラシック風優雅な栄光スタイルをなぞっていなくとも、そのインパクトたるや相当なものがあった。 中途半端なことやるくらいなら昔のサウンドのコピーをやってくれたほうがいいが、こんなかっこいいサウンドなら昔を捨てても全然構わないと思った。まさに「再編なる!」と断言できる名演だったと思う。ギターレスロックの魔力は健在だった。 |
METTALICA |
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名曲 |
徹頭徹尾ヘヴィ・メタルスタイルで構築された作品としては最後となったこの作品(この先ひょっとしたらまだあるかも知れないが)、リアルタイムで聴いたときはヘヴィ・メタルはついにここまで来たか、と思わせた。 ヘヴィ・メタルとしてはかなりの進化形だったが、確実にしっかりと純粋、純潔の雰囲気がある。「以降」が存在しない分、極道と呼ぶより殉教のサウンドだったのかもしれない。メタルリスナーよ、これ以上に何を望む??という空気があった。 |
MEGADETH |
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名曲 |
軟体タコタコメタル、前作ファーストアルバムからのあまりの変貌ぶりだったが、メジャーヘヴィ・メタルとして最高のこのグレード、ケチつける人間はよっぽど変わった趣味の人だろう。 究極のマイナーメタル作品であった前作のことはバンドもリスナーもみんな忘れて、これがファーストアルバム、と正式にそういうことにしてしまってよろしいんじゃないかと。 90年代メタルでは珍しくも何ともなくなった激リズムチェンジスタイルであるが、その走りの音かもしれない。当時はおそろしくシャープなものに聴こえた。 |
JUDAS PRIEST |
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名曲 |
何でこれが問題作になるの、と当時も今も思う。 黙って最後まで話を聞けない奴は、アホである。つまり、黙って最後まで音を聴けない奴もアホだ。 ジューダスはやっぱりジューダスだった。 ギターシンセ満開の“Turbo Lover”には驚きはした。しかしこれはポップスとは全然違う。単純なかっこよさは言うに及ばず、力強さ強引さがどう聴いてもやっぱりヘヴィ・メタルである。 ベスト盤で聴けば歴代の鋼鉄ナンバーの中にあって、“Turbo Lover”がまったく浮いていない。80年代当初“BRITISH STEEL”あたりで打ち出したこの人たちなりの大衆スタイルが弾けた形でこの作品にもうかがえた。仕掛けが大がかりである分、こんなアルバム、どう逆立ちして聴いても名作中の名作ではないか。 つまり、評論家のアホー、というアルバムである。 |
QUEENSRYCHE |
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名曲 |
次作“OPERATION
MINDCRIME”ほど大作じみてはいない分、こっちの方がより生々しいメタルサウンドであり、早々と登場した最高傑作である。 IQの凄く高そうな音でありながら、例えばオープニングナンバー“Walking in the Shadows”など最強レスラーの入場曲にすればどれほどかっこいいのだと思わせる至極単純にシンボリックな名曲であり、初めて聴いたときはこれぞ21世紀のヘヴィ・メタルだと思った“Gonna Get Close to You”などは旋律が耳から離れないという意味で実際凄くポップである。 いつでもどこでもと言うには少し苦しいバンドの、唯一いつでもどこでも聴ける作品である。 |
ベスト10!
IRON MAIDEN |
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名曲 |
しみじみと駄作のないバンドだと思わせた傑作。 近未来風のコンセプトアルバムということだったが(ジャケット見たら誰でもわかる)、確かにちょこちょこマイナーチェンジしているものの、結局以前と同様、誰にも真似できない王道サウンドが堪能できる。 オープニングで鳥肌立たせるというお約束は破られておらず、加えてIRON MAIDEN最高の名曲集だと思う。6,7分の長い曲がいちばん魅力的だという個性が最強の武器。 直ちにこのへんの音に軌道修正してもらいたい。近年のメイデンはほんとつまらんのだ。 |
ZENO |
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名曲 |
STRYPERがクリスチャンメタルなら、これはまさしくブッダメタルである。 ウルリッヒ・ロートの弟、ジーノ・ロート率いるバンドの本邦初登場作品だった。 実際のアジア人がどうしてこういうテイストのサウンド作れないのだ、というぼやきはおいといて、欧米人が聴けば新しい宗教音楽に聞こえるに違いないこの旋律は、わしらアジア人が聴けば極楽のヒーリングミュージックである。理屈抜きで心の奥底にまでしみ込む東洋的音階のなんと心地良いこと。 |
MOTORHEAD |
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名曲 |
作品的に「どうでもよかった時代」扱いをされているかもしれないこのへんの作品であるが、しっかりとこうして名作がある。 完全にレミーのソロプロジェクト化したにせよ、このトンガリ具合に惚れんとはそれでもMOTORHEAD信者か!と怒鳴りたくなりますわい。曲的には他の名盤に比べれば弱いかもしれないが、しかしこの空気をして最高傑作。こんなガチンコサウンドは他では聴けない。 |
TONY MACALPINE |
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名曲 |
ギターインスト作品の最高傑作。名作と呼べる格を持っている。 ヘヴィ・メタルのジャンルでは、インストがメインの作品では今においてもこの作品を越えるものはない。すべてのプロフェッショナルバンドのギタリストが脅威を感じたに違いない、冴えに冴えたメロディアスギターアルバムである。ベースはいちばん猛っていたころのビリー・シーン。 ギターに興味ない人に限って、絶対聴いてほしい作品でもある。実は黒人のギタリストというのが意外も意外。耳も首も抜けて飛んでいった。 しかし当然のことであるが、ロック以外の音楽では黒人の凄腕プレイヤーはなんぼでもいるのだ。 |
KANSAS |
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名曲 |
スティーヴ・ウォルシュが戻った。当然70年代の黄金サウンドに戻るのかと思えば、何とも予想外、ハードロック好きにとってはまったく嬉しいサウンドだった。ギターは現ディープ・パープルのスティーヴ・モーズ。バリバリのメタル路線ではないが、転びそうなくらいに前向きな、まさに1986年カンサスここにあり!のコンテンポラリーサウンドだった。 メタル勢が並んでひれ伏すような物凄いギタープレイが堪能できるし、オーケストラ楽団をバックにならではのサウンドを聴かせてくれるかと思えば、“Dust in the Wind“級の哀愁味を聴かせてくれたりもする。 70年代の名作群だけでもこのバンドは伝説なのに、よくぞまあ、ここまで頑張ってくれてましたよ。 |
KROKUS |
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名曲 |
全然音こそ違ったが、しかし質的には“HEADHUNTER”と比べ甲乙つけがたい、このバンドの最高傑作である。 内容は少々重量感を感じさせるハードポップである。 名作“HEADHUNTER”がジューダス・プリースト本人たちも目の色を変えたというそれ風超激鋼鉄作品であり、続いた作品“THE BLITZ”がとても同じバンドとは思えなかったポップハード作品であったように、このバンドは2つの顔を持っていた。 ポップハードロックバンドとしてのクロークスなら、この“CHANGE OF ADDRESS”がベストアルバムということである。 80年の“METAL-RENDEZVOUS”も捨てがたい。まあ実際5つ★級の作品をいくつも持った優秀なバンドだったのだ。 地元スイス国内では英雄クラスの存在感を誇っていた。GOTTHARDの師匠である。 |
STATUS QUO |
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名曲 |
83年“BACK TO
BACK”以降、活動停止状態にあったこのオジサンたちだったが、この年見事に復活。本国イギリスでは70年代の名作をしっかり含めた中でこれを最高傑作と観る向きもある、そんな大傑作である。 ロックとして無敵の力量を誇りながらも、リスナーがロック論で評する余地の全然ないような楽しい作品であり、聴けばおわかりの通りこんなん作れるのは世界広しといえどもこの人たちしかいない。 もちろんヘヴィ・メタルの「へ」の字もないサウンドであるが、かつてはハードロックで世界を制したオジサンたちが、まっとうに熟したのがこのスタイルである。これに勝てるメタルサウンドは存在しない。 |
第3位! |
MAGNUM |
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名曲 |
クイーンのロジャー・テイラーがプロデュースを担当しているが、“Radio
Ga Ga”をつくったこの御人の趣味は確かに出ている。クイーンの弟バンドと言ってよいサウンドである。 このバンド歴代屈指のポップチューンで幕を開けるが、全編に漂うウェットな感覚がさすが大英帝国産。唸らせるハードロックもあれば、バラードタイプなんてこのバンド10年前からのオハコ、そしてタイトル曲はこのバンドの歴史を5分あまりの中に凝縮した、ファンならずとも感涙のベストチューンである。前作"ON A STORYTELLER'S NIGHT"も相当名作だったが、続くこのアルバムも名作。 |
第2位! |
SLAYER |
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名曲 |
この名作に解説などナンセンスであるが、この作品以降今に至るまで、ミュージシャンズ・ミュージシャンという存在感でいるのが非常に興味深い。 メタルファンが聴けばこのサウンドの要は当然暴れまくりのギターサウンドとリズムにあったわけだが、実際多くのメジャークリエイターに影響を与えたのは、ヘヴィ・メタルとしてのスタイルを取り去ってそこに残ったアジテーション的語りのスタイル。ボーカルが革命的なスタイルをとっていたということである。 90年代このスタイルを取り入れた黒人過激ラッパーたちもまた、明確なひとつの流れを作った。アイスTに、サイプレス・ヒルである。まったく何というところに火が飛んだんだろう。こんな音は間違いなく歴史初だった。 |
第1位! |
VOW WOW |
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名曲 |
ロック界に燦然と輝く名作。 初めて聴いたときのインパクトは一生忘れない。 どんな趣味を持つリスナーでも100%呑まれる。日本人がここまでの音を作ったという感激も大きく、そして素晴らしいハードロック、ヘヴィ・メタルを聴かせてもらったという至極単純かつ10年に1度の大きい感動も忘れられない。 ヘヴィ・メタル風のありがちなアティチュードに見向きもしなかったバンドゆえ、そこが今において知名度が低い理由と思われるが、日本産でこの衝撃を超えるアルバムはいまだかつて一枚も存在しないと断言できる。 バラードすら津波的迫力で、オープニングのインパクトが最後まで決して途切れない。これだけ大きなものに対して言葉など無粋である。 あれこれ書いてる私はアホだ。 |