1986年
マイナーメタル編
アメリカ・イギリス以外のバンドが
名作をぼんぼん出してきました。
イギリス勢のあまりの不振が悲しかった、というより、
NWOBHMなどもう20年前、30年前のような空気でした。
個人的評価100点満点作品 全20枚
PERSIAN RISK |
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名曲 |
リアルタイムのNWOBHM以上に色濃く個性を持っていたNWOBHM信仰バンド。 リバイバルをうたうにはもう少し、いやもっと派手さがほしいが、それでもファンはこの音に大満足。リバイバル運動にまで持っていこうとはこのバンド自身考えてなかっただろう。まさに王道の遺物らしく、その時代の空気に今一度十二分に浸らせてくれた。 なんと今、再結成しているらしい。 |
SACRED BLADE |
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名曲 |
出た作品はこれ1作きりで、経歴も何も謎に包まれたバンドだったが、それゆえサウンドそのものが輪をかけて個性的に聞こえる。ラッシュがもっとヘヴィ・メタルに没頭したようなサウンド。プログレッシブメタル、と呼ぶよりメタルがプログレッシブ要素をトラック1台分借りてきたような。 歌詞もロールプレイングゲームの舞台さながらで、アメリカの大学生などが(当時)すごく好みそうな音だった。ヘヴィ・メタルならではの重量感、トゲの立ち具合などにもしっかり気を配っている作品。 |
CITIES |
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名曲 |
初期ロッズやレイヴンにも似たバイオレンス性を感じたが、音の分厚さが半端ではない。 長い下積みのわりにアルバム1枚で消えた悲劇のバンドであるが、メタルシーンのある場所ではその後何年にも渡って存在感が持続した、特大の出で立ちを誇ったバンドだった。 ザクザクのリフを刻まないギターかつ暴力性あふれるリズム感覚が前面に出たこの音こそ、スラッシュメタルと差別化されたまさにパワーメタルの正統サウンドだろう。80年代マイナーメタルマニアにはマスト作品である。 |
VOI VOD |
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名曲 |
原始人が石叩いて怒り狂っているようなヘヴィ・メタル。この音感だけでも一聴の価値あり。セカンドアルバムにして唯我独尊、独特無比の世界を築き上げている。スラッシュメタルというより、今現在のエキストリームメタルの原点のようである。 のちもっと完成度がついてきて、もっと聞きやすい音に昇華(?)するが、ならではの個性、濃さが光っていたのは間違いなくこの時代の作品。 不気味な怪人の姿、骸骨文字のような字体はメンバーによるアートである。 |
PAUL DI'ANNO'S
BATTLEZONE |
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名曲 |
これだ、これなのだ、と多くのファンが喜んだアルバム。マイナーレーベルからのリリースだった、なんて関係なし。 DI'ANNOという馬鹿ポップバンドの不セールスゆえマイナーに突き落とされたのが痛かったが、いやいや、それでいてこそこのクソど迫力も活きたということである。 このスタイルを,アイアン・メイデン脱退直後にやってほしかった。 当初ハードコアパンクの影響を感じさせる、のように言われたこの御人の個性が、何の障害物もなく活かされ切っている。当時マニアの溜飲はこれ1作で下がった。 しかしまた、後が続かなかった... |
ANGUS |
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名曲 |
オランダの名もなき英雄。VENGEANCEそっくしのバンド。真似というわけじゃなく、この色がオランダ産の個性だと思う。 今は無き(...昔はあった)メタル屋さんで鳴らしておれば、来た客来た客みんな「何これ?」と聞きそうな、アルバム前半そんなメタル万歳アンセムが並んでいる。同じような曲が並ぶが、メタルが大好きなリスナーは文句など言うはずがない。 |
LIVING DEATH |
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名曲 |
初めて聴いたときのインパクトはそれはもう凄かった。ここまで来たらジャーマンどうのこうの言っても虚しい。ボーカルのクソど迫力は2000年ブラックメタルバンドもごめんなさいと謝る。 メジャーロックのゴージャスさとは無縁の、正真正銘のヘヴィ・メタル男気サウンドである。この硬〜い音感がたまらん。こんな音出してたのこのバンドだけである。 続くフルアルバム"PROTECTED FROM REALITY"も同じ音、名作中の名作だった。 |
HAWK |
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名曲 |
この新人は正統派極まって当時のメタルを踏み外していた。だから売れなかったが、2曲目あたりをじっくり聴いてみましょう。 まるっきりのバラードナンバーから徐々にリズムがついてスピードハードロックチューンに昇華するという、何という職人風ワザであろうか。 例えば90年代初期代表バンド、FIREHOUSEくらいの重量感があれば絶対に売れたと思う。 |
CHASTAIN |
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名曲 |
様式美スタイルにありがちな高貴さが消えて、マイナーメタルならではの激要素が倍加、本当の様式美メタルとはこれだと言わんばかりのオープニングである。 ボーカルのレザー・レオーネ姐御のスタイルも2作目にして完全に確立した。もうここでは凄いだけではなく、痺れてしまう。 ギタリスト中心であって当然のバンドカラーであって、そうは聞こえない。野生味満開で突進するスタイルはまさに咆哮するヘヴィ・メタルである。 |
AGNOSTIC FRONT |
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名曲 |
音楽性が抱える精神論はいかなるものであれ、ヘヴィ・メタルの新星と捉えてもいいと思った。ジャンル的にはハードコアパンクだったと思う。 メタル、ハードコアパンク、2つのジャンル双方にあれこれ足を引っ張るようなことを言うリスナーも多くいたようだが、素直に聴いておれば双方の魅力が堪能できる。 怒りやら激情やら、そういうものしか見えなかった前作よりも、音楽的に破格にスケールアップしていた。 |
SWORD |
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名曲 |
このバンドは好きやったなぁ。 どっから聴いてもカナダ産には聴こえないホコリくさい音。ホコリくささと重量感のミックスが独特のオリジナリティーを出している。 70年代ハードロック畑のオヤジたちが魂入れ替えてヘヴィ・メタル開始、のような音。 いくら機械で音が触れるといったって、ここまでの重量感はプロレスラー並の体力がないと出せないんじゃないかという、そういうイメージを抱かせるだけでも立派。 次作はモーターヘッド化してますが、それも素晴らしかった。芯の部分でかなりの修行を積んでいる連中と思えました。何をしてもサマになったバンドだった。セカンドアルバムでおしまい、活動期間は非常に短いバンドだった。 |
WARFARE |
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名曲 |
VENOMヴェノムのファースト、セカンドの弱点だったかもしれない楽曲的物足りなさを解消してくれるような作品。つまり曲が素晴らしかった。ニートレーベルのスーパースターである。 ファーストはTANKのアルジー・ワード、そしてセカンドはMOTORHEADのレミー御大、そしてこのアルバム、出たか出たかの極悪人非人、VENOMのクロノス。このバンド、WARFAREのアルバムを手掛けてきたプロデューサーである。 ファンにはいかに垂涎のサウンドであるか。 よく聴けばNWOBHMを想わせる部分もいっぱいあるなあ。 |
ONSLAUGHT |
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名曲 |
どういうわけかその数が非常に少なかった、イギリス産のスラッシュ/パワーメタル。その第一人者である。 次作でスティーヴ・グリメット(元GRIM REAPER、後LIONSHEART)が加入し、その名は一気にメジャーに浮上したが、この作品“THE FORCE”が語るように、元々メジャーとは気持ちいいくらい接点のないバンドであり、とことん激しいどスラッシュメタルをやっていて、コワモテヤクザ風雰囲気が素敵であり、師匠はもちろんMOTORHEADと声高に叫んでそうな(実際は知らん)、そんなサウンドである。 “Fight with the Beast”がすべてを語っている。 |
SPITFIRE |
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名曲 |
マイナーな国にも天才っているもんだ、というアルバム。まず、100%カナディアンかアメリカンに聴こえてしまうその成り切りようだけでも凄い。音はエッヂ感の立ったハードポップ。本職の人たちによるこういう路線はエッヂ感の立ってない音が8割なので、メタルファンとしては非常に嬉しい。 しかし...本当にギリシア出身? クッサレあほメタルであるわけがなく、バラードまでメジャー級に完成度が高い。その、バラードから徐々にスピードがついて疾走メタルチューンに変身する4曲目など、本当に一体何なんだろう。 |
DEATHROW |
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名曲 |
ジャーマンどスラッシュ軍団。 出たころ(いや、活動中でも)まったくといっていいほど注目されなかったバンドであるが、90年代中ごろくらいから、いわゆる「クサレメタル」ファンの間でたまに話題に上るような、そういうバンドになっていた。 この八方破れな、馬鹿馬鹿しいまでの勢い。こういう味は、まず雑誌で何か書いてる人などは絶対理解しない。理解しようとしてもできない。理解できても耳に何の特にもならないが(笑)。 メタルバンドは必ず走るものであるが、その走りの部分だけで勝負するとはまったく大したバンドである。やかましさで言えば80年代マイナーメタルトップクラスに入る。 |
ABATTOIR |
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名曲 |
クールなスラッシュメタル作品。この時期のスラッシュメタルらしく、正しくアホらしい音ではあるが、つまり本物のスラッシュメタルヒーローということである。 ストライパーのティム・ゲインズの弟が在籍していたバンド。さぞかしSTRYPERの面々も迷惑に思っていたに違いない(本当のところは知らない)。「屠殺場」というクールなバンド名が映えまくる音。 インパクトはデビュー時のスレイヤー以上のものがあった。しかしヨーロッパ産のようなメロディーラインを突如として登場させる荒技も素晴らしかった。 |
DESTRUCTION |
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名曲 |
良く言えばマイナーメタルの真骨頂、悪く言えばメジャーを毛嫌いするチンピラ風、そんなファーストアルバムだったが、このセカンドはメジャーマイナーの区別が全く無用な超個性に大昇格。重量感がまるでないヘヴィ・メタルという超個性を完成させた。重量感なくとも、押してくる圧力と破壊力が凄い。錆びが妙に美しい、カミソリサウンドの狂気乱舞。本当に凄い個性だった。 |
第3位! |
TURBO |
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名曲 |
ジャケットが強烈だが、これは絶対名作である。 ポーランドのバンドだが、完全にジャーマンメタル化、もしくはスパニッシュメタル化。野性味も無頼さ加減も極まっており、まさに野郎のためのヘヴィ・メタルサウンドである。アクセプト風の野獣コーラスも嬉しい。このド激しい音の中でギターが一人音楽的に覚醒している。完成度としては無茶苦茶かもしれないが、これを評するのに比較対照は無駄である。 メタルバンドとしての百戦錬磨ぶりだけが強力に目立ち、垢抜けた印象はそれが悪であるかのごとく、ゼロである。 嫌が応にもマイナーに目を向けさせるこの強引さ。80年代も真ん中あたりから、強引な客引きは良識に反するとばかりに、メジャーには妙にお行儀の良いバンドのサウンドばかり並んでたような気がするが、音楽については強引なのがいちばん面白い。この強引さをして名作と評したいアルバムである。 |
第2位! |
WHIPLASH |
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名曲 |
出た当時はケチョンケチョンのカス扱いされていたが、何をか言わんや御老人、当時から、CDに張ってある輸入盤屋ニーチャンお手製の推薦ステッカーの言葉の通り、ファンの間ではスラッシュメタルのバイブルとされている作品だった。 このバンドの登録商標、リフの単音かき鳴らし(聞けばわかる)がやっぱり素晴らしい。 心が晴れる名曲なんぞどこにもない。しかしこの勢いが心を晴らしてくれる。曲以上の存在感を誇るこの勢いがエポックメイキングなポイントである。 部屋の窓ガラスを叩き割りそうな音質が特異的。個性的を超えている。ジャケットの、つぶされそうになっているおっさんの顔も素晴らしい。 聴き心地というものを無視して、まさに土足であなたの部屋にドカドカと上がり込んでくる慇懃無礼(いんぎんぶれい)加減が最高。マイナーメタルファンはこれを決して不快とは思わない。 |
第1位! |
ARTILLERY |
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名曲 |
音質は暗い70年代ハードロックみたいなすごく古くさい感触でありながら、じっと何秒か聞けばおわかりのように、この音がつんのめりながら走り倒す。 パワー/スラッシュメタルというジャンルの産んだ異形のバンドサウンド。こんなに走りまくるサタニックオカルトバンド、世界広しといえどもこのバンドただひとつだけだった。 今現在も活躍中。妖怪らしさは薄れ、正統派の素晴らしいスラッシュサウンドになっている。しかし私はこの時代の、妖怪丸出しの音が好きやったなぁ... |