1987年
マイナーメタル編
この年名作はメジャーバンドが独占、
マイナーメタルは寂しかった。
個人的評価100点満点作品 全10枚
DEATH |
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名曲 |
今風のデスメタルと比較すると、ずいぶんとまともにヘヴィ・メタルらしいというか、ボーカルを除ければストリートハードコアメタルの出で立ち(SUICIDAL
TENDENCIESの“CONTROLLED BY HATRED”あたりに似てたりして)であるが、それでも当時はとことんバチ当たりな連中が出てきたと、マイナーメタルリスナーみんなが驚いたものである。 「死」のサウンドといっても、ここらあたりならホラー映画を楽しむ健康的なフッツーのノリで聞けてしまったりする。2010年も過ぎた今では。 結局、ヘヴィ・メタル的に楽しめる音である。エキストリームスタイルその元祖の姿はほとんどうかがえないと思う。 |
D.R.I. |
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名曲 |
以前はれっきとしたハードコアパンクバンドだったが、まさに新装開店、タイトルそのままに、まさにヘヴィ・メタルとハードコアパンクのクロスオーバーサウンドを作り上げた。 当時は大いにビビッたものですが、今聴き返せば何と正直で裏のない音、と思わず微笑んでしまうではないか。すごく陽性のサウンドである。こんなに重くて激しくても。 |
DEATHROW |
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名曲 |
初期のHELLOWEENのサウンド、完成度を最悪にさせてもっとスピードアップしたかのようなサウンドである。 たまにテンポチェンジしたり、そういう芸がかえってうざったく聞こえたりするが、しかしマイナーメタルファンには大きく魅力的であることに変わりはない。 風格の話になると、悲しいかな、メジャーには及びもつかないが、しかしプロレスラー以上の力持ちである素人だっているのであって、見たまま聞いたままの力を評価するなら、このサウンドはやっぱり凄かった。呆れるほどのやかましさである。 |
CHASTAIN |
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名曲 |
マイナー界の大御所となったチャステイン、最高傑作の呼び声高いサードアルバム。実際メジャーレーベルに注目されなかったのか、あるいはメジャーへ行かなかったのはバンドの意志なのか、そこらへんはわからないが、ここまでくればメジャーの一線級に完全に肩を並べている。 デイヴィッド・T・チャステイン関連では一体何枚のアルバムが出てるのかわからないくらい、たくさん出ているが、曲的にもこの作品がベストである。 “Paradise”はかなりハードコアであるが、マイナーメタルの誇るべき名曲中の名曲。もちろんレザー・レオーネのボーカルもこれ以上ないくらいの炸裂ぶり。 |
INTRUDER |
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名曲 |
これほどの作品を出しておきながら、全然知名度のないバンドであるが、ジャケットがあかんかったのか。 内容は超極上で、スピードメタルファンにはまず感激感動間違いなしの名作である。 外目の印象とはまったく裏腹に、ガシャガシャした感触のないすごくクリアーなサウンド。40何分間、中だるみがまったくなく、各曲引き・押し、ストップ&ゴーの使い分けが見事で、アイアン・メイデンさながらにリズムチェンジの不自然さなど感じさせない。こんな作品があること自体、マイナーメタル界の七不思議である。 |
HEATHEN |
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名曲 |
80年代マイナーメタル名作のひとつ。重量感と疾走感はメタリカの“RIDE THE LIGHTNING”も顔負け。それだけで凄い。80年代最重量級メタル。昔ウォークマンでこのアルバムを聴いてるときにヘッドホンが本当に壊れてしまったことがある。安物のスピーカーはこの重低音に耐えられない。曲自体あまり大したことないが、まあ、この重量感だけで絶対買いである。 |
HOLY TERROR |
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名曲 |
このバンドのこのデビュー作がまったくと言っていいほど話題にならなかったのが、私には80年代メタルシーンの謎である。 全スラッシュメタル、全パワーメタルを完全に統合したようなサウンドである。アイアン・メイデンみたいなリズム展開もあれば、マノウォーのような男気を見せてくれたりもする。それに、ハードコアパンクなんぞガキのヒマつぶしに聞こえるほどの暴力度。それでいてリズムの切れがシャープ極まるところ、さすがさすがの新生ヘヴィ・メタルと感激すること保証つき。 誰々を彷彿させる、そういう箇所がいくつも出てくるが、これまでの凄腕バンドの必殺技を、マネではなくすべて昇華させているのが名作たる所以である。 ボーカルは好きで聴いているリスナーの気持ちを煽りまくってくれるタイプ。80年代メタル、美味しいところ詰まりまくりの決定盤である。 |
第3位! |
CANDLEMASS |
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名曲 |
この年1、2を争う名作だった。 劇的に厳粛な、病的に重厚なゴシック・スタイルである。今現在の知名度はどうであれ、「ゴシック・メタル」の名の産みの親であることは100%正しい。そもそもこれが、ゴシックメタルの正統であり教科書だったのだ。 ボーカルが凄いなんてもんじゃなく、厳粛な音楽性と併せて芸術的ですらある。メサイア・マルコリン(名前も凄い!)なるこのヴォーカリストであるが、比べるものなどあるはずなく、こんな歌歌える人はまさしくオペラシンガーだけだろう。 本当の天才が作ったものは高級階層専用カラーのものであろうと、その反対のグロであろうと、門戸はすごく広いものである。このアルバム、結構メジャー性が高いと思う。 |
第2位! |
LIVING DEATH |
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名曲 |
凄み一辺倒の激烈ヘヴィ・メタルである。死霊ブラックメタルの衣をまとったスラッシュメタル。もちろん今のエキストリームメタルファンにも大推薦。 人間離れといえば言葉が安いが、魂まで人間のものではないかのような魔界大決戦的世界観は今のブラックメタルファンあたりも大いに感激すると思う。ジャーマンメタル特有の男くささすら、この魔人サウンドの前では萎縮する。 このバンドは通算5枚ほどの作品を出しているが、ここまでの激烈路線は、この作品とこれ直前の4曲入りミニアルバムのみ(“BACK TO THE WEAPON”)。 今において存在感は知る人ぞ知る、となっているようだが、スラッシュメタルの歴史的奇跡的な名作である。 |
第1位! |
CELTIC FROST |
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名曲 |
欧州の極悪大魔王、セルティック・フロストの最高傑作。スピード感や単純にかっこ良さを求めてメタルを聴くという、普通の人の趣向に合う作品では絶対にない。この文や雑誌のホメ言葉に決して惑わされないように。 スピード感などまるで感じられない(走る曲が全然ない...)作品で、ジャケットの異世界そのまま、本当に異世界異次元のサウンドである。聴いている人間は呪文をかけられたかのような錯覚に陥る。バンドは基本的に3人編成であるが、実際のオーケストラが派手に加わり、これがクラシック音楽からの借り物を優雅に奏でるかと言えばとんでもない。悪魔音楽を映画音楽の域にまで高める役目を担っている。 |