1988年
ハードロック、メタル編
前年の物足りなさがどこへやら、
名作尽くめの年でした。
全然話題になりませんでしたが、凄いバンドが復活したのですよ。
個人的にはめちゃくちゃ幸せな年でした。
★★★★★星(個人的評価100点満点作品) 全30枚
CRIMSON GLORY |
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名曲 |
芸術家の自尊心というより、他のバンドにケンカを吹っかけるような尊大ぶりが生まれたこのセカンドアルバムこそ、メタルファンなら先に聴くべきである。2曲目の"Red
Sharks"、こんな曲他にあるか? これは究極である。 しかし1曲目2曲目とんでもない名曲、しかし以降は寝てしまうくらい退屈、という前作とまったく同じ展開。これはあかん。これだけの力量があれば、クイーンズライチあたりを足蹴にする超大物バンドになれたのに。 ちなみにジャケットはSF映画「スペース・バンパイア」のパクリ(誰も知らんと思うが)。 2000年、この路線で復活したが、確かに路線は同じでも、名曲はなかった。名曲のないCRIMSON GLORYなんて。と思った。 |
POISON |
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名曲 |
今生きている時代がいちばん大事という考えだろう、アメリカではこれが(当時)今のヘヴィ・メタルとして歴史を変えた1枚とされている。いや、メタル関連の小難しい解釈などない。80年代代表ロック、どかーんと一発、それだけだったと思う。 日本じゃあまり受けは良くなかった。少なくとも野郎でこれに熱中してるのは周りに一人もいなかった。 セカンドアルバム、オープニングナンバーではネコかぶって意外におとなしいが、2曲目から持ち味全開、前へ前へ突進するばかりでなく70年代のキッスの作品のように硬柔をしっかり考えた構成で、そのアホな見かけとは裏腹にじっくり聴かせる。 ようやるなあという曲も実際あるが(バラードとか)、成り切りの重要さを教えてくれる作品でもある。実際のところ、軽いものだとは思わない。 |
TESTAMENT |
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名曲 |
ファーストアルバムほどの大判振舞いではないが、そのぶんじっくり手間暇かけて作ったという雰囲気の作品である。スピード感第一と観る人には前作のほうが聴き甲斐あっただろうが、この2作目、前作ではほとんど聴けなかったミドルテンポナンバーで、重さ以上の不気味さコワさを描き出していて、これが非常に聴き応えあった。ファーストと変わらず、名曲の多いアルバムである。 |
220 VOLT |
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名曲 |
初めての★5つ作品名作登場、おめでとうのアルバムだった。 まったく別のバンドと言うのは簡単であるが、感覚というものも生まれ変わろうと思えば生まれ変わるものなのだ。とことんダサかったバンドが、メジャー一線級の音に大変身している。 前作“MIND OVER MUSCLE”もマイナー北欧メタル的には良い作品だったが、ここまでスタンダード性の高いポピュラーハードを聴かせてくれるとは。タイトル曲は名曲中の名曲である。 |
AC/DC |
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名曲 |
久々の作品になったが、ブランクがかえって伝説の大きさを増幅させる結果となったような。 70年代〜80年代初頭の名作群と比べると、悲しいことに、確かにアルバム質は落ちるだろう。ただ、このバンドの場合、ロック意識をファンに見せてくれるだけでOK、それだけで星5つという解釈が通用する。 オープニングナンバー、“Heatseeker”のノリはまさにこのバンドならでは。もうツボだけで成り立っているような超プロフェッショナルのロックンロールナンバーである。そして“That's the Way I Wanna Rock'n'Roll”、そんなセリフがAC/DC様の口から飛び出せば...昔からのファンはいつでもどこでもエラヤッチャヨイヨイ状態になった。 |
BLACK'N BLUE |
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名曲 |
これまでの札束バラまくかのごとくド派手なアクション路線から心機一転、聴く前の印象ではそんなの絶対似合うかい、とリスナーに言わしめた、アダルトハードロックへのウルトラ大胆な路線変更をやってのけた。 そしてそのアダルトハードロックという言葉そのものの印象が変わる作品がこれ。 初めて聞いたときはありゃ、と思ったが、曲、雰囲気、これは認めなしゃあない。あっぱれ。こういうこともできるバンドだったのだ。 どことなく、この音のどっしり加減がEZOに似てる部分があるかなと思えば、プロデューサーが同じくジーン・シモンズである。 そして、全然売れなかった。 |
KIX |
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名曲 |
デカくなったなあ、という感じの作品。チンピラが若頭くらいになっとるんじゃないでしょうか。まったく解説のいらないアピール度で、文句なしの代表作である。 生ケツ出しながらイチビリまくってる歌(あくまでイメージ)は相変わらずであるが、バラードなんか聴けばその生ケツもまさに誇りの生ケツだと納得する。 どの曲も同じみたいで実際聴けば曲それぞれの個性が光っている。いっときAC/DCの後継者と一時呼ばれたゆえんでである。 |
VINNIE VINCENT
INVASION |
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名曲 |
セカンドアルバム。 ファーストアルバムはスペーシーロックその雰囲気の御披露目に終始した感じだったが、2作目になると雰囲気以上に曲で魅せてくれる、ビッグなアルバムにグレードアップした。 ボーカルがこのバンドのカラーほとんどそのままにSLAUGHTERというバンドで90年代、まあまあの活躍をするが、ヴィニー・ヴィンセント、そしてマーク・スローター関連ではこのアルバムが一番名作だった。 |
METALLICA |
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名曲 |
この作品を初めて聴いた際、まさに最高傑作!凄い!と感じた人の観方というものを私は尊敬する。 ワシら凡人にとっては"One"がなければいまだに駄作かもしれない。 このアルバムを名作だと語りたい時もある。しかし大体の時間、このアルバムのことは忘れてしまっている。 |
KILLER DWALFS |
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名曲 |
「小人の殺し屋さんたち」、メンバーの名前もみんな何とかドワーフというオバカな人たちであるが、確かにドワーフなんて言葉のイメージがちゃんと活きている、おとぎの国のヘヴィ・メタルである。 なんじゃそれは? となるが、音だけを聴く限りでは世相の厳しさを暴力的サウンドで発散させることなどせず、純真さ加減をワルガキ風ワイルドさで隠しながら、たまにウブさがプリッと見えてしまうところ、かなりラブリーなメロディアスハードロックであると言える。いいバンドだった。 |
BONFIRE |
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名曲 |
ジャーマンメタルであるが、それは出身がそこというだけ、音の方は完璧なまでのアメリカンハードロックだった。久々に正統派のアクション映画を観たような気にさせてくれた。運動不足もこれで解消、みたいなサウンドで、かなり健康的なサウンドである。 アメプロファンにはマッチョマン・ランディー・サヴェージ、ハリウッド・ホーガンみたいなハードロックと言ってピンとくるだろうか。 |
HELLOWEEN |
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名曲 |
大体アゴケツ人の歌がドヘタで、特に前作などこいつさえ歌ってなかったら、と当時から私はそう思っていたが、このパート2になれば屁理屈の多い私も両手を挙げて大絶賛、バンド歴代を代表する名作であることは一度聴けば誰もが認めることである。 ガキ向けのメロディーだからすぐ飽きる、とかもっと徹底してパワーメタルやってくれ、とか、まだいろいろなこと言われていたが、ここまでの押しで来るなら誰が聞いてもバカ負けである。開き直りのパワーがひとつのジャンルを創り上げた。 コミック調の印象がある(あった?)バンドながら、根性の太い、誰よりも太いヘヴィ・メタルである。 |
OZZY OSBOURNE |
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名曲 |
オジーはメタルである。 当たり前だ、と言われてしまうが、2013年という、実際私も本当に老人になってしまった今、ずっと現役で、ずっとメタルサウンドを、その時期その時期最もかっこいいとされているスタイルで表現しているミュージシャンと言えば、オジーだけである。だからオジーは世界一のメタルマン、いや、メタルおっさんなのだ。 88年ともなるといろいろなクロスオーバースタイルが登場し、老舗スタイルを誇るメタルバンドの位置が脅かされてきたような時期であるが、正統こそ王道、を天下に知らしめた名作中の名作がこれである。 そもそもただのギターのコード弾きでしかない「リフ」というものが、ヘヴィ・メタルという音楽ではこのジャンルの窓口と言っていいくらい重要な要素である。これはこんな曲ですよー、という曲紹介にとどまらず、小気味良いリズム感プラス打楽器の迫力をミックスし、ヘヴィ・メタル一番のツカミが一番の最初に用意されている、まさにこのジャンルの美点が「リフ」である。 そのへん、各楽器共同作業の元、徐々の盛り上がりを最高の趣きとした70年代ハードロックと、ヘヴィ・メタルが最も異なる部分のひとつである。 80年代リフサウンドの決定盤、完成形がこのアルバムである。ザック・ワイルドも本当に凄かった。 |
CINDERELLA |
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名曲 |
このサウンドをしてもうヘヴィ・メタル、ハードロックとは呼べないと多くのリスナーに言わしめましたが、日本国内のみならず母国アメリカの音楽雑誌でもあくまでハードロックバンドの偉業と紹介されていた分、やっぱりハードロック/ヘヴィ・メタルのひとつの形と考えたい。激感情の音楽なのだから。 そう考えるとハードロック好きという自分の趣味嗜好が誇りに思える。 タイトルが、ジャケットが(ついでにジャケット裏写真も)映える、まことに冬のブルースロックである。 冬といっても何も寒い風景ばかりというわけではない。。熱いおしるこを夏にたしなむバカはいない。冬にこそ聴き甲斐のある暖かさである。また育ちの厳しさ、環境の辛さからにじみ出る暖かい人間性というものも伝えてくれる名盤である。 このわかりやすさが他ジャンルのリスナーに馬鹿にされてきたこともあったが、では厳冬期にこそ意味がある暖かい景色をどんなジャンルの音楽が描いてきたというのか。 |
SAXON |
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名曲 |
リスナーから完全に忘れ去られていた時期に、久々に出た名作がこれである。 走るメタルではなく、聴かせるハードロックである。これはアダルトサウンドに日和(ひよ)ったということではなく、SAXONが進化した音だった。それは聴けばわかる。 路線としてはひょっとしたら、ファーストアルバムに近いかもしれない。しかし名曲の数は段違い。バラード調、ミドルテンポの曲が中心の構成ですが、心のヘヴィ・メタルをみんな忘れたらいかんぜ、とでも言いたげな佳曲が並んでいる。 全盛期は勢いまっしぐらのスタイルと並んで、メタル界随一のヘタウマボーカルがまさしくサクソンサウンドのおいしい味だった。しかしここで、もうヘタなんて口が裂けても言えなくなった極上の歌が聴けるだけでも、これは大傑作と言える。 |
QUIET RIOT |
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名曲 |
なぜこのタイトルがついたのかまったく不明であるが、まあ、この音は間違いなく、絶対の絶対QUIET
RIOTの音ではない。 80年代ロックの表紙を飾ってもおかしくないパーティーロックの代名詞であるこの人たち、乾坤一擲のタイトルがついたこのアルバムは「どれだけアホが咲いてんねん」と未聴の方は絶対そう思うだろうが、これがパーティーロックなどとは無縁も無縁、ソウルフル極まる大人のハードロックアルバムと言って誰が信じてくれるだろう。そういうアルバムである。 踊るガイコツおやじ、ケヴィン・ダブロウはもう脱退していたが、代わりに加入したのが、以前からソウルフルなボーカルに定評があったROUGH CUTTのポール・ショーティノ。 ポップ転身の技量はいかに?という妙な期待は粉々、いきなり木っ端微塵である。 ソロアルバムのごとく、ポール・ショーティノのソウルフルスタイルその独壇場だった。 とにもかくにも曲が素晴らし過ぎて、これは絶対、他のメンバー(特にライオンの仔みたいなギタリスト)も長い間、こういう音をやりたかったのではないか、とまで思ってしまうような、この深みと成り切り様。 真に音楽的解釈で、このアルバムは名作中の名作である。特に大人になるとこのアルバムの素晴らしさはよくわかる。 |
CIRCUS OF POWER |
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名曲 |
知名度から言って名作とは言えないかもしれないが、聴いた人は絶対に忘れることができない強烈な個性と楽曲を誇る作品である。 "CALL OF THE WILD"なんてよくある曲名も、まさにこのバンドのためにあった。アメリカンならではの土ケムリたちこめるサザンハードロックメタルである。 アメリカンバイカーズメタルとでも言うべきこのキャラクターは実際ゴロゴロいそうで、80年代このジャンルではまったくの希少価値だった。 |
MAGNUM |
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名曲 |
これがリリースされたころは、本国イギリスではクイーンあたりと肩を並べる超ビッグな存在になっていた。オープニングの“Days
of No Trust”、昔からこのバンドを知るものにとっては感涙感激猛感動の名曲だった。厳かで、包容力あって、力強い。世界一クラスのバンドでないと感じ得ない大きな大きな感動である。 確かにQUEENと並んでいる。 |
ALIEN |
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名曲 |
こういう作品が世界中の洋楽チャートのトップに輝いてこそ、ロックシーンは健全である。北欧メタルその頂点と断言していい作品である。 テクニック合戦など一切なく、すべての楽器がメロディーという太い幹に集結している。メタルというよりハードポップであるが、こんなに素晴らしい曲集にイチャモンをつけようもんなら、育ちがばれて大恥をかくだろう。 |
IMPELLITTERI |
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名曲 |
暗記力の鈍い私はこのバンド名のつづり、いまだに覚えられない。 このバンドも今に至るまであれこれ出しているが、この正式ファーストを超える作品はないような気がする。 ボーカルがグラハム・ボネットなんて超人だったから、ギタリストのクリス・インペリテリは喰われてしまって当然のところを、「イングヴェイ性」を後ろに下げて完璧なるメジャーハードロックの完成に心血を注いでいらっしゃる。これはグラハム・ボネットのアルバムである、という評価を最初から待ち望んでいたかのような。 確かに流麗で美しいギターソロも聴けるが、突き出た個性よりも、なんせ一体感の素晴らしすぎるアルバム。"Secret Lover"は超名曲である。 |
ベスト10!
YNGWIE J.MALMSTEEN'S
RISING FORCE |
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名曲 |
聴きやすさで言えばこの作品がイングベー最高傑作。メタルファンなら一家に1枚という作品。 歌えるシンガーはやはり大きな武器である。ギター小僧様はプレイ面では他の作品と同様相変わらず無愛想に狂い咲いておられるが、その狂態以上に歌の素晴らしさが光っている。さすがジョー・リン・ターナー、この人が歌ってなかったらアルバムの評価も2段階くらい下がっただろう。 ギターの味を殺しているわけでもなく(別に殺してもよかった)、聴かせる歌+スリリングなギターサウンドといった具合に、バランスがお見事。それに、単純にかっこよさを大きくアピールしたキーボードサウンドも快挙である。このスタイルならアルバム5作分くらいはもったのに。 しかしここまでバックメンバーに助けてもらって、おっさん、このジャケットはないだろ。 |
JUDAS PRIEST |
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名曲 |
個人的には、メロディーの全然ないPAINKILLERよりもずっと好きなアルバム。 このアルバムも評論家ならびにたくさんのリスナーに叩かれたが、この音がヘヴィ・メタルとして一体どこのどのへんがダメなのか、いまだにわからん。 "Johnny B.Goode"のカバーをやるという、とんでもないことに挑戦した作品ではあるが、だからどうしたというのか。アルバム全体がオールディーズR&Rのカバーというわけでもなし、何であんなに怒ってたアホがたくさんいたんだろう。 "Ram It Down"、"Heavy Metal"、Hard As Iron"、"Blood Red Skies"、"Monsters of Rock"、ヘヴィ・メタルアンセム歴史的名曲がしっかりと詰まっている。 |
RIOT |
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名曲 |
最初は口コミ店コミで徐々に高まってきた人気もついには雑誌の表紙を獲得するまでになり、そして80年代後半代表作品にまで昇りつめた。感動のアルバム。リリースされた時は決して大騒ぎになったわけではない、というのが興味深い。 マーク・リアリさん(...追悼)、5年近くの間ずっと、正統かつ売れるメタル体系を研究していたのだろうか。泥くさい70年代王道ロックスタイルとは明らかにかけ離れ、かといって情というものまで捨て去った80年代最先端スタイルとまでは行っておらず、人間的に鋼鉄的、という手触りがまさに新スタンダードに渇望していた全世界のメタルファンの心の臓を的確に突いた。 走るナンバーは言うに及ばず、ミドルテンポでは土台の磐石さを見せつけ、泣き泣きのバラードナンバーは暑苦しくなくクールな新しい印象をかもし出していた。 何度聴いてもいいアルバムです。 |
QUEENSRYCHE |
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名曲 |
コンセプトアルバムの名作というのはいちいちリスナーに下準備など要求しないで、まず聴かせて物語的印象を明確に植えつけてしまうようなものをいう。 何を描こうとも最初に曲ありきで、その面で完璧だからこのアルバムは名作となった。 仮に音楽に文学をまったく要求しない肉体派第一のリスナーが間違って買ったとしても、必ずや新しい目を授けてくれる。 アメリカのグラミー賞とやらがロックファンに信用されていないのは、別にこの作品に限りませんが、こういう音、こういう作品を無視しているからである。 リリースされたこの時期はCDなるものが世に登場してきたころでして、「まさにCD向けの音」なんてレビューがあちこちで踊っており、CDプレイヤーが買えない貧乏リスナーが指をくわえてCDプレイヤーを欲しがっていたのが懐かしい。もちろん私もそうだった。 ちなみに私は2013年いまだに薄型テレビも買えないし、ブルーレイも知らない。それでも、こうして生きている。文化はハードではない。ソフトなのだ。 |
FLOTSOM & JETSOM |
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名曲 |
ジェイソン・ニューステッドをメタリカへ取られて、それだけの話題で終わってしまうのかと思いきや、もんのすごい場外ホームランをかっ飛ばしてくれた。それがこのアルバム。実際メタリカに引けを取らぬ凄い作品だった。 とりわけこのバンドはスラッシュメタルの範疇に入れられながら、急進的な音を出していた。よく伝わらないんですが、というアルバムがファーストなら、このセカンドでメタルリスナーは納得も極まり、戦慄して沈黙した。そして喜んだ。 クイーンズライチがスラッシュメタルやったようなイメージもある。 |
SCORPIONS |
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名曲 |
名作“BLACKOUT”をピークに、アルバムごとに走る曲が少なくなってきていたが、じゃあテンションまで下がってきているかといえば、とんでもない。円熟の、極上酒のような音楽性と呼ばせていただきたい。 一度“BLACKOUT”でメガトン級に弾けなさった方々だから、その後のこの落ち着き、どっしり路線も道義的に決して間違いはないかと。曲で言えば全曲、完璧といえるグレードである。 このバンドを観るときはメロディーの素晴らしさ一点のみに集中して聴いてほしい。そうすれば一見音数の少ないツインギターの意味もわかるし、一見目立たないベースギターの存在感もよく理解できる。 このアルバムを駄作扱いした評論家は「今」しか見えていない本当の阿呆だった。子供に毛が生えたような年齢の読者に見限られてどうするんだ、評論家!と当時は思った。 |
VAN HALEN |
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名曲 |
あっちの雑誌では“VAN
HAGER”サウンドなどと気の利いたセリフがおどっていたサミー・ヘイガー加入後2作目。 昔からのヴァン・ヘイレンファン、日本に限ってはホントにみんな不満ブーブーだった。もう、いつまで言っとるんじゃという感じで、日本のリスナーのそういうところが大嫌いである。(自分のことは棚に上げておいて) ヴァン・ヘイガー大いによろし。私は2つとも滅茶苦茶好きだったから、この音はまさに夢の具体化だった。前のアルバムより遙かに素晴らしい。 オープニング曲のある意味アメリカンロックらしくない異様な緊張感に心が躍る。そしてやっぱり、この人たちの暖かい音になる。ハイライト曲をとことん楽しむことができる自分がラッキーとさえ思った。 サミー・ヘイガーのアメリカングッドファーザー的な持ち味が前作以上に出ている。アメリカの良心、という言葉が一番ぴったり来るハードロックアルバム。 |
第3位! |
MANOWAR |
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名曲 |
永遠のヘヴィ・メタルアンセム、これを待ってたんですぜ!!と当時は数少なかったファンを躍らせたにとどまらず、その「北斗の拳」的世界がヒーロー的音像に飢える世界中のメタルリスナーを虜にしていき、シンボル化したこのサウンドはとうとうひとつのジャンルとなってしまった。 ブレイクして成り上がるバンドはたくさんいても、こういうふうに宗教にまでなってしまうバンドはちょっと思い当たらない。格で言えばジューダス・プリーストあたりと並んだのではないでしょうか。このバンドの最高傑作である。 |
第2位! |
SUICIDAL TENDENCIES |
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名曲 |
いつになってもちゃんと思い出せないこのタイトル、ホントにナメてますが、世界中のメタルマニアがただただ単純にひっくり返って驚いたという意味で、歴史に残る作品であるのは間違いない。 いやいや、ひょっとしたらヘヴィ・メタル史に堂々と名を残す名盤かもしれない。 様式美系やら純粋ブリティッシュメタルサウンドなど、ファンが心のヘヴィ・メタルとして大切にしているようなサウンドに、ケツ向けてデカい屁をブッこくような忌まわしいスタイルである。しかしこのかっこ良さはなんだーー!!?と。生々しいゴリ押しのド迫力に、何年持ってる自分の趣味というものが引っ込んでしまう。 メタルの数々の歴史的の名作がエクセレント、ビューティフォーなら、このアルバムはとにかくセンセーショナルだった。 ここ3、4年特にヘヴィ・メタルとリンクするヒップホップ系、モダンヘヴィ系(というのか?)が多いですが、近年こういうクールなサウンドはない。 今となればこのバンド、この音も大きなカンパニーを作ってしまったんだから、凄い。 |
第1位! |
BLUE OYSTER CULT |
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名曲 |
70年代多くの巨人たちが生み出した名作にも匹敵する、80年代名作中の名作。 ブルー・オイスター・カルトは86年の作品“CLUB NINJA”で長年の活動に一応のピリオドを打ち、活動停止状態に陥ったが、その2年後、最後の作品以前に脱退していたドラマーのアルバート・ブーチャードが80年代初頭から暖め続けていたソロ作品の題材を基に活動開始、そしてオリジナルメンバーが再結集、70年代世界中で多大なインパクトを与えたこの人たちのオリジナルコンセプトである「邪神教」の世界を今再び完成させたのがこの作品である。 この時期にこんな形で本当のブルー・オイスター・カルトが聴けるとは、当時は本当に感激だった。 70年代の全盛期、決してその景気よい身上ではなく、作品世界そのものを心から想う気持ちがこの夢のような一体感を現実のものにしている。不気味で怪物的であるが、真に荘厳である。 ベストチューンは“the Siege and Investiture of Baron von Frankenstein's Castle at Weisseria”という強烈に長いタイトルの5曲目。キング・クリムゾン級にただただ凄い曲。人間齢(よわい)50に近くならないとこの深みは出せないだろう。こんな作品、若手の誰が作れるというのか。 天才ではこんな音は造れない。ベテランの心意気と力量を見せつけた、80年代メタル奇跡の作品である。 |