1989年
マイナーメタル編
マイナーメタルの名作はこの年たった10枚。
しかしこれはマイナーの壁をどーんを破り
メジャーへ行ったバンドが多かったからであって、
マイナーメタル不作という印象は全然ありませんでした。
個人的評価100点満点作品 全10枚
TERRORIZER |
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名曲 |
マニア連中の間では名盤とされている1枚。 NAPALM DEATHとMORBID ANGELのメンバーによるアルバム1枚きりのプロジェクトである(、、、そのはずが、2000年代に新作が出た)。 両バンドともこの当時は極悪人非人以外の何者でもない存在感だった。内容は、さすがに壮絶なエキストリームスペシャルである。89年にこれである。 まあ、本職バンドに比べ、メタルカラーがかろうじてあるのが救い。 興味のない方にはどこを切っても激辛の金太郎飴である。濁流の激流みたいな音である。 |
OBITUARY |
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名曲 |
私が生まれて初めて「デス・メタル」の凄みなるものを体験したのがこの作品。 ヘンなバンド名は「(新聞などに載っている)死亡記事」の意味。 ついに出てきよったか妖怪変化!という全くの極めつけ作品に思えたが、芯が意外にスタンダードからの借りモノが多かった。つまり、まあまあ聞ける音ということである。 ボーカルがかなり突っ走ってる。デスメタルというのは死のメタルというより、耳が死を意識する音、という意味だと思う。 |
STORMWITCH |
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名曲 |
まったく、尋常じゃないイモくささである。5作目の音だとは恐れ入る。前よりダサくなっててどうする。80年代ダサメタルマニアは絶対要チェックである。今でも健在だと思う。凄いなあ。以上。 いや、くされファンには名曲のオンパレードですよ。私は大好きなアルバムです。 |
WHIPLASH |
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名曲 |
化けた。違うバンドじゃないかというくらいに化けた。アピール性の高さをしてまさに代表作品である。 相変わらずマイナーレーベルからのリリースだったが、音そのものはメジャー級の堂々としたヘヴィ・メタルである。 スラッシュメタル、パワーメタルその他もろもろ、ヘヴィ・メタルが細分化されてきた80年代後期だったが、そんな時勢の中でドカーンと爆発したジャンル分け無用のリアル・ヘヴィ・メタル。いつの時代でもこういうサウンドが分かりやすい場所にいつでもなければならん、と思う。 |
PARADOX |
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名曲 |
80年代マイナーメタルファンには思い入れの深いアルバム。がむしゃらのヤケクソではなく、あくまで流麗に走るところが、エクソダスやオーヴァーキルなどのパワーメタルサウンドと違うところ。暴力性より一体感の様式美カラーが光る作品である。 メロディアスな歌メロ、ギター、キーボードなど出てきませんが、それでも様式美の一種と解釈したい。 |
MORDRED |
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名曲 |
ファンクメタルというやつが90年代初頭のマイナーな流行になったが、最右翼がこのバンド。後続がつまらないバンド、多かったけど、パイオニアは凄いアルバムを造っているものである。 チョッパーベースび〜んびんの飛び跳ねスタイルは特にメタルリスナーの評判は悪かったかもしれないが、路線ではなく、これが血なのである。だから説得力があった。 黒人ノリノリファンクバンドがスラッシュメタルやったような音(聴けばわかる)である。食あたりを起こして当然のところを、素材の良さと極上の隠し味で、実際ものすごく美味なものに料理したという感じである。 |
CLOVEN HOOF |
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名曲 |
重度のマイナーメタル病のマニア以外は絶対聴いてはいけないような、どうしようもないうんこアルバムばっかり出していたバンドが、この4作目で本当に化けた。 マイナーを観る目を持つ者のみが評価を決めろ、とお山の大将的に言い放っていたバンドが、この作品で出で立ちすら変わった。 「NWOBHMサウンドの今風の活かし方というものもちゃんとあるんだぜ」、そんな言葉が聞こえてきそうな、この作品に限っては(当時)今風ですごくクールなヘヴィ・メタルサウンドだったのだ。 NWOBHMサウンドに造詣の深い方ならオープニングは本当に絶句である。繰り返すが、かっこよさとはあまり縁のなかったNWOBHMスタイルの、最高にかっこよかった絵がこれでである。 しかし全然雑誌などにも無視されて、まったく可哀想過ぎました。 |
第3位! |
POWERMAD |
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名曲 |
バタバタしたリズム感覚がまさにアメリカンマイナーメタルの典型だったが、単純な音の重さがジューダス・プリースト級。 ヤセのテクニシャンサウンドであろうはずがなく、まったくのマッチョマンメタルサウンド。メカニカルなマノウォーという感もなきにしもあらず。 巨大ダンプカーに乗りブレーキかけずに突っ込んでくるような音楽性だから、とにかく問答無用の迫力である。 重量感をもっとくれい!と嘆くアメリカンメタルリスナーには夢のようなサウンドだった。個人的に思い入れの深い作品である。これで捨て曲がなかったら、本当に名盤だったのに。 90年代の映画だったと思うが、タイトル忘れた、ニコラス・ケイジ主演のアクション映画にこのアルバムのオープニングナンバーがフツーに流れてて、びっくりしたことがあった。 |
第2位! |
SEPULTURA |
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名曲 |
名作である。魔物の咆哮がグワーッと聞こえてくるような作品である。 日本ではこれが出たこの時期、マイナーの有望株どころか、日本盤も出ず、輸入盤マニアのみが知るという存在だったが、当時私が惰眠をむさぼっていたロンドンでは、例えば何かのコンサートの開演前のBGMでこの作品のイントロが鳴っただけで、客席がうおーッ!っとなっていた。すごく人気があった。 ヘヴィ・メタル10年の歴史、その強さをうたうシンボリックな色と、全く裏のない潔さが、リスナーの渇望心を100%満たした形でニューヒーローが誕生したという。そういうアルバムだったと思う。 全曲走り倒し。ヘヴィ・メタル意識とファンの後押しをして、堂々たる名盤である。ラストナンバー、"Primitive Future"のタイトルが深い深い。 |
第1位! |
CRO-MAGS |
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名曲 |
今となれば誰も知らない名盤。かもしれない。 知名度ないのに名盤とはおかしいが、それでも内容のあまりの衝撃度に名盤保証マークをべーんとつける。 聴く人が聴けばわかる名盤とか、そんなセコいことは言わない。特にスラッシュ/パワー系が好きなリスナーには絶対おすすめ、奇蹟のアルバムである。本当である。 ファーストは完全なハードコアパンクだった。それ以上も以下もない音。 それが一体、何がどうなってこの変身ぶりだったのか。もちろんハードコアパンクの突進力を借りてはいるが、このザクザクのギターに加えて、爆走戦車のような分厚い音質は間違いなくヘヴィ・メタルからの授かり物だった。 こういうのを聞けば、メタルはやっぱり単純な感動がいちばんとも言いたくなる。 どれだけ時代が進んでも、どれだけメタルがメジャーになっても、こういうサウンドがしっかり存在していなければならない。メタルの神様の導きあって世に出た作品という気がする。ハードコアパンクの神様? それでも構わない。 メタル兄ちゃん+リアルパンクスというメンバー写真の印象がそのまま音楽性に出てて微笑ましい。特にリーダー、ハーレー・フラナガンなるにーちゃんの面構えがとてつもなく良かった。 |