1991年
マイナーメタル編
WALTARIにCYCLONE
TEMPLE、面白いバンドがデビューした年でした。
メジャーに成り得ない、何かにつけて度を越えたバンドがこれまでの
マイナーメタルの定義でしたが、マイナーだからこそフットワークが
軽いんだということをアピールするようなバンドが
増えてきた時期でもありました。
★★★★★星(個人的評価100点満点作品) 全12枚
DARKTHRONE |
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名曲 |
それはもう、ジャケットがこれである。メンバーも白塗り。かなりキテる音である。歌もデスメタルあたりとは明確に一線を引いたブラックメタルボイス。 当然マニア以外におすすめできるような代物じゃないが、やはり今から10年以上も前にこういう路線をとっていたバンドがいたということのみ、評価したいと思う。 さすがにまだ人間の姿はしているようである。何曲かのイントロに、恐ろしく見せようという邪悪な気以前に、まだかっこよく聴かせようという工夫が見える。 しかし歴史の長いバンドである。 |
MESHUGGAH |
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名曲 |
今も活動中のこのバンドである、プールいっぱいの鉄クズに瞬間接着剤ぶちまけて、ふたつとして同じ形のない鉄のオブジェをポイポイと投げつけてくるかのような音楽絵は、このデビュー作も最新作もまったく変わらない。 名曲など1曲もないと思うが、この一瞬一瞬のサウンドが珍しさ極まっているというか、立派に存在価値のあるサウンドだとは思う。誰も真似しない、のではなく誰も真似できないのだ。 |
PARADISE LOST |
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名曲 |
90年のファーストはただ気色悪いだけの音だったが、このセカンドでポリシーが明確に見えた。 タイトルは本当に正しく、これぞゴシックメタルの礎と言えるサウンドである。のちの作品のように、この路線が聴きやすい形に昇華するなど想像もできなかったが。 |
ENTOMBED |
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名曲 |
デスメタルにしては異様なほどのフットワークを見せ始めたセカンドアルバム。 そして当然かもしれないが、90年代後半エキストリームメタルの原点に当たるこのへんのアルバム、当時は全然気づかなかったにせよ、今聴けば、意外に純メタルの要素を残しているんだなと思わされる。このバンドはもうちょっと行ってくれれば、AT THE GATES風のメジャー性を持つことができたと思う。 音の見かけは非常にいかついが、実際よく聴いてみれば、ヘッドバンギングもいらっしゃーいという音である。90年代後半エキストリームスタイルへの橋渡しを担った傑作、という観方は間違ってはおらん。と思う。 |
CORROSION OF
CONFORMITY |
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名曲 |
マジにロック界に殴り込みをかけた、通算4作目。 これまでの作品はマイナー界隈ならではのひねくれハードコアパンクだったが、このアルバムで一挙にモンスターロック化した。グギグギ鳴る太いギターリフがかっこいいの一言。今の爆音ロックにもこの重低音がほしい。 |
WALTARI |
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名曲 |
個人的にはめちゃくちゃ苦心して手に入れた、ここ日本では貴重盤中の貴重盤だったが、オープニングナンバーが結構屁というところを除けば、意外にメタルサウンドである。 特に2曲目など「ラップですよお客さん」と名前からしてそう歌っているこの曲のヘンチクリンさといったら。 そしてなにがラップなものか、演奏している楽器こそ全部がメタル用、というわけではないが、どうやってもメタルになってしまうという、むちゃくちゃな個性である。 メタルに新ジャンルを織り込もうとしているわけではなく、新ジャンルをやっても必ずメタルに、どうしてもなってしまうのだ。 ファーストアルバムから順に何かをずんずん積み重ねるようにして大きくなってきたバンドなので、ファーストアルバムは当然のちの傑作と聴き比べると稚拙さも物足りなさも感じるが、他のバンドと比べると一級品洋楽ロックであることは間違いない。 フィンランド出身ということを完全に忘れる。 |
PRONG |
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名曲 |
オルタナティヴハードコアパンクバンド、PRONGとしてはモンスターロック化した次作よりもこっちのほうが「らしい」作品かもしれない。妙なアスレチック感覚をこの音に感じてしまうが、もちろん爽快な空気があるはずがなく、何か監獄の重労働が似合いそうな音である。 ロンドンのハマースミスオデオンで、サクソンの前座としてこのバンドを観たが、笑うくらい浮いててかわいそうだった。 |
CYCLONE TEMPLE |
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名曲 |
80年代ZNOWHITEというバンドがいて、そこの黒人ギタリストが結成したバンドである。音は重量感の効いたスラッシュメタルという、かなりの個性派だった。妙にコブシの回った歌が面白く、その歌に合わせてなんだか、合わされてなんだか、ギターまで変なフレーズを奏でている。 このアルバム1枚で消えたと思ってたら、94年にちゃんとセカンドアルバムが出ていた。聴いてみたいなあ。 |
人間椅子 |
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名曲 |
ファーストの時点では一発で気に入ったながらも、色物なのかマジなのか判断つきかねた。 セカンドはファーストの10倍ぶっ飛んだオープニングで、これ、確かにとんでもない色物ではあっても、ここまでやればバカ負け、誰も真似できないということは、これぞ芸道そのものであり、まさに日本文化のヘヴィ・メタルとはこれだ、これでなくてはいけない!とまで思わせてくれたアルバムである。 死霊ネズミ男、恐ろしい風体であるがどこかユーモラスなベーシストのメインボーカルが、完全に個性を確立している(今現在は白塗りスキンヘッドになっていて余計恐ろしい)。比べてこのバンドの「まとも部門」をになうギタリストの歌は特に高音がおもいっきりお留守になり、お世辞にもうまい歌とは言えない。次のアルバムでそこらへんは完全に解消なさっている。 |
第3位! |
DIRTY LOOKS |
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名曲 |
80年代に2枚アルバムをリリースしているが、全然売れず、かといって90年代に売れたわけでもなく、結構かわいそうなバンドだった。 この3作目は本当に素晴らしかった。次の4作目"FIVE EASY PIECES"がバンド最高傑作とされているが、この3作目も捨てがたい。 タイトルはこれでも、海賊盤ではない。ミニアルバムの素材に未発表曲付け足したような、何ともやっつけ仕事的な作品かもしれないが、どこまでが本当かはわからずとも、こういうバンドは結構いいかげんにやってこそ、最高の演奏ができ最高の迫力を出せたんじゃないかなと思う。 荒々しさと粗さの違いを10秒で教えてくれるようなサウンドだった。バラードまでがかっこよすぎ。 次の作品で2曲ほど焼き直しされているが、こっちの元バージョンのほうが絶対よかった。 |
第2位! |
A.R.G. |
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名曲 |
フィンランドのバンド。ジャケット裏に"REINDEER
METAL!"の表記があり、トナカイメタルって何だそりゃと思うが、実際、これがレインディア・メタルである。 基本は疾走一番スラッシュメタルながら、確かに北欧産らしい澄んだ凍った空気がある。マイナーメタル発掘マニアにはこれはお宝。1曲、ニール・ヤングのカバー、スラッシュバージョンがあって、この曲だけは笑わせてくれるが、全体的に走るメタルのおいしいとこ尽くめである。 |
第1位! |
RAZOR |
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名曲 |
こんなもの1位に出すのは私の趣味以外の何物でもないが、しかしこれは凄いよ。まごうことなき漢メタルである。 マノウォーみたいな音かといえば、全然。ただただ野太い、ダダっ走りのスラッシュメタルである。バンドの存在そのものに名作級愛着を感じるというか、逆に名作など持っていない、持つ気配出す気配すらなかったということが「お前ら漢やな〜〜〜」と感激させてくれるわけで。ファンにしかわからないと思う。しかしスラッシュメタルファンは絶対このバンド、聞かないと損ですよ。 |