1991年
ロック編
 (ハードロック、メタル以外)


NIRVANAが90年代ロック代表と言える
名作"NEVERMIND"をリリースした年。

特に印象的だったのが
エルトン・ジョンのトリビュート盤"TWO ROOMS"。
本人エルトン・ジョンの名作群を差し置いて
いまだに聴きたくなるときがあります。

変な新人もたくさん出てきましたが、しっかりベテラン勢の踏ん張りも目立ちました。


個人的評価100点満点作品 全20枚

20位!

LYNYRD SKYNYRD
1991


名曲
"Smokestuck Lightning"

 飛行機事故で主要メンバー2人が亡くなり、そして解散という悲劇の運命をたどったバンドが再結成、「主要メンバーがいないからこれは本物のレーナードではない」なんてこと、よく言えたな。と、もしそういうことをいた奴がいたら、そう言いたい。
 アメリカンロック史においてはこのバンドの再編は「まつりごと」だった。87年にすでに再結成ツアーに出ていたが、アルバムとしては77年以来のスタジオ作品になる。この空気だけで名番である。




19位!

THE DUMMIES
A DAY IN THE LIFE OF THE DUMMIES


名曲
"Maybe Tonight"
"Nobody's Fool"
"Burning in the Heat of Love"
"When I'm Dancin' I Ain't Fightin'"

 ザ・ダミーズ、これが誰なのかというと、SLADEの覆面バンド。大半がセルフカバーなので最初から正体バレバレだった。
 その大半のカバーにしてもかなりポップス味が濃く、ハードロック色はほとんどない。じゃあつまらないのかといえばそんなことはなく、選曲がSLADEファンなら唸る隠れた名曲ばかりで、特にあのGIRLSCHOOLに提供した"Burning in the Heat of Love"が素晴らしい。




18位!

SPIN DOCTORS
POCKET FULL OF KRYPTONITE


名曲
"What Time Is It?"
"Little Miss Can't Be Wrong"

 基本はブルースロックなんでしょうが、妙にヒネクレた、背筋の形が真っ直ぐでないサウンドを聴かせるバンドだった。タイトルの「クリプトナイト」とは、スーパーマンの生まれ故郷クリプトン星の鉱石、スーパーマンの回復アイテムのこと。
 そんなオタクらしさも音に出ている、短髪丸めがね天才学生によるブルースロック、という雰囲気である。なかなか勉強熱心な音であり、最後までじっくり聴かせてくれる。
 (13年5月20日現在)




17位!

FISH
INTERNAL EXILE


名曲
"Shadowplay"
"Internal Exile"

 MARILLIONを脱退なさったFISHさん、ソロ2作目、脱退後初の作品。同年出たMARILLIONの"HOLIDAYS IN EDEN"よりも数段MARILLIONらしいサウンドだと誰もが思ったに違いない。まあ、異様にフットワークの軽い音であるが。 
 コレ系のサウンドの中では最高峰に近いところにある作品である。タイトル曲はアイリッシュダンス風の曲で、血を持っている人の音は説得力が違った。




16位!

NIRVANA
NEVERMIND


名曲
"Smells Like a Teen Spirit"
"Breed"

 初めて聞いたとき、この作品が伝説になると思った人がいたら、尊敬する。私は良質の、普通の90年代ロックアルバムとしか思わなかった。
 初めて聞いたときは結構普通に聞き流して、そして爆発的に人気が出て、改めて聞き直したら、やっぱり凄いアルバムだったんですね、と感激したりする、その感覚がGUNS'N ROSESのファーストに似ていなくもいないと今思った。
 (13年5月20日現在)




15位!

TEXAS
MOTHERS HEAVEN


名曲
"Mothers Heaven"
"Why Believe in You"

 テキサス、といって全然テキサスらしくないサウンド。叙情派ダンスミュージックみたいなサウンドである。
 アルバムによってはチャカポコと今風すぎてつまらないのもあるが、このアルバムは名盤だろう。目を閉じてじっと聴いていられる、そういう風にして聴きたいと思わせる「奥」があった。
 この後まだまだ活動を続けていくが、ここの歌のねいちゃんが全然歳とらないのが不思議だった。
 (13年5月20日現在)




14位!

THE ALLMAN BROTHERS
SHADES OF TWO WORLDS


名曲
"Draw the Line"
"Nobody Knows"

 オールマン・ブラザースというよりディッキー・ベッツ・ブラザースみたいな音になっていたが、しかしポップなサザンロック、愛想あふれるアメリカンロックとは言えないところが素晴らしい。いきなり、ホコリくさい。
 90年代、雰囲気物でこういうサウンドがちょろちょろ出てきたが、「伝統を感じさせれば偏差値アップ」というポイントを狙ってたようなバンドが多くて(今でもそう)、比べて、本物はやっぱり曲で勝負する。前作"SEVEN TURNS"同様、名作である。




13位!

original soundtrack :
THE COMMITMENTS


名曲
"Mustang Sally"
"Try a Little Tenderness"
"In the Midnight Hour"

 アイルランド、ダブリンを舞台にした映画のサントラ。R&Bバンド、ザ・コミットメンツの結成と解散を描く音楽物語。
 全曲、古きよき時代のR&Bのカバーであるが、しかしリード・ボーカリストのアンドリュー・ストロングの歌がメタルボーカル名人も張り合えるか?というくらい、必殺パワフルボーカルで、この人が異様にかっこよかった。"Try a Little Tenderness"を聴けば、知らない人は腰抜かす。
 このアルバムリリース時(映画撮影時)まだ16歳だったというのが絶対信じられない、しかし本当の話。こいつはしっかりソロデビューもしましたが、そっちでは全然パッとしなかった。
 "THE COMMITMENTS"は"VOL.2"も出ている。映画2作目ではなくて、映画では流されながらvol.1には収録されていなかった曲が収録されていた。
 (13年5月20日現在)




12位!

THE PIXIES
TROMPE LE MONDE


名曲
"Planet of Sound"
"Alec Eiffel"

 結構ヘヴィ・メタリックな音も出しているが、しかし至って変態である。
 最高にクールなアバンギャルドという瞬間もあれば、何やっとんねん?とポッカーンとする箇所もあり、名盤だとは言いがたいが、しかし聴いて損はない面白いアルバムである。
 畳み掛ける轟音がスリリングでクセになったが、退屈な曲、どないかしてくれというのはアバンギャルドロックファンではない人間の勝手な言い草だろう。
 リーダーはフランク・ブラックといい、以降ソロでやっていた。WWEのババ・レイ・ダッドリーみたいなデブのおっさんです。




11位!

FISHBONE
THE REALITY OF MY SURROUNDINGS


名曲
"Fight the Youth"
"Asswhippin'"
"Those Days Are Gone"

 「黒人ポップファンク」であったバンド、実は背中にジッパーがついていて、中から異形のモンスターがヌッと...というアルバム。
 この後ますます凄いアルバムを出していくが、この時点ではポップファンクの着ぐるみからまだ半身しか出ていない状態か。
 しかしファンクロックに対する印象を根底から変えられてしまうようなアルバムである。
 ジャケットもふざけているが、このバンドは常に、いつもふざけていた。歌詞その他、白人ロックはこれほどふざけることができるのか?という挑発も隠されている。




10位!

DAN REED NETWORK
HEAT


名曲

"Baby Now I"
"the Heat"

 このアルバムが最後となったが、たった3枚だけしか残してないとは勿体無い。
 このアルバムを聴いて、90年代を代表するロックバンドになる!!と思った評論家も、ファンも世界中に数多くいた。
 チャカポコチャカポコ鳴るリズムがうざったいと言うリスナーもいたが、そんなものは今風に嫉妬する所詮才能の足りない連中の言い種であり、このバンドの音楽性の芯は、誰が聞いてもわかるように、ボン・ジョヴィを彷彿させるメロディーライン、どういう形にでも身体が動くリズムの歯切れの良さにあった。




9位!

DIRE STRAITS
ON EVERY STREET


名曲
"Calling Elvis"
"On Every Street"
"Fade to Black"
"Heavy Fuel"

 "BROTHERS IN ARMS"以来6年ぶりのアルバム。流行のロックからみれば78年のデビュー作からして仙人みたいな印象があったが、あれから13年、非常に豪華な仙人さまサウンドになられた。
 渋すぎて寝てしまうような曲もあるが、ハイライト曲の素晴らしさと言ったら、さすがにダイア・ストレイツである。タイトル曲の後半は鳥肌立つ。
 しっかりリズムが活きている曲ばかりで、渋くてもじじくさい印象は全然ない。




8位!

ROD STEWART
VAGABOND HEART


名曲
"Rhythm of My Heart"
"It Takes Two"
"the Motown Song"
"Have I Told You Lately"

 前作"OUT OF ORDER"がヒジョーにつまらなくて、いいアルバムが何年も続いていただけにがっかりしたが、しかしここで今風も昔風もなく、★★★★★級名作をリリースしてくれた。
 ベスト盤ではないが、しかし「ザ・ベスト・オブ・ロッド・スチュアート」という内容である。なんせこの人の本気はひと味違うのだ。
 「ザ・モータウン・ソング」なんて曲を歌える白人ミュージシャンはホール&オーツとこのロッドさんだけである。
 (13年5月20日現在)




7位!

STATUS QUO
ROCK 'TIL YOU DROP


(通販で買えん! 信じられん...!)

名曲
"Like a Zombie"
"All We Really Wanna Do (Polly)"
"Rock 'Til You Drop"
"Warning Shot"

 前作"PERFECT REMEDY"は確かにこのバンドらしいアルバムではあったが、正直おとなしすぎた。
 今回は暴れてますぞ、というジャケットの印象にぴったり、久々にハードロックバンドのサウンドになっていた。初めてこのバンドに接するリスナーは知らんけど、わしらファンは踊りまくって大満足というアルバムだった。
 2曲目"All We Really Wanna Do"は絶対このバンドでしか聴けない、楽しい楽しい曲。




6位!

TOM PETTY & THE HEARTBREAKERS
INTO THE GREAT WIDE OPEN


名曲
"Learning to Fly"
"Into the Great Wide Open"
"All or Nothin'"
"Out in the Cold"

 まったくのトム・ペティーソロ作品サウンド、またはトラベリング・ウィルベリーズのサウンドなんですけど、しっかり"& THE HEARTBREAKERS”名義でリリースされて、そこが嬉しかったアルバム。アメリカンロックの良心以上のものを魅せ、聴かせてくれる名作である。
 誰でも言ったことに違いないが、なんでこう、哀愁が素晴らしすぎるメロディーなのか。今でもこれを聴くと夢うつつのあぶない人になってしまう。
 (13年5月20日現在)




5位!

THE KNACK
SERIOUS FUN


名曲
"Rocket O'Love"
"Serious Fun"
"One Day at a Time"

 もちろんあのザ・ナックである。マイ・シャローナの。
 10年ぶりの復活作品、まだマイ・シャローナやっとるのか?なんて思ってたら、全然。
 チープ・トリックが少々アダルトになったようなサウンドで、なんせ曲の素晴らしさに感動した。
 と言って誰が信じてくれるのかと思うが、あんまり好きなバンドじゃなかったから余計に感動した。
 "One Day at a Time"は90年代バラードロックの最高傑作、誰が何と言おうと私はそう思いたい。さりげない感じのバラードロックの名曲など、特に90年代以降本当にないもんですから。




4位!

DAVID LEE ROTH
A LITTLE AIN'T ENOUGH


名曲
"A Little Ain't Enough"
"Shoot It"
"Hammerhead Shark"
"40 Below"
"It's SHowtime!"

 ファーストソロ"EAT 'EM AND SMILE"は名作ではあるが、ヘヴィ・メタル異種格闘技最終決戦みたいなあの音は、デイヴィッド・リーおやじの本当のソロアルバムとは言い難かった。
 このソロ3作目こそいっちばん、おやじらしいアルバムだと思った。オールディーズ宴会ロックに対するしぶとい憧憬が、今風の艶をもってピカピカにリニューアル。そして全曲オリジナルというのが凄すぎる。まさにデイヴおやじは「目論見当たったり!」としたり顔だったことだろう。
 このアルバムでのおやじの右腕は、あのジェイソン・ベッカーである。弾き倒しなんてとんでもなく、ここでは裏方に過ぎないギターで、そして裏方といっても実はバックボーンを支えている「間」のギターだった。
「手で弾かなかったギターアルバム」、"PERSPECTIVE"を聴いたあとでは、このアルバムのギタープレイがすごく奥深いものに思える。
 (13年5月20日現在)




第3位!

various artists
TWO ROOMS - ELTON JOHN TRIBUTE


名曲

名曲ばっかりです

 トリビュートと名前のつくアルバムの中でも最高傑作になるのがこの作品。
 ジョージ・マイケルの"Tonight"やシニード・オコーナーの"Sacrifice"が圧巻だが、とりあえず各参加アーティストが曲の雰囲気壊さず、加えて存分に個性を発揮しているという、天上世界の神技の連続。
 それだけエルトン・ジョンという人が幅広いレパートリーを持っているということである。
 特にくだらないのが多いメタル系のトリビュート。こういう鏡みたいなアルバムを少しは見習ってくれ。
 (13年5月20日現在)




第2位!

QUEEN
INNUENDO

 

名曲
"Innuendo"
"Headlong"
"These Are the Days of Our Lives"
"the Show Must Go On"

 結果的にフレディー・マーキュリーの遺作となった作品。最初から感動的だった。この分厚い、映像化不可能なこの音そのものに猛感動。もちろんフレディーの歌以外にもいっぱい聴き所がある作品であるが、ブライアン・メイのギターがやっぱりハードロック風なのが嬉しくて嬉しくて、泣けた。
 2月にこのアルバムがリリースされ、そしてフレディーがエイズであることを告白し、その2日後に亡くなったのが11月24日。
 壮絶に美しい"the Show Must Go On"、これを歌ったフレディーの心境が偲ばれる。




第1位!

BRYAN ADAMS
WAKING UP THE NEIGHBOURS


名曲
"Hey Honey I'm Paking You In !"
"Can't Stop This Thing We Started"
"Do I Have to Say the Word"
"There Will Never Be Another Tonight"
"(Everything I Do) I Do It All for You"

 カラ元気だけが取り柄という私の昔からの元気の素。
 確かに奥は深くない。全然深くない。しかし自分にとっての音楽は、自分のリアクションがすべて。何かこう、こうして書いているだけで血が躍ってくるような名作である。
 「ロビンフッド」だったか「三銃士」だったか、この曲収録で当初サントラまでバカ売れした12曲目"I Do It All for You"も有名な名曲であるが、しかし"Do I Have to Say the Word"も泣ける。いつの間にこの人はこんなドラマティックな歌をやるようになったのか。
 1991年、もうこの時期になれば、真っ直ぐで裏のないロックなど、万民に笑われ無視されていた。だからこそブライアン・アダムスはこういう音楽をやらなければならなかった。白々しさもここまで行けば大きな魅力である。全曲、そんな曲のアルバムである。
 (13年5月20日現在)



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