1992年
ハードロック、メタル編
この年も名作が多かった。
90年代は名作に乏しい・・・と長い間私は勝手に思っていたが、
どこが、という感じである。
プラプラと遊んでいた80年代と違い、
私は曲がりなりにも仕事なるものをしていた時期であり、
あの仕事してたときこのアルバムよく聞いた、やら、
あそこ行った帰りにこのアルバムを車で聞いたやら、
個人的思い出もひとしおという年である。
ほんとにどっちでもいい話であるが。
2010年代メタルにもダイレクトに繋がる、
80年代にはなかったスタイルもずいずいと登場してきたなあ。
個人的評価100点満点作品 全40枚
DRIVE |
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名曲 |
しっかりと線の太いAORハードロック。この時期はまだ固有名詞としてのメロディアスハードというジャンルはなく、80年代メロディアスメタルの派生形という存在だったように思う。このアルバムはよく聞いた。謎のバンドでもあるが、このアルバム以降完全に活動を停止してしまったようである。今でも1円という値段で中古販売してるんだから、かなり売れたアルバムだったのであろう。 "Full Moon Rising"は名曲中の名曲。 (13年11月5日現在) |
AGNOSTIC FRONT |
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名曲 |
スラッシュメタルファンもOKのニューヨーク・ハードコアパンクとして昔から有名な存在で、80年代にも名作を出しているが、92年のこのアルバムこそメタル色、パンク色が際立った最高傑作である。突進力も破壊力も物凄い。エミリヤエンコ・ヒョードル全盛期の攻撃ラッシュみたいな世界。 このバンドに似ているか似ていないかが、90年代、メタルファンのハードコアパンク判断基準となった。アメリカハードコアの聖地、CBGB(ライブハウス)で最も認められた存在というのだから、この業界では一番高いアピール性を持ったバンドである。 |
SAXON |
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名曲 |
ずっとこのバンドは働き者の鏡であったが、80年代後半から90年代真ん中あたりまでは失速した状態、低迷していた状態、とされている。それは嘘である。"INNOCENCE IS NO EXCUSE"に"DESTINY"に、そしてこのアルバムがあるからである。暴走と疾走は違う。このアルバムは本当にSAXONらしい、疾走するメタルの爽快感を伝えてくれる。メタル界の中心から距離を置いていたこの時期の音のほうが、楽曲はおいといて、路線的には素晴らしいものがあった。ブリティッシュもアメリカンも、どうでもいい。音がそう語っている。マディ・ウォータースのカバーなどをやっているが、聞くまではまったく想像できないまでも、これがまた本当にSAXONアレンジで素晴らしい。 |
LILLIAN AXE |
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名曲 |
日本盤ではこのジャケットではなかったように記憶している。このオリジナルジャケットはあまりにも酷い。アホジャケットグランプリ級である。 私はアルバムとしてはセカンドアルバムのほうが好きであるが、この3作目は90年代メタルバラード大賞の"the Promised Land"が収録されているので、それだけでも即買いの名作である(知らない人はYOU TUBEで聞いてください)。こんな大変な名曲を出して以降の活動どうするの、と思ったが、今現在も活動中であるも、この名曲を超える偉業は達成していない。 |
THE WILDHEARTS |
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名曲 |
なんちゅうバンドが出てきたもんだと思った。80年代終わりごろから90年代前半にかけて、ロックンロールメタルブームというのがあって、モトリーやガンズなどは創始者であるし曲も名曲が多いのでまだしも、大した曲も持たず勢いだけでええ気になっている新人バンドが多く、うんざりしていたのは私だけではない。そんな中、このバンドは異彩を放っていた。初めて聞いたときの印象がロックンロールやのにめちゃくちゃメタルやんけ、ということで、以降の活動でこのバンドがR&Rスタイルの歴史を変えたと思う。その陰で消えてしまったバンドは数知れず。 日本盤はデビューEP2作、合計8曲が1枚のCDとして新しくタイトルが付けられて売られ(このアルバム)、今手に入る外国産バージョンもこれ仕様になっている。 |
DREAM THEATER |
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名曲 |
1992年ベストアルバムの呼び声高い、歴史的アルバム。偉そうなこと書くと叱られるのでやめておくが、このバンドが苦手な私もこのアルバムだけはよく聞いた。ファーストアルバムからすれば嘘のような変身だった。この音層の厚さはすべてのプログレッシブバンドが手本とすべきもの。しかし音の洪水という印象以上に、メロディーが歌、ギター、キーボードにしっかりと生きている。今現在もこういうバンド、という単純なことが凄い。20年以上の前とはとても思えない。 |
TROUBLE |
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名曲 |
サイケデリックメタル最高傑作。84年のデビューアルバムからそういう音だったが、重量感だけが物凄く、極悪スライムの悶絶みたいな音はマニアック過ぎて一般メタルリスナーはまったく入っていけなかった。5作目のこのアルバムにして聞き易いTROUBLEが完成。個性、ポリシーは殺さず、そして聞き易いというとすべてのアンダーグランドバンドの悲願である。サイケデリックなりにポップという楽曲はビートルズの一時期の世界も思わせる。1枚前のアルバムもおすすめ。 |
FASTER PUSSYCAT |
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名曲 |
アレは何と呼んだのか、おっさんしか知らんと思いますが、この時期、CDは縦長の薄いダンボール素地の箱に入れられて売られていた。ジャケットが印刷されてあるだけの薄い箱。私は邪魔だと思ってポイポイと捨てたが、1つくらいは話のネタに残しておくべきだった。レコードからCDへと完全移行する時期。レコードに比べてちゃちいCDの小ささをカバーする目的だったと思う。 このアルバムは名作セカンドに比べてずいぶんと地味で、名曲の数も全然違う。しかしR&Rメタルからとっとと卒業して、別の場所から忙しいメタル界をタバコでもふかしながらのんびりと見物していたようなアルバムであり、このバンドの新しい味というより、ロックを悟ったような、仏教用語で言う「諦め」が滲み出ているようなアルバムである。生活に疲れたときにこの1枚。 |
MOTHER'S FINEST |
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名曲 |
日本では受けが悪いなんてもんじゃなかった黒人によるメタルサウンドもしくはヘヴィーロックサウンド、その最高傑作がこのアルバム。この名作が今入手困難とは惜しい。ファンクロックの印象が変わるし、何よりメタルの印象が変わるかもしれない。ソウルフルな女性ボーカルが先導する、ファンキー・メタルサウンドである。とりあえずインパクトだけでも凄い。踊り専用の音ではない。だからこのタイトルなのだ。 残念ながらyou tubeにはなかったが、like a negroで検索すると、あのJACKYLがラッパーを迎えてライブで演奏しているのがある。 |
FM |
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名曲 |
86年デビュー、4作目にして最高傑作がこのアルバム。メロディアスハードを名乗るのならこのアルバムの影響を少しは受けておけと言いたくなるほどの高品質なアルバム。おそらく当時はその評判の良さに、人生おちょくったような人間を除き、ほとんどのメタルファンがこのアルバムを聞いたんじゃないだろうか。ポップメタルファンからスラッシャーまで、大満足だったに違いない。アダルトオリエンテッドというより、ヒューマンオリエンテッドのような作品である。 |
RAGE |
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名曲 |
メジャーメタル第一弾アルバム"REFLECTIONS
OF A SHADOW"(90年)はプーであり、メジャーになどならんでもいいと買ったメタラーはぼやいたが、そんな意見を完全にねじ伏せ、メジャーメタルの名作を完成させたのがこのアルバム。以降今に至るまでこの、一風変わったメジャーメタルサウンドは続いている。 よく聞かないでも歌のヘタ加減は愛らしくもあり、演奏そのものはものすごくかちっとしているので、そのギャップが面白いアルバムでもある。しかし曲はどれも素晴らしい。 (13年11月5日現在) |
COZY POWELL |
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名曲 |
タイトルが謎であり、別に引退しとりませんがなという時期に突然リリースされた、"OCTOPUSS"に続くソロ4作目。確かブラック・サバスとブライアン・メイのバンドを行ったり来たりしていた時期だった。 なぜかまったく、全然話題にならなかった。だから私は当時は買わなかった。洋楽メタル何でも来いのレンタル屋にも入荷しなかった。何年も経ってから中古屋で買うことになったが、買って後悔、なぜリアルタイムで聞かなかったのかというひね曲がった後悔を感じたのを覚えている。なぜこのアルバムがマスコミ(もちろんメタルマスコミ)から完全無視されたのか。今となっては謎である。 "OCTOPUSS"ほど大仕掛けではないが、インストロックファンにはよだれの嵐みたいな素晴らしい曲の連続。逝去後に出たアルバムより100倍、こっちのほうがいい。 |
HELMET |
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名曲 |
当時から賛否両論あったが、メタルの歴史を知りたい人は今すぐ、もう1回聴けばいい。80年代にはなかったスタイル、90年代の新しいスタイルとは呼ばれたが、このパワーとセメント感は探せば70年代ハードロックの中にもちゃんと存在している。新しいどころか、いい意味、恐竜のようにジャイアントに古い音である。新しさはビジュアル面だけにあったと今は思う。メタルは長髪なのに、こいつらはスポーツ刈りだった。私(ら)は当時、スポーツ刈りメタルと呼んでいた(本当)。しかしごっつい音。名作です。 |
DIRTY LOOKS |
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名曲 |
2010年の最新アルバム"I.C.U."が年間ベスト3かというくらいの名作で(本当)、自らのケツを叩きまくるかのような姿勢ではなく、枯れメタルの個性が今になって大きく光っているという、まったくKROKUSかDIRTY LOOKSかというような存在であるが、この92年のアルバムは84年デビュー、7作目にして初の名作である。ロックンロールメタルに悪いことばっかり教えた親戚の兄貴、みたいな世界である。音の跳ね具合はKIXのようであるが、こっちのほうが精神年齢がかなり高い。ただしガラはかなり良くない。今現在もこの路線そのままがスケールアップしている。 |
GOTTHARD |
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名曲 |
メタルの良心の権化、GOTTHARDもこの年にデビュー。当時はあまり言われなかったが、プロデューサーの名前を見れば通のファンにはわかる。これはKROKUSの弟子による華道大発表会サウンドだった。シンプルでストレートであるが、勢いが単純に素晴らしく、また曲も良い。FAIR WARNINGもそうだが、これと言った武器を持たずとも、教科書に載っていることだけでここまでの傑作を作り上げたという、メタルというよりはロックの逆襲のような音だったのかもしれない。"Hush"のアレンジがお見事。 |
MINISTRY |
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名曲 |
覚えている人は覚えている、確かメガデスの来日公演の会場でばしばし流れていたことから注目を浴びた、インダストリアル・メタルなる新ジャンルの旗手であり、89年のアルバム"THE MIND IS THE TERRIBLE THING TO TASTE"は名作となっているが、私は目玉曲こそ凄いと思ったけど、あんまりぴんと来なかった。実際どっかーんとメタルサウンドになっているのはこのアルバムからである。このアルバムと2004年の"HOUSES OF THE MOLE"は絶対の絶対にこのバンドにしかありえないメタルワールド。 |
ACCUSER |
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名曲 |
マイナージャーマンスラッシュから脱皮した、4作目にして初の名作。当時はメタリカのコピーバンドと言われたが、ならばこれはAクラス、最高級品のコピーサウンドである。今でも名作を出し続けているバンドであるが、このアルバムがなければ今の音もないと思う。中古市場で結構な値がついているが、5000円払っても損はないアルバム。2000年代も大きな顔して生きているジャーマンスラッシュの原点、そういう解釈でもよろしいのではないかと。 |
FORTUNE |
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名曲 |
Benny
Soderberg(oの上にてんてん)、あっちの発音ではベニー・スドベリというそうだが、この人は一体どこへ行ってしまったのか。今調べたけどわからなかった。メロディアスで当たり前の北欧ライトハードロックにおいてボーカリストがメロディアス方面の個性を持つことなど絶対無理であるところを、何ともヘロヘロの声で一躍有名人になったのがこのアルバム。 ちなみにセカンド、サードはプーだった。そしてFORTUNE以降、CLOCKWISEというこれまた素晴らしいバンドで2枚アルバムを出したが、それ以降どこへ行ってしまったのだろう。 "Life Goes On"は北欧史に残る名曲バラード。YOU TUBEでご堪能あれ。 もうひとつちなみにギタリストは現THE POODLESにいるが、このアルバムではあんな弾けた音ではない。 |
STONE TEMPLE PILOTS |
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名曲 |
とにもかくにも2曲目"Sex
Type Thing"である。89年KING'S Xの"Over
My Head"クラスの激烈なインパクトがあった曲であり、当時で言うラウドロックかグランジか、まったくジャンル分けなど無用だったとリアルタイムで私は思った。決して一発屋でなかったところが素晴らしい。このファーストも、以降のアルバムも全部おすすめ。 あの時代以上にメタルと呼ばれる音楽が増えた今、改めて聞けば、90年代の先頭にあったロックは意外と真面目で正統派だったのかもしれないと、この音の感触を聞いて思う。 しかしいつものアレではアルバム丸ごと聞けたりすることもあるんですねえ。 (13年11月5日現在) |
GORKY PARK |
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名曲 |
ファーストも名盤だったが、このセカンドこそメロディアスメタルファンなら誰が聞いても名作だろう。しっかりメタルサウンドでありながら、アメリカ産とはメロディアスの質が違う。瑞々しいとしか言いようのないメロディーの洪水。ボーカルが割と枯れているから、お菓子ロック風の軽さはない。BON
JOVIが大好きな「メタルファン」は絶対に買いである。今出ていてもまったく不思議でない音。20年前の音って嘘でしょう。(ちなみにこれもアレでフルで聞けます) この時期、このバンドはモスクワではなく活動拠点を完全にアメリカに移していたが(引っ越しまでしたらしい)、いいものが売れないのがアメリカ、すぐに帰国し、日本のレーベルにも完全に忘れられながら、まだまだ英語で歌う活動は続いた。98年の4作目"PROTIVOFAZZA"なんか、私は歴史的名作やと思う。残念ながらその4作目で活動停止。 |
TONY MARTIN |
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名曲 |
95年にもアルバムが出ているが、こっちのほうがメタル度こそ薄いも、名作中の名作である。BLACK
SABBATH在籍時のこの人が好きというのなら絶対に聞かなければならない。AORスタイルだ何だ、以前に、Tony
Martinスタイルである。名曲というのは必ず心に残り、何年後にもふと思い出して聞きたくなったりする。1年に1回は私はこのアルバムをじっくり聴く。 私がかつて王族のような暮らしをし、10年落ちサニーという超高級車を乗り回していたころ、車の外にCDを落として傷だらけになり、物凄い高い金出して(...今の中古盤の値段よりももっと高かった!)買い直したアルバムでもある。3曲目"If There Is a Heaven"はBLACK SABBATHでは絶対にできなかった、この人の真骨頂バラード。ブライアン・メイも素晴らしいギターを弾いている。ニール・マーレイも全編でいい音を鳴らしている。 |
MARTY FRIEDMAN |
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名曲 |
喜太郎プロデュース、全編東洋音楽の環境音楽・映画音楽である。うるさい音ではないが、それなりにメタル的に盛り上がる曲もある。「チベット」というオープニングナンバーは本当にチベットである。偉大なる同輩ジェイソン・ベッカーのアルバム"PERSPECTIVE"にも似た雰囲気があり、メタルマンの「禅」的な空気に身も心も引き締まる。ゆったり、ゆっくりと聞ける素晴らしいインストアルバム。 最後の曲"Triumph"、同じ勝利でもvictoryのほうが俗っぽい言葉で、日本語で言うならtriumphは勝利の凱旋、歴史的勝利、そうなるだろうか。勝者の気持ちがこの曲のように優しいものであるなら、世界はもっと平和になるのに。私はアホだから禅の時間に考えることも幼稚くさい。 一般人にまで有名になってしまった今の姿はまったくこのアルバムを思わせないから、私は好きではない。 |
L7 |
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名曲 |
それがどうした、みたいなアルバムタイトルだが、これも80年代には絶対になかった音(ファーストアルバムは88年に出ているが、ここまで突き抜けた音ではない)。NIRVANA直系の音だが、こっちのほうがはるかにヤサぐれている。女ヤクザみたいな連中である。オープニング曲は頭にこびりついて離れないだろう。女らしさなどカケラもない。かといっておっさんの音というわけでもないのだが、こんな音を出すバンドはこのバンドしかいなかった。 2000年ごろに活動休止宣言をして、本当に休んだままである。惜しい。 |
PANTERA |
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名曲 |
前作以上に、売れに売れたアルバム。今でもこのアルバムの影響を語る新人バンド、大御所バンドも多い。だったらもっと↓上位にせんかいと言われそうだが、ここではこの年の個人的評価★5つ、100点満点アルバムを紹介しているので、どこも順不同と思っていただきたい。 20年も前の音なのに、懐かしいではなく、ただただ単純に凄い!と思わせるから、やっぱり名盤中の名盤、音だけではなく格がある。 よく「時代は回転する」と言われるけど、そうじゃなくて、メタルについて言えば時代は止まっている、が正解である。もちろんいい意味、嬉しい意味である。90年代の名盤には少しも埃は積もっていない。入門盤が山のようにある若いリスナーは幸せだと思うが、入門する若い人間が実際入門せず、ケータイ代でヒイヒイというのは、これもまた何でも上手く進んでたまるかという人間社会のルールです。 |
END AMEN |
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名曲 |
名盤であり迷盤。2000年代ではこんな音は一様にプログレッシブロックの中に入れられているが、それにしても、このバンドほど個性的でまたかっちょええのは近年なかなかお目にかかれない。雰囲気的に近い音はGRIP
INCとかVOODOOCULTとかWaldemar Sorychta関連の変態メタルバンドの数々であるが、POSSESSED関連のBLIND
ILLUSIONとか、そっちの空気もある。 スラッシュメタルテイストも◎で、変態でありながら何といい奴らなんだろう。アルバム1枚で消えたこのバンドの正体は何と何と、知る人ぞ知るドイツのくそスラッシュ、DEATHROWのギタリストが結成したバンドである。そういえばDEATHROWも活動後期は猪口才なことをしていたので、この音に至る流れもわからないでもない。 |
LITTLE ANGELS |
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名曲 |
デビューしたときなど私はまったく覚えておらず、というか知らんかったが、1990年、私がロンドンで放浪すれすれ生活をしていたころ、どこでもかしこでも耳に飛び込んできたのがこのバンドの音で、メタルの枠を飛び越え、めちゃくちゃ人気があった(アルバムで言えば89年"Don't
Pray for Me"くらい)。メタルというよりはロンドンのBON
JOVIという雰囲気だったが、残念ながらこの92年の4作目がラストアルバムとなり、寿命の短かったバンドと言える。 このアルバムはずいぶんとアコースティックな印象になったが、まったく退屈しない。AORと言うには元気すぎ、ハードポップと言うには大人である音。有無を言わせず前向きな雰囲気がさすがこのバンドで、いや〜、懐かしい。 (13年11月5日現在) |
LOUD |
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名曲 |
80年代にNEW
MODEL ARMYという近未来的パンクロックバンド(?)がいて、リズムギタリストのRicky
WarwickはTHE ALMIGHTYを結成し、そしてもう1人のギタリストが結成したのがこのバンド。 誰も知らんバンドになってしまったが、ファーストアルバムといいこのセカンドアルバムといい、名盤中の名盤である。RUSHあたりとはまた違った感覚で、今聞いても十分に近未来的な音であり、THE POLICEがメタルアルバムを作ったらこんなんになりました、のような雰囲気である。ファーストではあのアンディ・テイラーが何曲かに参加していたが、なるほどねぇ〜という空気はこのセカンドアルバムでも同じであり(参加はしていない)、フットワークが軽くてプログレッシブ、メロディアスで太い、そしてしっかりとメタルサウンドである。とにかく曲が素晴らしく、廃盤というのが惜しすぎる。you tubeで検索して観てちょうだい。メンバーはなぜかロカビリーみたいな連中です(笑)。 |
JOE SATRIANI |
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名曲 |
メタルから離れようが何であろうが、誰よりも最もコンスタントにアルバムを出し続けている素晴らしい職人である。今でも傑作しか出さないギタリストだと思っているが、このアルバムが端的に言って一番メタル、というアルバム。3曲目"War"なんかインストルメンタルの最高峰、こんな世界は絶対に誰も真似できない。 今でもこの人はたま〜にメロディアス技を出すけど、メロディアス部分になると音数がぐんと少なくなって、それゆえ強烈に頭に残る。そんなところは色こそ違うけど、90年代以降のジェフ・ベックにも似ているかもしれない。このアルバムにもそういうメロディアスクライマックスが4か所ほどある。素晴らし過ぎて、ちびってしまう。 2000年代のアルバムは全然メタルリスナーは口にしないようだが、メロディアスで言えばこんな曲⇒http://www.youtube.com/watch?v=FclrtPUquhQも普通にある(ちなみにこの曲は、アレでコレでいわくつきの曲、私はどっちも名曲だと思ってるが)。 20年前も、今も、そして20年後も、すべてのジャンルの客を大事にする職人さんでいてくれることだろう。 |
BON JOVI |
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名曲 |
ハードコアなメタルファンからすれば用のない音であるが、根性入った鋼鉄メタルバンドが、さてこれだけの気合いが入った音を聞かせているのかというと、硬派だ軟弱だという議論はいかに実のないものであるかが普通のリスナーであればわかる。このアルバムは一時どこでもかしこでも鳴っていてので、いまさら腰を据えて聴く気もなかなか湧かないが、今通して聞いてみると、80年代の名作"SLIPPERY
WHEN WET"ほど若々しい音ではなく、しかしあの世界がそのままベテランの空気で持って再現されているかのような空気。ポップはポップでもこっちのほうが精神年齢が高いという雰囲気は、当たり前と言えば当たり前である。 名曲"Bed of Roses"、バラードといっても大人の音になりましたねえ、と当時は私は思ったか思わなかったか、それは覚えていない。以降もっと渋い音を出していかれます。 (13年11月5日現在) |
T-RIDE |
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名曲 |
カリフォルニアのトリオ編成バンド、このアルバムたった1枚で消滅したが、ドラマーのEric
Valentineは今でもプロデューサーとして活躍している。 アレでもしっかりアップロードされているので聞いてほしいが、こんな風変わりなバンドもいなかった。"Backdoor Romeo"が名曲中の名曲で、しかし誰かこれに似ている曲があるのを知っていたら教えてほしい。KING'S X やGALACTIC COWBOYSが赤ん坊になったような音かもしれない。リズムがとにかく猪口才で、ラップらしき歌もたまに出てくるので、このアルバムの聞き所を間違えたらアホかこいつらで終わってしまうようなアルバムだが、とにもかくにもBackdoor Rodeo、80年代メタル伝統の技を一撃で破壊してしまうような威力である。知る人ぞ知るアルバムになってしまっているが、音は90年代メタルを代表していた。 |
ベスト10!
LIONSHEART |
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名曲 |
"Can't
Believe"は今のメタルファンの何%が知ってるのか、90年代ベスト3に入る名曲中の名曲。一発屋のように言われているバンドだが、そうではない。確かに話題を呼んだアルバムはこのファーストだけであったにせよ、2004年に5作目を出している。 聞き物は"Can't Believe"1曲だけではない。メタルカリスマ的存在感を誇るボーカル、スティーヴ・グリメットの存在感以上に底力を発揮しているのが、80年代〜90年代随一と言えた爆音ギターである。兄貴がギター、ベースが弟のOwers兄弟の伝説はこのアルバムたった1枚で終わり、その原因はあまりにお粗末だった来日公演にあったという噂もあったが、少なくともこのアルバムで聞けるギターの音は、例えるならライバルがWHITESNAKEのジョン・サイクスだけ、というくらいモノごっつい存在感。とてつもなく力強い、ただただシンプルにメタル!という名作である。 ちなみに兄弟が抜けたセカンド以降はプーである。 もうひとつちなみに、2009年、THE PSYCHICSというバンドでOwers兄弟がついに復活、あのギターが存分に聞ける(日本盤でセカンドアルバムも出たそうだが、まだ聞いておりません)。 |
FIREHOUSE |
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名曲 |
90年代メタルというとこのバンド。セカンドアルバムにしてアメリカを代表する音になった。このバンドと同じ服を着るバンドは多いが、このバンドに並ぶ音を出すバンドはいない。一番スタイリッシュなメロディアスメタルである。このゴージャスな空気に背を向けるメタルマニアの性も当然とも言えるが、一度聞けば居心地の良さに見方を改めることは保証する。保証したい。多分保証する。 BON JOVIとはまったく違う音楽性ということが誰にでもわかるから、どっちがいいという話ではなく、結局このバンドの懐の広さだと思う。現在まで8枚アルバムを出しているが、どのアルバムも同じような音であり、同じように名作ばかり。軽いけど決して軽くないこの音。好きな人なら意味がわかる。 (13年11月5日現在) |
ALICE IN CHAINS |
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名曲 |
ファーストアルバムのオープニングも大激震だったが、このセカンドも凄い。1992年インパクト大賞ナンバー1。オープニングは2曲目のタイトルとまったく正反対で、お散歩してたらいきなりダムの大決壊に遭ったような絵である。当時は爆音ロックの幕開けという存在で、メタル雑誌ではない、なんかB5サイズの小さいロック専門誌界隈を騒がせるような存在だったように思うが、今聞けば仕切り、ジャンル談義などまったく無用の必殺メタルサウンドに思える。イントロ、歌、ソロ、歌、終わりというスタンダードを粉々に壊し尽くしたという意味では確かに新しいロックだったかもしれない。しかしかっちょえ〜〜〜、という感嘆符が今も飛び出す、名作というより名音でもある。 |
IRON MAIDEN |
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名曲 |
"THE
NUMBER OF THE BEAST"以来の、走るアイアンメイデンが楽しめる傑作。次のアルバムが95年の"THE
X FACTOR"だから、名作ラッシュはこのアルバムを最後に一段落とも言われたアルバムでもある。私は"DANCE
OF DEATH"は名作だと思ってるので、このアルバムでメイデンは終わったとは決して思っていないが、しかし鋼鉄列車の終着点という気はするアルバムではある。 オープニング、疾走する王道である。本当に王が走っている。よくもここまでツボを突いてくれる音があるものである。アルバム全体的に、ベテランらしさと新鮮さが絶妙のバランス。頭で考えて作れるものではないと思うが、考えないと作れないので、誠に天才にしかありえないアルバムである。こんなリフ攻撃が、近年の音にないのは寂しい。 メイデンがわかりにくいバンドだという2000年代、若いリスナーの言い分も当然であり、90年代とそれ以前のアルバムを聞く機会があったら絶対認識も変わると思う。いちいち買わないでも(お金ができたら買いましょう)、今は便利なツールがありまくりなので、ジャンルを代表する大御所はこのバンドに限らず、是非90年代80年代のアルバムにまでさかのぼってほしい。 |
MEDINA AZAHARA |
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名曲 |
残念ながらこのアルバム、リアルタイムで聞いていないのだが、後聞きでも転げ回るほどのインパクトがあった。このバンドを初めて聞いたのは95年の"ARABE"であり、また95年のページで詳しく紹介するが、ザ・メロディアスメタル・アラビアンとしてのMEDINA
AZAHARAはこの6作目からスタートしたと思う。 オープニング曲は爆笑で、そして感動である。初めてこのバンドを聞く人には、大きな体験になる。こんなんありですか、と思う。かったるい曲もあるかもしれないが、セールスポイント額にそのもののように大きなバンドなので、まあ、このアルバム聞いて何も感じないという人は音楽そのものに興味がない人である。 今現在もこの音よりもはるかにスケールアップした音で活躍中。私が死ぬほど好きなバンドのひとつ。 |
人間椅子 |
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名曲 |
人間椅子最高傑作の呼び声高い3作目。長い曲にプログレ志向もうかがえるが、ただただ日本のバンドがこんな音を完成させたことに同時は打ち震えた。他のバンドがやれば新喜劇になるところを、このバンドがやればマジも大マジ、音楽界の超個性としてアート色すら感じさせるから凄い。今でもそうであるが、本当に、本当の意味で日本を代表するメタルバンド、ハードロックだと思う。絶対的に和風の世界だから素晴らしい。 「平成朝ぼらけ」など、あらゆる日本文化に50年心酔していなければ作れない曲である。アートを描いて知らん間にメタルから離れていったバンドは数々いると思うが、このバンドはしっかりどれもメタルサウンドであるから応援のし甲斐がある。私も全アルバムを発売日に買い続けて20年以上(、、嘘です、このアルバムからです)。 最新作はついこの間出た21作目「萬燈籠(まんどろ)」。今の御姿はオバQ大入道と戦前哲学者とヤンキーのおっさんみたいになっている。 |
DAMN YANKEES |
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名曲 |
世紀のスーパーロックバンド登場と歌われたファーストアルバムは歴史的名作であるが、100%同一路線ながら、曲はセカンド、こっちのほうがいいんじゃないか。アイアン・メイデンのFEAR
OF THE DARKがヨーロピアンメタルの王道であれば、アメリカンハードロックの王道はDAMN
YANKEESのこのアルバムである。たった2枚のアルバムで世界の広さが体感できた。 スピード感よりも大らかさに重点が置かれたアルバム。アメリカという国の、メタルの全総合解釈、そう考えても面白い。メロディという大事なポイントではアメリカンはヨーロピアンに勝っている。聴いている間はそう思わせてくれるアルバムである。 こういう音が80過ぎた老人でも普通に聞ける国というから、私はアメリカ人に生まれたかった。2000年とおに過ぎても、老人ホームではいまだに演歌である。老人よ、介護もいいけど、いつまで同じ老人なんだ。変わらんかい。そっち方面で仕事をしたことがある私は切に思う。何の話だ。 リードボーカルを採っているのは1曲だけであるが、テッド・ニュージェントの雷様ギターも何気に素晴らしい。そして一番の名曲が、トミー・ショウの"Silence Is Broken"。STYX時代の名曲を彷彿とさせる素晴らしい名曲である。ハードロックファンしか知らないとしたら、あまりにもったいない。 (13年11月5日現在) |
第3位! |
BRIAN MAY |
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名曲 |
QUEENの名作と並べて置いておける名作である。それがすべて。 意外というか当然というか、太いハードロックサウンド全開であったのは本当に嬉しかった。今でもわくわくしてくる音である。メタルと呼ぶには時代が違う人であるが、それでもQUEEN初期、70年代のあの太いギターサウンドがメタルギタリストに与えた影響は、多大なんてもんじゃない。年配メタラーはみんな知っている。 ブリティッシュのプライドで固められたような世界であるが、その鼻高々サウンドは、私らが子供の頃、洋楽をダイヤモンドの畑のように思っていたあの時期の感覚を奥のほうから取り出してくれる。この数年後にQUEENが本当のラストアルバム"MADE IN HEAVEN"をリリースするが、このアルバムはその予告編だったという解釈も間違っていないと思う。 当時からしてクラシックロックの趣きがあったが、今聞いても色は同じである。これほど歴史的、という言葉が似合う作品もない。 ちなみにウルトラ名曲"Ressurection"はコージー・パウエル参加で、そして同時期に出たコージーのソロアルバム"THE DRUMS ARE BACK"においても同じ曲のインストルメンタルバージョンがハイライト曲であったことは知る人ぞ知る事実。 もうひとつちなみに、その"Ressurection"は6曲入りEPという形で日本でもリリースされたが、この時期までずっと幻のミニアルバムだったSTAR FLEET PROJECTの3曲が入っていた。 まだもうひとつちなみに、"Too Much Love Will Kill You"のフレディー・マーキュリーバージョンが"MADE IN HEAVEN"に収録されていた。QUEENそのままに濃いあっちと、さらりとした歌い方のブライアンバージョンのこっちを聞き比べてみるのも一興かと。 |
第2位! |
WARRANT |
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名曲 |
ファーストアルバムはいきなりアメリカでバカ売れしたが、どこがええねん、と思い、セカンドは日本盤タイトル「いけないチェリーパイ」。なめとったらぶちのめすぞ、と思ったメタラーはもちろん私だけではない。 嫌いなバンドの筆頭だったはずが、ここまで認識を改めたアルバムも、長くて長くて嫌になる私のメタル人生でも稀有である。 死んでしまいはりましたが、ボーカルのJani Lane、あれほど嫌いだった馬面も、このアルバムでアメリカンメタルの権化のように印象が変わってしまった。 このアルバムの音は一言で言えば恐竜アメリカンメタルである。メロディアスだが、いちいち太いメロディアスである。音質、音の感触はまるで70年代ハードロックのように埃ぽくて、肉厚というか骨太というか。同じアメリカでもFIREHOUSEとは対極のような雰囲気だが、こっちのほうが野郎丸出しサウンドだった。バラードも男の涙である。 "All My Bridges Are Burning"、アルバム代表曲に90年代新爆音スタイルのすべてが吹っ飛んだような気がした。 このバンドがここまでの偉業を成し遂げてくれるとは、繰り返すが嫌になるほど長い私のメタル人生の中で最も意外だった出来事である。 (13年11月5日現在) |
第1位! |
FAIR WARNING |
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名曲 |
1992年ベストアルバム。これほどメロディアスな音は私は他に知らない。世界一のメロディアスアルバムである。 このバンドも復活して、今アルバム8枚目か9枚目か、それくらいだと思うが、このファーストを超えるものは出ていないと私は思う。初めて聞いたときは真っ先にZENOとスウェーデンのTREATが合体したような音と思ったが、何とも、他とはメロディアスの質が違い、いきなり新人がZENOも真っ青の音出してるとは、なんちゅう奴らだと思った。 何かこう、メロディアスも極まって、拝みたくなるような名曲が並ぶ。ここには音楽の神様が降りている。 全体的に聞けばシンプルな音であるようでいて、各曲、クライマックスになるとぐわんと音が太くなるこのプロデュースも奇跡的である。 |