1992年

デス、ブラック、
その他どうしようもないもの編




この年からマイナーメタルは↑
このタイトルとして紹介させていただきます。

今では一線にいるバンドがこの年あたりから名を売り始めていたんだなー、
そんなバンドばかり。

順不同です。

特に一番下↓、この年アルバムは出していないが、
枠外の2バンド、2曲がひょっとしたら
この年一番忘れられなかったことかもしれない。


個人的評価100点満点作品 全6枚

 

PARADISE LOST
SHADES OF GOD


名曲
"Mortals Watch the Day"
"Embraced"
"As I Die"

 3作目になるが、このアルバムくらいから明確な個性を打ち出してきた。最初から個性的極まるバンドだったが、デスメタルをスローテンポにしただけ、若いリスナーにはまったくわからないレコード世代の古い言い方をすれば、45回転のデスメタルを33回転にして聞いてみただけ、みたいな印象があり、広い世の中、まあこういうのが好きな人もいるんでしょうね、というバンドのひとつに過ぎなかったが、要するに、超個性がわかりやすい形になって見えてきたのがこの3枚目からということである。セカンドアルバムのタイトルがその名も"GOTHIC"、このバンドの登場以降ゴシック・メタルという呼び名が定着してきたと思うが、もちろん今で言うゴシックメタルとは形も音も全然違う。この音をゴシックメタルの原点、と呼ぶには、歴史的には正しいようでいて、何かぴんと来ない。
 このアルバム以降はどれも傑作ばかり。(2000年過ぎて1枚程度わけのわからんアルバムも出しているが)




NAPALM DEATH
UTOPIA BANISHED


名曲
全15曲、どれもおんなじではあるが

 80年代終わりにデビューしたこのバンド、あの頃は「メタラーがメタルを笑う」という風潮もなく、バブルの時代でありながら、一部の金持ち大学生以外は肉体労働バイトの連続で貧困に喘いでいた時期であり(私はいまだにそれ)、こんな音に金払わせやがって、と怒りしかなかったようなバンドだったが、継続こそ力なり、いや、継続するうちに世界一無茶苦茶だったバンドも音楽性なるものを纏うことができ、92年のこの4作目くらいで、今現在の音にも繋がる電気ムチサウンドを完成させている。ブレずに疾走するスピードハードコアサウンドはエキストリームメタルのスタンダードとして、数え切れないくらいの新しいバンドがこのバンドの後に続いた。




GRAVE
YOU'LL NEVER SEE


名曲
"You'll Never See"
"Obsessed"
"Christi(ns)anity"

 これはセカンドアルバム。
 91年のファーストアルバム"INTO THE GRAVE"はメタル雑誌に凄まじい点数で切り捨てられ、逆に物好きリスナーから注目されたというバンドである。どこで買ったのかは覚えていないが、私はこのバンドは凄いと思っていた。
 ENTOMBEDのファーストセカンドを彷彿させる凄いバンドだと思っていたが、当然、誰にも相手にされなかった。
 しかし、以降の同系列バンドのインタビューにもあったように、この時期でこの音、ということで、特に北欧では真面目に注目されていたバンドである。ファーストアルバムよりも重量感は少々引っ込んだが、疾走感が倍加している。どっちもどっち・・・いや、どっちも素晴らしい。




AMORPHIS
KARELIAN ITHUMUS


名曲
"the Gathering"
"Grail's Mysteries"
"Exile of the Sons of Uisliu"
"the Pilgrimage"

 デビューアルバム。ジャケットからして後年、今の姿とはまったく違う音である。
 しかし今に続く、北欧フォークロア音楽と中東音楽が合体したようなメロディーラインを放つこのバンドの個性は、少しではあるが、このデビューアルバムですでに聞ける。
 94年にかけて、メロデス、メロディックデスという言葉が定着した。このAMORPHISとDARK TRANQUILLITY、そしてIN FLAMESが元祖である。一番先にこういう音を出した、つまりパイオニアがこのAMORPHISではないか。
 まだまだ未完成で、メロディーが足りないという意見もあるだろうが、とりあえず、このファーストの時点でこれまでのマイナーメタルサウンド、デスメタルサウンドとはまったく出で立ちが違った。
 今聞けばこの荒々しさ(粗々しさ)が新鮮に聞こえる。




VADER
THE ULTIMATE INCANTATION


名曲
"Dark Age"
"Vicious Circle"
"Reign Carrion"
"Chaos"

 ポーランドの雷様、VADERも1992年にデビュー。
 95年のセカンド"DE PROFUNDIS"で世界的に知名度を上げたこのバンドだが、さかのぼること3年前のこのデビューアルバムもなかなかの趣きである。ボーカルがおっさんくさいのが笑う。ギターが何もそこまで、というくらいのSLAYERのコピーであり、当時リアルタイムで聞けばどう思ったかわからないが、今聞けば大変微笑ましい。
 大体北欧のどのバンドもそうだが、90年代デスメタルと言われながら、特にデビューアルバムあたりは80年代スラッシュの疾走感を濃く感じさせるから、今聞いてもおもいっきり楽しるアルバムがある。このバンドは最初から巨人サウンドというわけではなかったが、繰り返すが80年代スラッシャーにはかなり楽しめるアルバムだった。
 ドラムスの仕事量は他のメンバーの約5倍。さすがに伝説のDocである。




HOLY MOSES
REBORN DOGS


名曲
"Clash My Soul"
"Decapitated Mind"
"Reborn Dogs"

 申し訳ないが私が選ぶ1992年マイナーメタルのベストアルバムがこれである。ジャケットなど、最低としか言いようがない。だから名作であるとか、そんな無茶は言わない(今再発されているものはジャケットが完全に違う絵になっている)。
 このバンドのデビューは1986年。何ともストレートに進まないハンパなスラッシュメタルだったが、さて、5作目になるこのアルバムの音は進化と言えるのか。ゴミじゃないかと92年当時の賢いメタルの人たちはこぞってこれを酷評した。
 個人的解釈であるが、出来の悪い子が屋外に捨てられ、野生化し、何があったのか、ハンパではない屈強さを身につけて戻ってきやがったような音である。マイナーには手かせ足かせが一切ないという、そこをここまで謳歌したアルバムがあるだろうか。最低限音楽の体(てい)を成してはいるからご心配なく。
 現在も堂々と活動中で、女性デスボーカル世界一、サビーナ・クラッセンは50歳になりながらもドスを効かせ続けている。2012年のアルバムはこの↑アルバムを中心とした選曲のCD2枚組全編新録音という素晴らしさ。
 もちろん2000年代の音はもっとスタイリッシュにかっちりした音のスラッシュメタルである。



番外編

BULLDOZER
Dance Got Sick !


(単品では入手困難、運が良ければ4作目"NEURODELIRI"のボーナストラックに収録されている)
http://www.youtube.com/watch?v=CNWTVu__UAg

 1984年。「お前はなんてワイルドな奴なんだ」、と、かのクロノス(VENOM)から御言葉を頂戴したAlberto Continiという男はBULLDOZERという、どうしようもないグログロスラッシュバンドを立ち上げる際に、AC Wildという名前を名乗った。
 どのようなバンドであったかは割愛させてもらうが(本ページに80年代のアルバムは全部紹介してます)、そのAlberto Continiは90年代、デイブ・ロジャースという人間と組み、何と、日本で大成功を収めたことは知る人ぞ知る事実である。

In 1990, Contini, then an A & R for Discomagic Records, co-founded the A-Beat C dance label with Dave Rodgers. The label signed a big deal with the Japanese dance label Avex Trax and produced many mega-hit works for "J-Euro" artists including MAX, V6, and the future "Queen of J-pop" Namie Amuro.
 というのがWIKIPEDIAからの抜粋であるが、かつて、レンタルCD屋で邪魔で邪魔で仕方なかったSUPER EUROBEATシリーズというやつ、現在に至るまでシリーズ221枚を数えるというから、アホかと呆れるが、一般人が聞いていたのは90年代、日本のバブル時代。このシリーズに多大な貢献をしたのがAlberto ContiniことBULLDOZERのAC Wildである。嘘みたいな話である。誰か、嘘だと言ってほしい。
 そのBULLDOZERは今再結成しているが、一度解散した時の最後の断末魔がこの"Dance Got Sick !"なる4曲入りEPであり、これがまあ何と、世界のメタルの歴史でも珍しいくらいの超・超迷曲なのである。DJ.DOPEなる、素足でうんこを踏んだような顔の黒人ラッパーがボーカルを掛け合いしている。Dance Got Sickと言いながらバブル時代のディスコみたいなキーボードがビョンビョンと弾けている曲であるが、これはもうyou tubeで聞いてくれと言う他ない、ものすごくかっこいい名曲なのですよ。異色も異色、異端も異端である。
 SUPER EUROBEATシリーズにはBULLDOZER&DR.DOPE名義の曲が何曲もあったが、「メタル」は↑これだけ。たった1曲だけである。
 この曲が出た意味というのが全然わからないが、↑、ジャケットのBULLDOZERのロゴはしっかりと由緒正しきBULLDOZERのロゴである。
 何を、考えていたんだろう。




CATHEDRAL
SOUL SACRIFICE


(単品では入手困難だが、別のEP"STATIK MAGIK"にそのまま収録されている)

 4曲入りEP。91年デビューアルバム"FOREST OF EQUILIBRIUM"に収録されていた曲の1年遅れのシングルカットのようでいて、まったく別の曲になっていた。原曲はとにかくヘボいが(なんであのアルバムが名作と呼ばれるか私はわからん)、このEPでのリニューアルスタイルは、バンド活動初期の音でありながら、このバンド最後に至るまでの集大成と言ってもいいくらいの名曲である。後ろから追いかけてくる不気味な迫力、とりあえず逃げなあかんというスピード感、活動後期までこういう曲を製作できる力量があれば解散もなかったのではないか、とすら思わせる。これもまた90年代メタル。歴史的名曲である。
 ちなみに、YOU TUBEでは何の意図か、このジャケットでありながらファースト収録のヘボいのが出ているので注意。というか
http://www.youtube.com/watch?v=8_0gRrY1Ub8、こっちが92年バージョン。




indexへもどる

inserted by FC2 system