BATHORY
(SWEDEN)

 ブラック・メタラーのハシリ。スウェーデン人。
 デビュー作は話題にもならなかったが、セカンド“
THE RETURN”で現北欧ブラックメタルに直に通じる恐怖音楽路線を確立、御当地では熱狂的な信者を獲得する。
 90年代には戦争絵巻路線にチェンジ。2000年を過ぎて「独りスタイル」となる。
 日本では存在そのものが無視され続けてきたが、トリビュート盤も何種類か出ているように、ヨーロッパでは大きなステイタスを築いている。
 
BATHORYことクォーソン(QUARTHON、本名Thomas Borje Forsberg)なる人物は、そのQUARTHON名義でソロアルバムを2枚出している。(↓同時に紹介している)
 その内容がアメリカ風爆音メロディアスメタル極上サウンドと来ているから、結局のところ、非常に才能あった人だったのだ。

 ほとんど全アルバムにBOSSと表記されているプロデューサーが登場しているが、この人物の正体は、Stig Borje Forsberg、BLACK MARKレーベルの社長ことクォーソンの父親である。OZやらLAKE OF TEARS、EDGE OF SANITYその他スウェーデン産根性メタルをプロデュースしていた。

 2004年6月、持病の心臓病で、38歳の若さで死去。
 私は正直、80年代からむちゃくちゃ好きなミュージシャンだった。

 日本語ウィキペディアにも紹介されている。

 (↓ ミニ特製ギャラリーを一番下に作りました)

official : http://www.bathory.nu
(写真クリックから中へ)

wikipedia :
http://en.wikipedia.org/wiki/Bathory_(band)

you tube :
https://www.youtube.com/results?search_query=bathory

https://www.youtube.com/results?search_query=quorthon

DISCOGRAPHY

BATHORY (1984)
THE RETURN (1985)
UNDER THE SIGN OF THE BLACK MARK (1987)
BLOOD, FIRE, DEATH (1988)
HAMMERHEART (1990)
TWILIGHT OF THE GODS (1991)
REQUIEM (1994)
OCTAGON (1995)
BLOOD ON ICE (1996)
DESTROYER OF WORLDS (2001)
NORDLAND I (2002)
NORDLAND II (2003)
 QUORTHON
ALBUM (1994)
PURITY OF ESSENCE (1997)

BATHORY (1984)



1.Storm of Damnation
2.Hades
3.Reaper
 
 
4.Necromancy
5.Sacrifice
6.In Conspiracy with Satan
 7.Armageddon
8.Raise the Dead
9.War
10.outro


vo,g: QUORTHON   bs: RICKARD RIBBAN BERRGMAN  ds: STEFAN LARSSON
produced by QUORTHON, BORHE "BOSS" FORSBERG

 暗黒魔神生誕、という位置付けにあるファーストアルバム。
 であるが、はっきり言ってそう大きな説得力はない。
 完成度の高くない、しかし疾走感だけは物凄いという、スラッシュメタルの闇の落とし子サウンドだった。
 歌、ボーカル、歌唱は間違いなく今現在のブラックメタルの原点である。ヴェノムの初期のサウンドを愛する方ならそれなりの評価はされると思う。音質の悪さもまさにそれ風。
 真の凄みはセカンドアルバムからだと思うが、その凄みに呑まれれば、このファーストも決して悪くは聞こえない。

初心者おすすめ度 : ☆
    マニアック度 : ★★★★★
くろくろさん推薦度 : ★★☆

THE RETURN (1985)




1.Total Destruction
2.Born for Burning
 3.the Wind of Mayhem
4.Sadist(Tormentor)
 5.the Rite of Darkness
6.Reap of Evil
 7.Sons of the Damned
8.Bestial Lust(Bitch)
 9.the Return of the Darkness and Evil

vo,g: QUORTHON   bs: ANDREAS LARSSON  ds: STEFAN LARSSON
produced by QUORTHON, BORHE "BOSS" FORSBERG

 北欧に端を発した現ブラックメタルの、ずばり元祖である。セルティック・フロストすらまだまだ甘い、という世界。
 特に日本ではほとんど知名度がなかったが、誰が何と言おうと歴史のいちばん最初だから、名盤である。
 これもまた80年代メタルの一端。まったくその奥の深さを思い知る。

 当時はもちろん、現在でも極端中の極端に入るスタイルであるが、しかし決して安くはない。
 日本では出す作品すべて、あまりに低い評価を叩きつけられてきたが、90年代にトリビュート盤も出ているように、ヨーロッパではかなりの人気を誇っているバンドである。
 いや、バンドではなく実際はクォーソン(Quorthon)なる人物の(ほとんど)一人プロジェクトである。
 ブラックメタルの独り仕事、このへんもこのジャンルではまさにハシリだった。
 これはセカンドアルバム。ファーストはもうひとつ説得力のない悪魔路線だったが、この作品では完全に悪魔に魂を売ったかのごとく、魔界へと入っている。スタジオ録音という作業がこの世でおこなわれているとは考えがたい。
 90年代以降は中世戦争絵巻路線をとり、あのマノウォーにも似たブレイヴなサウンドに化身していくが、時代は1985年、このサウンドこそとてつもなく邪悪なブラックメタルそのものだった。
 ブラックメタルのルーツをヴェノムに定義するのは、確かにその語を生んだ人たちだから歴史的には正しい。
 ただし耳に正直に従えば、ブラックメタルの雰囲気、音としてのルーツはまさにこのBATHORY、この作品なのだ。
 創った人間の狂気を思わせる、というのが極端なジャンルの常であるが、ここには狂気に加えて魔界がある。魔界の見えたサウンドはメタル界にこれまでには1枚とて存在しない。これは常人が普通に聴く音楽ではない。恐ろしい文化の産声だった。ひぇ〜

初心者おすすめ度 : ☆
    マニアック度 : ★★★★★
くろくろさん推薦度 : ★★★★★


UNDER THE SIGN OF THE BLACK MARK (1987)




1.Nocturnal Obesiance
2.Massacre
 3.Woman of Dark Desires
4.Call from the Grave
 5.Equimanthorn
6.Enter the Eternal Fire
 7.Chariots of Fire
8.13 Candles
 9.Of Doom...
10.Outro


vo,g: QUORTHON   ds: PAUL LUNDBURG  bs: CHRISTER SANDSTROM
produced by QUORTHON, BORHE "BOSS" FORSBERG

 前作ほどのインパクトはないが、完全無欠の唯我独尊ぶりはとどまるところを知らなかった。
 音質も破格に分厚くなった。アピールされてもほとんどの人にとっては大迷惑だが、しかしこの音圧。アピール性にかけては凄いものがある。
 「葬送行進曲」のフレーズが中途に出てくる“Call from the Grave”はまるで妖怪メタルである。
 全体的に、どちらかと言わないまでもミドルテンポナンバーが目立った作品である。だから余計に怖い。
 不気味だ、気持ち悪いというにはあまりにパワーがあるんじゃないか、ということで、特にヨーロッパ、一部のスラッシュメタルマニアが熱狂したというのが今になってうなずける。

 ちなみにこのジャケットはイラストではなく本物の写真で、こういう演劇をやっている会場へ行き主催者に頼んで写真を撮らせてもらったという逸話が残っている。

初心者おすすめ度 : ☆
    マニアック度 : ★★★★☆
くろくろさん推薦度 : ★★★★


BLOOD, FIRE, DEATH (1988)




1.Odens Ride Over Nordland
2.A Fine Day to Die
 3.the Golden Walls of Heaven
4.Pace 'Till Death
 5.Holocaust
6.For All Those Who Died
 7.Dies Irae
8.Blood, Fire, Death


vo,g: QUORTHON   bs: KOTHKAAR  ds: VVORNTH
produced by QUORTHON, BORHE "BOSS" FORSBERG

 BATHORYの独創性特異性を特に日本のみなさんは知らないでいる。
 そのことが明らかに惜しい、おかしいぞとなったのがこの4作目。
 ブラックメタルファン/スピードメタルファン/パワーメタルファン/スラッシュメタルファン、要するにハードコアなリスナーの聞き甲斐で言えば、この作品こそまさにベストである。恐がらないで買え。

 現バイキングメタル、MITHOTYNやEINHERJERやENSLAVEDのファンも大喜びである。
 これこそブラックメタルの元祖バンド、と言うとブラストビートが唸り人喰い鬼が絶叫する、あっちの世界の恐々とした絵を人は思い浮かべるが、この作品はスラッシュメタル特有の、キャベツ千切り感覚(それも包丁というより斧で)をかなり取り入れていて、悪魔的ではなく人間的な暴力度が純にヘヴィーな音の上に乗った、ハードコアメタルマニア狂喜のサウンドなのだ。
 狂気というよりもファン狂喜である。
 ま、マイナスポイントとしては悪魔チックな歌声にドスが少々足りないことと、同じパートの少々くどい繰り返しだろうか。
 しかし家を壊すようなスピードチューンのど迫力でマイナス部分は帳消しである。

 これでも、連作中ずいぶんと聞きやすい作品だった。

初心者おすすめ度 : ★☆
    マニアック度 : ★★★★☆
くろくろさん推薦度 : ★★★★★


HAMMERHEART (1990)




1.Shores in Flames
2.Valhalla
3.Baptised in Fire and Ice
  
4.Father to Son
5.Song to Hall Up High
6.Home of Once Brave
7.One Rode to Asa Bay


vo,g: QUORTHON   bs: KOTHKAAR  ds: VVORNTH
produced by BOSS, QUORTHON

 このアルバムは個人的、当時の評価と、今の評価が大きく食い違う。
 当時は眠い、しょうむないアルバムだと思った。爆流スラッシュメタル大戦の次がこれ、と来たら拍子も抜けまくるというものである。
 しかし、2000年以降北欧およびその周辺からいっぱい登場してきたバイキング・メタルなる、ブラックメタルからの派生バンドが、ブラックメタル面からバイキングメタル面まで徹頭徹尾、このBATHORYを手本としていることがわかるにつれ、このアルバムの素晴らしさも理解できるようになった。

 当時の印象としては、何を思ったか極悪孤独大魔人、中世戦争絵巻コンセプトアルバムに挑戦なさり、オープニングナンバーが11分もあるから、その力の入れ様もハンパでなかった。ボーカルも悪魔声ではなく、普通の声で朗々と歌い上げておられる。
 バイキングメタル(90年代のMYTHOTYNとかEINHERJAR、FORLORNとか)の原点、というのは、このアルバムだけでは説得力に欠けるかもしれないが、このアルバム以前のアルバムを揃えると理解できる。まったく、ジャケットそのままの世界である。

初心者おすすめ度 : ☆
    マニアック度 : ★★★★★
くろくろさん推薦度 : ★★★★



TWILIGHT OF THE GODS (1991)




1.Twilight of the Gods
2.Through Blood by Thunder
3.Blood and Iron
4.Under the Runes
5.To Enter Your Mountain
6.Bond of Blood
7.Hammerheart


vo,g: QUORTHON   bs: KOTHKAAR  ds: VVORNTH
produced by BOSS, QUORTHON

 作風は前作と同じであるが、今度は神様になっている。
 音質といういちばん先に耳に飛び込んでくるポイントにおいて、いちばん聞きやすい作品であり、メジャーレーベルから出ていてもおかしくない音にまで成長した。素直に美点だと評価したい。ジャケットも◎。
 
 中世戦争絵巻サウンド、一般受けしない音であるのは明白で、一般メタラーが真面目に評価しても、そんな紹介は当てにならない。この時点でも日本ではまだ、評論家からあろうことか、からかい、嘲笑の対象とされ、人気はゼロに等しかった。

 今現在、某アマゾン巨大販売サイトあたりの評価を読めばわかるように、ついにこの音が北欧発世界基準ヘヴィ・メタルとして日本でも認められているのである。私はひっそりと感動している。
 ラストナンバーはまさにQUORTHONことThomas Borje Forsbergなる男の美学、生涯の音楽ポリシーが朗々と歌われ、以降の音楽性そのものとなった。死去したときに書き換えられたオフィシャルサイトトップページは今も残り、この曲の歌詞が大きく紹介されてある。
 ファンなら必携の作品である。

初心者おすすめ度 : ★
    マニアック度 : ★★★★★
くろくろさん推薦度 : ★★★★☆



REQUIEM (1994)




1. Requiem
2. Crosstitution
3. Necroticus
4. War Machine
5. Blood and Soul
6. Pax Vobiscum
7. Suffocate
8. Distinguish to Kill
9. Apocalypse


vo,g: QUORTHON   bs: KOTHKAAR  ds: VVORNTH
produced by QUORTHON

 QUARTHON御乱心、くそスラッシュ開眼の1枚。
 BLOOD FIRE DEATHというスラッシュ溶岩流のような名作があるが、あれに比べて、このアルバムは、繰り返すが御乱心と言うにふさわしいヤケクソな疾走感が貫かれているアルバムである。初期のVENOMも真っ青だ。

 ジャンクメタル、くされメタルという概念が完全に完成した今という時代には、このアルバムの居場所もきっとあるだろう。
 BLOOD FIRE DEATHとはまたカラーの違うだだっ走り疾走スタイルは、リアルタイムで聞けばずいぶんと安っぽく感じただろうが、今聞けばこれがまた、素敵としか言いようのないかっこよさである。クサレの神棚に飾っておきたいような愛着を感じる。

 しかしプロデューサーにBOSSのクレジットがないのは、さすがに親父も呆れたのだろうか。

初心者おすすめ度 : ★
    マニアック度 : ★★★★
くろくろさん推薦度 : ★★★★☆



OCTAGON (1995)



1. Immmaculate Pinetreeroad #930
2. Born to Die
3. Psychopath
4. Sociopath
5. Grey
6. Century
7. 33 Something
8. War Supply
9. Schizianity
10. Judgement of Posterity
11. Deuse (KISS cover)


vo,g: QUORTHON   bs: KOTHKAAR  ds: VVORNTH
produced by QUORTHON

 QUARTHON御乱心第2弾アルバム。
 前作とまったく同じ、くされ・どスラッシュアルバムである。
 しかし、歌が何か生々しい素声ばっかりで、まさに呼吸困難寸前という歌声が大変痛々しく、少し怖い感じがする。
 さすがにここまでやれば、BATHORY様本人も疾走スラッシュ路線は腹一杯、もう勘弁という心境だったと推測される。

 次のアルバムで、世界に届いた本当のBATHORYスタイル、誉れのバイキングメタル路線が始まる。

初心者おすすめ度 : ★
    マニアック度 : ★★★★★
くろくろさん推薦度 : ★★★


BLOOD ON ICE (1996)



1.intro
2.Blood on Ice
3.Man of Iron
4.One Eyed Old Man
5.the Sword
6.the Stallion
7.the Woodwoman
8.the Lake
9.Gods of Thunder of Wind and of Rain
10.the Ravens
11.the Revenge of the Blood on Ice


vo,g: QUORTHON   bs: KOTHKAAR  ds: VVORNTH
produced by BOSS, QUORTHON

 本当のBATHORYはこのアルバムからスタートした。やっと、スタートした。
 約2年間ほどの狼藉に呆れていた親父とタッグチーム復活。
 バイキングスタイルはまだ完成の域には達していないが、そこを補っているのが、80年代マイナーメタルに対する敬意をこめた返礼のようなもので、メジャーメタルに比べれば当然地味ではあったが、なんともまあ嬉しい音を作ってくれた、とマイナーメタルファンであった当時の私は思った。
 再び朗々と歌うボーカルも、何年か前に比べれば破格の進歩である。アコースティック部分も退屈ではない。
 “One Eyed Old Man”はSKYCLADみたいな曲。
 これで舞台装置は整った。


初心者おすすめ度 : ★☆
    マニアック度 : ★★★★
くろくろさん推薦度 : ★★★☆



DESTROYER OF WORLDS (2001)



1.Lake of Fire
2.Destroyer of Worlds
3.Ode
4.Pestilence
5.Bleeing
6.109
7.Death from Above
8.Kill, Kill, Kill
9.Liberty & Justice
10.Krom
11.Sudden Death
12.White Bones
13.Day of Wrath


all instruments by QUARTHON
produced by BOSS, QUARTHON

 内容的には90年代のBATHORYサウンド、戦争大河ドラマ絵巻を引きずったものであるが、さてこの作品の製作にどれほどの期間をかけたのかはわからないながら、90年代の作品が束になってもかなわないほどの出来である。大きな風格が出てきた。
 3曲目みたいに普通に歌い込むタイプの曲はヘタクソなのか何なのか相変わらず全然わからないが、さてさて、肝心のメタルサウンド、はよ飛び出せと思って聴いてたら4曲目でやっとご登場。
 ヨーロッパでは魔王様として崇められているこのバンド(この人)だが、この時期はもはや禍々しい音ではない。
 しかし禍々しくなくとも、十分に騒々しい。
 80年代スラッシュメタルらしさも随所にうかがえ、さすがバソリー、クォーソン様、と言える内容である。アルバム後半はクサレメタルマニア夢心地の世界である。

初心者おすすめ度 : ★★☆
    マニアック度 : ★★★★☆
くろくろさん推薦度 : ★★★★★



NORDLAND I (2002)


1.Prelude
2.Nordland
3.Vinterblot
4.Dragon's Breath
5.Ring of Gold
6.Foreverdark Woods
7.Broken Sword
8.Great Hall Awaits a Fallen Brother
9.Mother Earth Father Thunder
10.Heimfard

all instruments by QUARTHON
produced by BOSS, QUARTHON

 「独りメタル」の醍醐味を世界に知らしめた、メタルシーン表側における初めての名作である。
 バイキングメタルの復活かリクリエイトか、しかしその気迫は本物である。前作以上にドラマチックなアルバムとなっている。
 過去はクサレの空気が一部マニアに大きな魅力になっていたものを、多くのブラックメタルバンドによる後押しが功を奏してか、本当に風格あふれるサウンドを完成させている。ついにここまで、と、昔から聞いているファンはこの音に感激もひとしおだった。
 バイキングメタルの最高峰MITHOTYNが実はBATHORYの家来であったという、そういう絵すら想像できそうなサウンドである。
 ブラックメタルの悪魔カラー、やけくそメタルのど迫力、今回はそういうものを後ろに下げて、ただただバイキングスタイル賛歌一本やり。
 冗談もおちょくりもなしで本当に威風堂々のサウンドである。

初心者おすすめ度 : ★★★☆
    マニアック度 : ★★★★
くろくろさん推薦度 : ★★★★★


NORDLAND II (2003)



1.Fanfare
2.Blooded Shore
3.Sea Wolf
4.Vinland
5.the Land
6.Death and Ressurection of a Northern Son
7.the Messenger
8.Slash of the Silverhammer
8.the Wheel of Sun


all instruments by QUARTHON
produced by BOSS, QUARTHON

 85年のファーストから今回2003年の最新作、数えることアルバム12枚(ベスト盤除けて)。
 前作の続き。印象も音も、質も完全に同じ。90年代前半のバイキング路線とは同じカラーながら、質は大幅に違う。ブラックメタル、メロデス特有のメロディーが堂々としたミドルテンポの中に展開されている。

 2001年復活後のBATHORYはもはや、北欧メタルマニアもしくはジャンクメタルマニアの間でたらい回しにする存在ではなかった。
 外国のサイトでははっきりとその風格が認められているのがうかがえるが、日本ではやっぱり特殊な人しか求めてないみたいである(もちろんわしも特殊な人のうち)。
 歌は相変わらず上手でないが、ご愛嬌である。
 このアルバムリリース後まもなく、QUARTHONは病で死去。38歳という若さだった。
 これがラストアルバムになってしまった。

初心者おすすめ度 : ★★★
    マニアック度 : ★★★★
くろくろさん推薦度 : ★★★★★

 

 


 

QUORTHON

ALBUM (1994)




1.No More and Never Again
2. Oh No No
3. Boy
4. Major Snooze
5. Too Little Much Too Late
6. Crack in My Mirror
7. Rain
8. Feather
9. Relief
10. Head Over Heels


all instruments by QUARTHON
produced by BOSS, QUARTHON

 音はしっかりとBATHORYなのだが、路線が全然違う。最初はなんじゃこれ、と思う。
 90年代爆音メタルではないが、そのエッセンスもあり、全体的には、BATHORYの仕事を切り離してメタルアルバムを作ってみましたという雰囲気があるアルバム。だからブラックメタルなどカケラもないし、スラッシュメタルもない、バイキングスタイルもない。
 これがプー作品ならマニア向けもいいところのアルバムになるが、音楽一家(音楽父子?)の大黒柱であった親父ことBOSSがしっかりとサポートしたのだろう、90年代メタルサウンド、いや、今でも十分に聞ける、ミドルテンポ中心スタンダードメタルとなっている。

 だったらギターの音質、歌い方、ドラムスの音、つまり楽器の音色も全部変えたらいいものを、そこはBATHORYまんまであるから、非常に面白いアルバムである。
 意外と言っては失礼だが、曲がいいのだ。みんな同じ音で同じ顔をしている、セールスだけは立派なアメリカ産ヨーロッパ産コンテンポラリーハードロックとやらを聞いているより、メタル度が高い分こっちのほうがずっと楽しめる。
 嘘でしょ、と自分でも言いたいところであるが、本当である。

初心者おすすめ度 : ★★★☆
    マニアック度 : ★★
くろくろさん推薦度 : ★★★★

PURITY OF ESSENCE (1997)




CD 1
1. Rock n' Roll
  2. I've Had It Coming My Way
3. When Our Day Is Through
  4. One of These Days
5. Cherrybutt & Firefly
  6. Television
7. Hit My Head
  8. Hump for Fun
9. Outta Space
  10. Fade Away
11. I Want Out
  12. Daddy's Girl
13. Coming Down in Pieces
CD 2
1. Roller Coaster
  2. It's OK
3. All in All I Know
  4. No Life at All
5. An Inch Above the Ground
  6. the Notforgettin'
7. Deep
  8. Label on the Wind
9. Just the Same
  10. You Just Got to Live

all instruments by QUARTHON
produced by BOSS, QUARTHON

 アルバムタイトルPURITY OF ESSENCE、とは、邪悪の根源のような音楽性を誇示していた時期があるミュージシャンとして、一体どういうことか。狂ったんじゃなかろうか。

 しかし聞いてみないとわからないものである。

 このアルバムの存在は知っていたが、数年は耳にすることができなかった。理由はシンプルで、どこにも売ってなかったからである。
 いまだ多くのBATHORYファンが聞かない、聞けないままになっているとおぼしきクォーソン名義の2作品だが、私は同志には嘘は言わん、前のアルバムもこのアルバムも傑作である。
 前のアルバムは装備BATHORYのままトレンドメタルをやってみました的内容だったが、何ともまあ、CD2枚組のボリュームで登場したこのアルバムは、なんたることか、BATHORY色が薄いのである。
 完全に垢抜けてはいないが、2曲目3曲目など、何も知らないで聞けばBATHORYのクォーソンの曲だなんて誰もわからないだろう。こうなればヒットチャートに顔を出すメジャー爆音メタルそのままと言っても良い。
 そして素晴らしいのが、音に非常に工夫が施されている点である。かゆいところに手が届かない典型爆音メタルとは違い、さすがにメタラー大王が作るアルバム、こんな音楽性であっても、かゆいところに手が届きまくる素晴らしい音質、音圧で構成されている。

 STONE TEMPLE PILOTSのファーストアルバムのメタルチューン、それを膨らませたような曲が並んでいると言って誰が信じてくれるだろうか。
 you tubeという便利なものがあるので、私の言ってることも間違っていないことがわかってもらえると思う。

 前作といいこのアルバムといい、どこかBATHORYを思わせるジャケットは大失敗だったと言える。だから聞いていない人はBATHORYのその先、みたいな音だと勘違いしているのだ。

初心者おすすめ度 : ★★★☆
    マニアック度 : ★★
くろくろさん推薦度 : ★★★★



ここでQUORTHONギャラリー


 
デビュー時はこういうミュージシャンだった。

 わかりやすすぎて、むしろ微笑ましい。
 

しかし素の顔は、こんな男前というか、やさ男と言うか、

 まるっきり北欧メタラーの普通のにいちゃんという感じである

 売れ出した頃の姿がこれなので


時の流れを感じてしまう。

しかし、昔オフィシャルサイト上に上げられていたこの写真、

これは実妹、Jennie Teblerとのショットであり、
いい写真やなぁーと思う。

妹はJENNIE TEBLER'S OUT OF OBLIVIONなるバンドで
2008年にアルバム"TILL DEATH DO US PART"を出している。
プロデュースも担当する才媛である。
音は女版BATHORY、というにはあまりに安直であるが、
QUORTHONソロ作品での兄貴のバカ強い音に倣った
素晴らしいメタルサウンドを聞かせてくれる。




BATHORYのベストアルバムは
“JUBILEUM vol.1”“vol.2”“vol.3”としてリリースされており、の3つのベスト盤が出ている。


                


そしてQUORTHONの死後、
"IN MEMORY OF QUORTHON VOL.1-3"なるボックスセットが出た。
特に昔の曲に、大幅にリマスターが成されていて素晴らしい。
QUORTHONのソロから、オムニバス盤でしか聞けなかった曲、
そして妹との競演曲まですべて収録されている。
中でもAce of SpadesのBATHORY版が面白すぎた。

男ならこういうアイテムの一つや二つ、部屋にどんと置いておきたいものである。



しかしこれは今は入手が難しく、
バラでなら3枚ともAMAZON等で売っている。

 

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