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 総括(2013年5月)

 偉そうにオマエ何様だ!、と気分を害された部分も多々あると思う。
 申し訳ない。

 当初は不当に駄作評価を下された作品を天に召す予定だったのだが、「不当に駄作評価」もあれば「不当に過大評価」だってある。
 天に召すどころか、地獄に叩き落した作品も出てきてしまった。
 
 もちろん、何度も言っておりますが、単純なガイドブックを書いてるつもりですので、ガイドブックを軽い気持ちで読むように接していただければ。
 
 このコンテンツは実際、訂正を迫られたり、削除を強要されたこともあった。掲示板で揉めたこともあった。
 訂正もしたし、削除したものもある。
 発言の自由だから、などと言うつもりはない。それを言うなら人の口に戸は立てられないと思って、あきらめてくれ、ということである。
 味覚も人それぞれ違うのだから、聴覚も同様である。
 
 

 長々とご登場いただいた成仏和尚、こいつが評論家バッシング主義者と勘違いしないでほしい。

 いつも偉そうな口のきき方する、勘違いしている評論家にはそりゃムカッ腹も立つが、評論家は評論家。
 音楽でも映画でもスポーツでもなんでも、紹介してくれる人がいるからこそ私らは回り道をしないで済む。

 ただ、ネットも何もなかった80年代90年代、ハードロック、ヘヴィ・メタルという世界では、長い間、評論家偏重主義があった。
 なぜ、雑誌と同じことを言うリスナーがあんなに多かったのか。映画でもあんなにみんな、同じことは言わない。野球、プロレスの試合でも、良い試合悪い試合という前提があって、みんないろいろな意見を持っていて、いろいろなことを言った。
 でも、ヘヴィ・メタルについては、なぜ同じ意見ばかりだったのか。

 近年の話。でもないか。

 エアロスミスの“JUST PUSH PLAY”、ソナタ・アークティカの“SILENCE”、SLIPKNOTの“IOWA”あたり。
 もう異を唱えるのが勇気いるほど、私の周りではみんな誉めまくっていた。
 しかし本当に世紀の名作であるなら、CD屋以外でもっと聴く機会があった。それに、騒がしくみんな誉めるわりにはヒットチャートから早く転げ落ちていた。
 まあ、この不景気の中、ひとつの業界でもにぎやかになればそれはそれでいいとしよう。過大評価は業界のためにも景気のいい話である。
 我慢ならないのは、様々な意見を受け入れる技量を持った作品が、不当に攻撃されることである。攻撃されれば、当たり前の話ですが、売れないのだ。誉めるのも右に倣え!なら、攻撃するのも右に倣え!...これはいけない。

 ネットも何もまだなかった時代、80年代90年代はそういう憂き目にあった作品がいくらでもある。
 出た当時、雑誌で一様に攻撃しておきながら「次世紀に残したい名盤」として何年後かに同じ雑誌にその作品が載っているとか、攻撃している当のライターがライナーノートで全然反対のこと言ってるとか、まあ、「そんなもんだ」と流せば大したことじゃないが、右に倣え!という連中が多いこの国では、やっぱり許してはいけないことなのでは、とも思った。

 もともと穏たる空気を根底から覆すような、まったく日本人らしくない個性を持っていたヘヴィ・メタルであるが、それを愛するリスナーがどういうわけか大変日本人らしい態度をとっていらっしゃる。
 評論家にも責任があればリスナーにも責任あり。何の責任か? 本来ならスーパースターになるバンドを埋もれさせた、その責任ですよ。

 繰り返しますが、ある部分ボロカス言っていても、本心として評論家の方々を攻撃する意図はない。
 実際素晴らしい作品をいっぱい教えてもらったし。
 また、もうひとつ大事なこと。
 自分がもし評論家になったとしたら、自分がそれまで持っていた意志、批評よりもまず紹介に徹すること、それを継続できるか?ということである。
 もし私が評論家になっていたとしたら、無茶苦茶である。
 個人的に親交のあるミュージシャンは絶対攻撃しないし(そんなことしたら個人的な友好関係が崩れる)、嫌いなジャンルはストレス解消とばかりに徹底的に潰してやろうと思うだろうし、誉めれば何かもらえると思ったらそれこそ徹底的に誉める。
 あわよくば仲のいいミュージシャンのアルバムに参加させてくれ、とか頼むだろう。それが自分の仕事になるんでしょう? いい暮らし、いい将来、いい老後(?)のために、いちばん自分に得になるような仕事をする。それが当たり前である。

 冗談(?)はさておき、評論家の言葉を鵜呑みにしない音楽観を育てるために、自分がある人から教えてもらった言葉を紹介する。

「評論家は目の前にただ置いてある作品を評価し、そしてリスナーは自分のお金で自分で選んで自分で聴いている作品を評価し、紹介する」

 これ、高校生の奴が言った言葉です。

 ちーん。


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